ものすごくリアルな映画だと思う。もちろん当時のワルシャワが実際この映画に描かれた通りの状況だったかどうかは知らない。けれども、ここで描かれる光景には恐ろしいほどの現実味を感じた。

車椅子の老人をバルコニーから突き落としたり、間引きをするかのように選んだ人間の頭を撃ちぬいたり、あまりにショッキングな映像が続く。だが、もっと恐ろしいのは、そのようなショッキングな映像にだんだん”目が慣れてくる”という事実だ。

映画の中で街をさまよう人々も、道端に転がっている瀕死の子供や死体に見向きもしない。ここが一番恐ろしくまたリアルに感じた。

人間、極限状態に置かれると周りのことなんか構っちゃられなくなるのだ。ただひたすら逃げ隠れし、頼れるものには浅ましいまでにすがりつく、そんな主人公の姿もまたリアルだ。

「結果的に家族を捨て自分だけ生き延びる形になってしまったことに対して、主人公が良心の呵責を感じて嘆き苦しむ。」例えばこんなシーンが織り込まれていたとしたら、この映画はもっとわかりやすく感動的なものになっただろう。だが、それではこの映画の存在意義はなくなってしまうのだと思う。

だけど、そうではあるのだけれど、やっぱり僕はこの映画を「つまらない」と感じてしまった。この映画が”面白い”ものである必要はない、と頭ではわかっている。でも事実鑑賞中「早く終わらないかなあ」と思ってしまった。その気持ちに正直に、この点数。