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赤い戦車さんのコメント: 更新順

★5黒い罠(1958/米)冒頭の長回しより、ダイナマイト発見の際の、2つの室内における長回しの方が凄いな。また、ホテルでの殺人における圧倒的な光と闇、鮮烈な音楽の対位法。更には杖、声の反響といった発想の巧みさ。仰角ショットに埋もれるウェルズの巨体から匂い立つ悪の黒さ。ちょい役の顔ぶれもまた良し。ジャネット・リーも素晴らしい。冷え冷えとした熱気と荒涼の支配する世界、どっぷりと浸かった。[投票]
★4マルメロの陽光(1992/スペイン)エリセらしい豊かな時間の流れが味わえる。常に現在を流れ行く陽光の推移は、絵画ではなく映画にしか撮りえないのだろうか。窓やランプから差し込む見事な光。願わくばもう一本長編を![投票]
★3ゴースト・エージェント R.I.P.D.(2013/米)カメラマンが代わってもシュヴェンケは自分のルックスを維持している。夜の波止場やケヴィン・ベーコン宅での光が美しい。が、バディムービーや此岸と彼岸の往還に伴う差異の演出、これらの点に関しては物足りなく映る。実質87分の中でエンジンのかかるのが1時間過ぎ。やはり遅すぎるであろう。メアリー・ルイーズ・パーカーがいなければ相当に厳しい。[投票]
★4上海から来た女(1947/米)同時代にしては非常にショット数の多い部類だろう。異様な迫力をたたえたアップ群。生々しい中華街ロケはヌーヴェルヴァーグの先駆でもある。アンドレ・バザンのいう画面の「空間的深さ」は他のウェルズ作に比べるとあまり見られないが、裁判所シーンからラストの鏡の間での銃撃戦にかけては、現実の曖昧さを提示した映画的リアリズムとして実に見事。[投票]
★4市民ケーン(1941/米)パンフォーカスなど技法そのものより、パンフォーカスを駆使して前景後景に別々の運動を生起させ厚みを加える様、長回しにおけるクレーンの使い方、天井が映り込む仰角ショットの数々、巧みな省略、そういった諸々の使い方が多大な影響を及ぼしたのだろう。しかし本作は映画史上どころかウェルズの最高作ですらない、と私は思う。[投票]
★4ゴダールの新ドイツ零年(1991/仏)どのショットも見事な照明と絶妙なカメラ位置で切り取られていて全く見飽きない。無論題名が題名であるし『アルファヴィル』の主人公まで持ち出してきているのだから、ある種の作家的憂愁を感じ取ることも可能だが、私はその方面には興味を惹かれない。[投票]
★3パリところどころ(1965/仏)3.5点。運動を捉えられている2,4,5話が面白い。ゴダール編はフィクスがほとんどなく、カメラの人物への肉薄の仕方がまるで記録映画かカサヴェテスのように感じた。実際カメラマンは何も伝えられず、「記録映画と同じように撮れ」とだけ指示されたらしい。2話目は女がエレベーターに乗った際1度カットしてますね。女優では3話目と6話目のメイドが好み。[投票]
★4黄色いリボン(1949/米)雷鳴が轟く施術場面の美しさ、或いは馬が疾駆するショットの猛烈な速度感。もしくは ヴィクター・マクラグレンが酒場で大喧嘩する無意味さも良い。そして、やはり本作もジョン・フォード的な「帰還」する物語なのだ。 [review][投票(1)]
★4さすらい(1976/独)最初の2時間は掛け値なしに傑作だが、映画館と印刷所のシーケンスが交互にクロスカッティングされる部分を頂点として最後の1時間は勢いが萎んでいく。それでもロビー・ミューラーの見事なモノクロ撮影のおかげで飽きずに見通せるが。 [review][投票(1)]
