★3 | HOUSE ハウス(1977/日) | 出来不出来はともかくひたすら写実を追求して来た特殊効果の世界に「ヘタウマ」とも言うべき一種ポップなあからさまな虚構を「これも又アリ」と思わせたコペルニクス的作品とも言えるが、始まって30分位経つとしんどくて嫌になってくる。過剰は為ならずだ。 | [投票(1)] |
★3 | ウォーターボーイズ(2001/日) | プチ周防化するのはいいが、お上品にまとまり過ぎ予定調和に安住してる。フィンガー5やPUFFYの楽曲に助けられてクライマックスは辛うじてカタルシスのようなものをもたらすが、マイナージャンルにいる被虐とそれ故の連帯が生む力を描き切れてない。 | [投票(1)] |
★5 | 台風クラブ(1984/日) | 刻々と迫り来る台風の予兆と淡い危機への緊張と切迫の狭間で何かにつけて自制が効かずにイラつく中学生の生理が同期し過剰反応していく。このライブ感覚は生硬な物語性を凌駕しており、雨中の裸踊りこそ相米イズムの理想的達成。むず痒く居たたまれない。 | [投票(3)] |
★3 | サマーフィルムにのって(2021/日) | 時代劇マニアの女子高生って胡散臭えーと思ったら、主演男に恋して乙女になっちゃったときた日にゃあもうついていけん。そんな子が末は大監督って言われてもな思う。お座為り未来ネタに『時かけ』前フリも言い訳がましい。ラストの殺陣だけは頑張ったネ思う。 | [投票(1)] |
★5 | のぼる小寺さん(2020/日) | モラトリアムに過ぎゆく10代の黄昏。彼奴も此奴も同じと思ってたがそうじゃない彼女への興味は何時しか連帯渇望になる。押しつけがましくない青春への提言であり茫漠とした過渡期への慈しみ。茶番になりかねぬアイコン性は工藤遥の身体性で担保される。 | [投票(5)] |
★3 | 十五才・学校4(2000/日) | 長距離の運ちゃんにせよ頑固な爺さんにせよ、そういう未知世界の住人との邂逅を自己回復のよすがとするなら最低の因果律を提示せぬでは片手落ち。散文的でドラマトゥルギー皆無。散文だと言うなら役者陣がベタ過ぎ。「引き篭もり男」の挿話は若干射られたが。 | [投票] |
★3 | 旅の重さ(1972/日) | 思い込み少女の一夏の経験は万事作り事めいて白々しく、こっ恥ずかしいこと甚だしいが、一応三国や高橋悦史が大真面目に脇から締めているので見れるものにはなっている。高橋洋子の瑞々しさも救いではあった。 | [投票(1)] |
★4 | がんばっていきまっしょい(1998/日) | 竹中直人不在が象徴する周防的ギミック偏重の邦画潮流からの決別と、芸が無いとも言える典型スポ根にも拘わらず全くベタじゃないという奇跡の混在。その奇跡の結露としての澄み渡ったような透明感が良い。調和的なノスタルジアだとしてもだ。 | [投票(2)] |
★5 | 異人たちとの夏(1988/日) | 主人公宅を名取が訪れる場面や寄席の外での片岡との邂逅シーン等、尋常じゃない世界との接触を日常に埋没させる山田の巧妙な台詞回し。浅草シークェンスは全て突出するが、マンションのパートも都会の孤独を表出させ冷めた金属のように心を穿つ。 | [投票(6)] |
★4 | アメリカン・グラフィティ(1973/米) | 夜通し光り煌めくローカルタウンはルーカス流『ラスト・ショー』への返歌だったのだろうか。最後の馬鹿騒ぎに繰り出す4人の幼馴染みは実は全くつるまない。わけてもドレイファスの孤独で切ない彷徨はこの映画の肝であった。 | [投票(4)] |
★4 | おもいでの夏(1971/米) | 泡沫の如くに過ぎ去るひと夏の淡い思い出が人生に何を呈するのかなぞと野暮は言わずに浸りきろうという割り切り。ズームやスローモーションの多用がかなり煩いが、ここまで戦略的にやられると諦めがつく気もする。ベタに流れそうでそうならない程のよい感傷。 | [投票] |
★4 | 銀の匙 Silver Spoon(2013/日) | 今更ながらの泰平なニッチ業界少年成長譚なのだが、ヘタに周防や矢口の先駆者に並ぼうとせず、寧ろ上島などの緩い廉価品再生に活路を見出したのに好感を持つ。翔・力の対峙に至っては賞味期限過ぎの腐りかけ豚肉の熟成的芳香をさえ放つ。 | [投票] |
★3 | 時をかける少女(1983/日) | 『ねらわれた学園』でのオプティカルの極北と反動とも言える『転校生』での情緒的な思春期描写への傾倒を経て両者をバランス良く融和させ得た。この世界の中で完成されてるんだとは思うが対して驚きもない時空ネタ。一方知世もガキすぎで切なさ不寛容。 | [投票] |
★4 | 美しい夏キリシマ(2003/日) | 地方のコミューンのエロスとタナトスの混在を描いて『祭りの準備』姉妹篇の趣があるが、男が不足する世界で枯れた原田が色気を抑え基軸となり世界をこちら側に繋ぎとめている。総じて女優陣も素晴らしいが、それ以上に特筆は田村演出の室内の夢幻光。 | [投票(2)] |
★3 | 父と暮せば(2004/日) | りえの「おとたん」には泣けるし原田の包容力と慈愛も十全。ジャンケンを巡る挿話は催涙装置がMAXに機能する。だが展開の妙はさほど無く結局は原爆惨禍のメッセージばかりが前に出る。トリッキーな2人芝居の仕掛けは何だったかとも思えるのだ。 | [投票(1)] |
★2 | 戦争と青春(1991/日) | モノクロームで描かれた回想場面は総じて悪くはないのだが、現代との連関に女子高生を狂言回しにするというのが及び腰に思えるし商業主義的妥協の方途にも見える。戦争というものの記憶が冷めやらないギリな時代の名匠の遺言ではあるが出涸らし感は拭えない。 | [投票] |
★4 | 対馬丸 −さようなら沖縄−(1982/日) | 日本アニメの基底を形成する人々が、絶対的確信のもと残した意義ある結晶。芝山的キャラが形成する安寧世界が一転して地獄絵図に突入する衝撃。その沈没シーンは『タイタニック』も真っ青。極限状態の人々を気負い無く描くノーブルさにこそ心撃たれる。 | [投票(1)] |