[コメント] はつ恋(1999/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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24年前の出せなかった手紙。出していたら違った人生が待っていたかも知れない。
私にも「違った別の人生」を選択できる時期があった。時々それを思い起こし夢の世界に遊ぶことがある。でも結局は現実の妻と子供達に充分満足している自分の選択を誇りに思う。
この作品は色々な「勇気」を描いている。
観覧車で真田が麗奈に言う。「あこがれと恋は違う、一歩踏み出す勇気が必要だ」と。
母の原田が娘の麗奈に父のプロポーズのエピソードを話す。ストーカーまがいの生真面目だった平田が勇気を振り絞ってプロポーズをしたと。
麗奈は勇気がなく失恋し、真田は女房に逃げられ荒んだ暮らしをしている。きっと麗奈はこの一件で大人になった。きっと素敵な彼氏を見つけて勇気を持って告白するんだろう。
真田は自分が行くべき場所は桜の樹の下ではないことを悟り、北海道へ行ったのだろう。待ち合わせ場所を父平田にFAXで知らせたのは彼だ。彼もまた元妻を迎えに行く勇気を持ったのだろう。
色々な勇気を描いている。皆、一瞬の勇気で人生が変わっていくんですね。一歩踏み出すことをしなければ何も変わらないだな。誰でも出せなかった手紙や、掛けられなかった電話があるんじゃないか?受話器を持ったまま遂にダイヤル出来なかった自分を思い出す。相手が出た瞬間に頭が真っ白になってあわてて電話を切った苦い思い出が蘇る。
そしてこの作品、映像になっていない部分のエピソードが多く、それらがまた一級のエピソード足りえる事に驚く。
若かりし平田が原田にプロポーズする場面などは私の中では完璧にイメージ出来ているし、真田が元妻に会うだろうシーンも絶妙の演出で撮ってやりたい。そして原田はきっと毅然とした態度で死に臨むのだろう。
嗚呼、映像にはなっていないのに次々にイメージが沸いてくる。この作品、たったの2時間弱の世界じゃないんだな。少なくとも私にはそんな気持ちにさせてくれた「とても大事にしたい作品」になりました。
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