★4タブウ(1931/米)あの『サンライズ』のムルナウ監督作でありしかも遺作ということで、さすがに期待しすぎた。しかし、これだって今発表されれば当然のようにベストを争う出来だ。フラハティがどこまで関与したのだろうか、水面の揺らめきの美しさはただ事ではない。婚礼の儀の場面における圧倒的興奮![投票]
★4夜の人々(1948/米)ニコラス・レイのデビュー作は既にして傑作だ。ファーリー・グレンジャーキャシー・オドネルとの運命的な出会いが、画面だけで分かってしまうその凄さ。真に美しいクローズアップの数々。人間の心の流れ、その軌跡を描かせればレイの右に出る者はそうそういない。[投票]
★4さらば夏の光(1968/日)3.5点。衒学めいた台詞が心底鬱陶しいものの、電車内に外からの光が美しく反射していくショットやその他照明の見事さ、これだけでも吉田喜重の映画的才能を感じ取るには十分すぎる。そしてやはり随所で「水」が現れる。[投票]
★4人間の約束(1986/日)決して安易な社会批判やミステリーに終わらせることなく、どこをどう切っても「映画です」という画面の連鎖に唸る。観ようによっちゃあ、吉田喜重による小津への返答ともとれますな。それらしい構図も川辺で1ショット有った。「水」「鏡」を主要モチーフとした、紛れもない映画作家による傑作。[投票]
★4沓掛時次郎 遊侠一匹(1966/日)加藤泰美学の結晶ともいうべき名ショット(画面のぼかした部分も演出されている。その凄み!)・名場面には事欠かない。が、これではあまりにコテコテすぎて窮屈とも思う。渥美清との絡みも短すぎる。任侠・時代劇以外での加藤泰をもっと観てみたい。[投票]
★4フライトプラン(2005/米)バルカン超特急』『間違えられた男』などヒッチコックを拙いながらも受け継いでいることに好感が持てる。が、ここはよく勉強すれば(下手糞であるにしても)誰でも出来る部分。私が真に驚愕したのは、見事なショットと繋ぎが見られる終盤の活劇演出、更にはラストシーケンスにおける、イーストウッドのように美しい「光」に包まれた親子の姿である。『パニック・フライト』と共に巻き込まれ型飛行機サスペンスの傑作。[投票]
★4出発(1967/ベルギー)ジャン・ピエール・レオーのチャームポイントをしっかり押さえている。基本的にサイレント調で撮られており、鏡を運ぶ場面など鮮烈なイメージも多々あって十分面白い。67年の作としてはちょっと古いが、スコリモフスキもヌーヴェルヴァーグやってみたかったのだなあ。[投票]
★4風の武士(1964/日)加藤泰らしい情念の物語。アクション演出も無論良いが、何よりメロドラマとしての強度に優れている。[投票]
★3激動の昭和史 沖縄決戦(1971/日)3.5点。岡本喜八の能力の高さは伺えるが、数珠繋ぎにされたダイジェストという印象を拭えず。それでも後半摩文仁への撤退戦辺りからは、気象・時刻・地形のバリエーションが増え面白い。沖縄民謡の主題を盛り込んだ佐藤勝のテーマ曲は珠玉。池部良高橋悦史岸田森ら良い顔つきの役者が次々と登場し、大作を観ているというわくわく感は存分にある。[投票]
★4東京上空いらっしゃいませ(1990/日)3.5点。牧瀬里穂笑福亭鶴瓶の演技をずっと見ているのはさすがにしんどい。が、やはり相米慎二には見所がある。バイト上がりの買い物と「歯磨き!」に泣けてしまうのは何故だろうか。映画とは瞬間であり、これだけ良いシーンを詰め込めば破綻などどうでもよくなるものなのだ。[投票]
★4飛行士の妻(1980/仏)一見無頓着なようで計算された構図(冒頭洗面所でのショットにおける鏡の配置など)、自然光・間接光源を見事に扱った美しい照明。バスでリュシーと出会う際の視線演出を筆頭に、全編隠れた厳格さに痺れる。傑作。改めてロメールの映画を観るとカサヴェテスっぽくもある。[投票]