★3 | スパイの妻(2020/日) | 逆賊の妻に堕ちる決意に世界視野の判断なぞ微塵も関与しない女の性に黒沢は元より関心がないのに女優蒼井優の表現力が辛うじて崩壊を繋ぎ止めてしまう。それでも一大クライマックスになる筈のスクリーン前での大見得は展開の表層性ゆえに虚しく空転。 | [投票(5)] |
★3 | コンフィデンスマンJP ロマンス編(2019/日) | カモる仕掛けがまずあって逆算構築された前半2/3のドラマはどうでもいいよな小ネタをまぶしてダルく救いようがない。本質ダウナー系と思われるまさみの躁芝居が板についてないのも痛々しさを煽る。ではあるが根が善人な俺はまんまと騙されましたっす。 | [投票] |
★5 | 福田村事件(2023/日) | 新のインポと瑛太一行の被差別部落であることと東出の邑社会からの逸脱が前半を牽引するのだが、それらは事件と因果関係がないという脱構築された構成が数多の史実・伝聞を包含して到達した巨視的フォークロア。廃された情緒。際立つ諦念と無常。 | [投票(2)] |
★4 | 寝ても覚めても(2018/日) | 失踪とドッペルゲンガーの合わせ技は徒にリアリズムを混入して境界を突破し損ねた感があるのだが混入物が思わぬ自走をみせる。演劇ネタでの逸脱は地震という掟破りの荒業を馴染ませ淀みがない。描写のコクは随所で見られ別けてもレストランでの邂逅は戦慄的。 | [投票(2)] |
★2 | 散歩する侵略者(2017/日) | 柄になく「愛」をやろうとし案の定スベッた。宇宙人侵略という大状況を設定したが出涸しギミックを弄し箱庭に収縮した大昔の自主映画めく。妻は夫を2度失う。1度目で喪失した愛は2度目で回復したらしいが認知症介護で情が湧いた程度レベル。虚ろな全肯定。 | [投票(3)] |
★4 | 青春ジャック 止められるか、俺たちを2(2023/日) | 正直映画の中で決定的な何かが起こる訳でもない。寧ろショボい話と言える。だが、あの80年代の空気の中で何かが変わる何かをやれると遮二無二なって脇目も振らず七転八倒した彼奴とあの子とあの人たちとの話で井上の極私的心情に深く同期する俺がいる。 | [投票(2)] |
★4 | 桐島、部活やめるってよ(2012/日) | 部活組と帰宅組と間で揺れ動く者の青春の悶々という超ミニマム命題が、素晴らしくシュアな技術と技法で解題されそうになるが、そういう閉じた空間を破り外世界を窺うにオタクどものゾンビごっこを持ち出した時点で退く。そんなもん屁のつっぱりにもならない。 | [投票(4)] |
★4 | クローズ EXPLODE(2013/日) | ワイルドサイドな昭和ロックで開巻した物語は豊田十八番のパンキッシュスローへと引き継がれ以後一切澱まない。ワルメン的底浅ではなく地べたからの上昇志向とニヒリズムの噛み合わせの妙。ダサくかっこ悪いことを同じ視線レベルで描けて胡散臭さが無い。 | [投票] |
★4 | パンク侍、斬られて候(2018/日) | 現代若者考的マイルド批評を呑んで溜めて丁々発止の台詞応酬が炸裂する前半が秀逸でトヨエツの自在さが映画を支配。橋本チック回想も良。だが、邪教集団・念動力・猿の3大ネタ投入で地の果てまで行く筈の世界はダウナー系に沈殿。景子が可愛い。 | [投票(2)] |
★5 | 寄生獣(2014/日) | モロCGに依拠する題材だが、アクションを描くに距離・空間の活用(ビル屋上での対峙)や編集・アングルのダイナミズム(高架下での戦い)を用い古式床しい映画術の王道を踏襲してる。充分に情緒的なのにベタつかない少年成長譚としても奇跡的バランス感覚。 | [投票(2)] |
★3 | 関ヶ原(2017/日) | 駆け足のトピック連鎖はコンセプトとして有りだと思うが、肝となる心根にはある程度の感情の納得性を付与せねば持たない。島左近・大谷刑部・小早川秀秋に関してのそれが決定的不足。その分架純に尺を使うのは精進料理にお砂糖。そして定型的滅びが来る。 | [投票(5)] |
★4 | 0.5ミリ(2013/日) | 内輪映画的安寧がシネフィル的偏狭を微塵も感じさせない親爺譲りの大味作風を桃子に獲得させたのか。一見ダラな散文紀行が叙事詩のような巨大感を醸し出す…かのように見える。いっその事、物語の回収やトリックスターサクラの理由付けは不要だった。 | [投票(1)] |
★3 | 菊とギロチン(2018/日) | 底辺での共振を描くにもギロチン社の面々のバカさが邪魔し熱くもなれない。在郷軍人会の毒を喰らわばの悲哀と在日の圧殺史の悲愴がフィーチャーされるに及び映画は止め処なく拡散。主人公花菊はそういう混沌を突き抜ける生・性のダイナミズムにも欠けるのだ。 | [投票(2)] |
★3 | GONIN サーガ(2015/日) | 因果といっても傍流の話で何がサーガやねんとも思える偏屈展開のくせに、やたら初作をインサートさせる世間への阿りが潔くない。バージョン劣化が明らかな面子のなか竹中やアンナが良いといっても今更だ。エンドタイトルの空撮だけ超絶にかっこいい。 | [投票(1)] |
★5 | クリーピー 偽りの隣人(2016/日) | 戯言のマクガフィンを振り回すかの御仁並みに整合性ない歯抜けのプロット繋ぎでも豊饒な映画言語の釣瓶打ちを弄し持っていっちまう域に達したのだと思う。大学での審問のゴダール的長回しや茶番すれすれのプロローグの大見得。シネスコ使いは随所で完璧。 | [投票(3)] |
★5 | BLUE ブルー(2020/日) | 持てる者を傍目に見ながら持たざる己を弁えて生きてきた男が、それでも潮時を悟ったとき鬱屈した思いを吐露する夜道の対峙。鮮やかなスウェー&右フックを見せられ全てが振り切れる。帳尻ついた人生に寄せる作り手の思いは走り出した2人の上空で揺蕩うのだ。 | [投票(1)] |