あの飲んだくれの亭主は、暴力夫で、奥さんを見下してる最低な男だけど、奥さんのことを愛してるように見えた。確かに彼の行動は尋常ではないかもしれないけど、彼はただ不器用で、どうやって人と心を通わせることができるのか分からなくて、ああいう間違った方向にいってしまったんじゃないかと思う。

この映画で、彼がすごく悪い人間として描かれていたなら、悪者が町から追放されて、村のみんなが平和に暮らしていくというオチで問題ないし、それこそ「おとぎ話」だと思う。

でも少なくとも私には彼（飲んだくれ亭主）が悪者では無く、「かわいそうな男」にみえた。その彼の心を、どうして「チョコ」で癒してあげなかったの？村長なんかより、飲んだくれの彼の方がずっと心に問題を抱えてたのに。何のためのチョコなんだ！ショコラ！

「出ていけ！」と村長に一喝されて、驚き怯えてドアから出ていった彼が、映画の終盤からずっと私の頭の中に引っ掛かっていた。 そう、こんなふうに....↓

「この後、突然ビノシュが刺されるんだわ。そう、後ろから、"振り返れば奴がいる"の最終回みたいに、忘れたころに恨まれてる人間から殺されるのよ！いや、刺される相手は村長かもしれない！いや奥さん！？うーん誰だろう。まあいいや、とにかく笑ってられるのは今のうちよ、村人たちよ！」

ひねくれ者だと言わないで！私はただ、飲んだくれの彼が最後にきちっと悪者として登場する場面を待ってたんです。さらに欲を言えば、悪者として再登場した彼を、ただ追放して終わるんじゃなく、奥さんとカタをつけさせ、チョコで彼を改心させて終わってほしかった。彼は人に優しくされたかったんだよー。チョコ１個くれてやるだけで、絶対いい奴になってたって私が保証するから。。