[コメント] ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001/日)
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冒頭から快調なペース。確かにゴジラシリーズの進行を踏襲しているがテンポが違う。ドカーンと出るシンプルなタイトル「ゴジラ」。よーし、これは期待できそうだ。音楽だってぴたっとはまっている。50年ぶりにゴジラ登場。
そう、これは第1作のオマージュに満ちている。要所要所の構図がそうである。箱根で山の向こうから首だけ出すゴジラ、おお!これはあの第一作で初めてゴジラが姿を現すシーンではないか!逃げまどう群衆も当時のノリである。宇崎竜堂の回想シーン(これがカラー)がほんの少し挿入される。その写し方がそのまま現在につながる。いや、これはゴジラシリーズのオマージュだけではない。空の大怪獣ラドンの記念撮影のシーンは箱根にゴジラが現れるシーンにつながり、飛翔するモスラを見上げるのは、ザ・ピーナッツのような若い女2人である。微妙に似ているというところに金子修介の節度を見たように思う。
横浜の夜景をバックに最終決戦、そしてお決まりの海中へ。ゴジラそれだけをど真ん中にドーンとおいて、文句あるかとばかりに白熱砲(口から出す怪光線のことね)。いやあ凶悪容赦なしのゴジラだ。ガメラ渋谷壊滅で見せた破壊描写の的確さはここでも遺憾なく発揮されている。モスラが吹き飛ばされて手前にズズズーンと迫ってくるシーンなどはもう鳥肌ものである。
ご指摘のように、日本神話のようなわけわかんないものを引っ張り出してくるあたり、弱いところはある。しかしこの作品は何よりもその画がすべてである。まだ外出できた母に連れられて映画館の暗闇の中で顔をおおう指の隙間から見たあのゴジラが出現したのだ!50年前謎の化学物質で消滅したゴジラ、とか防衛軍の若いのが言ってる。それはオキシジェンデストロイヤーだろが!と50年ぶりに激しくツッコミを入れる私の現前に最強の大怪獣ゴジラは悠然とシルエットになるのであった。
ラストも海底の魚がサッ、と散ったかと思うとそこにゴジラの心臓らしきものが不気味に脈打っている。エンドロールとともに始まるのはあの有名なゴジラの曲だ。会場はエンドロールが終わるまで立ち上がる者はなかった。私もまた座席に身を固くして動けない。わずかこの1本のために1800円払って見た甲斐はあった。
定員303名に32名。午後5時55分始まりの最終回。暮れも押し迫った吉祥寺のことである。
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