高橋英樹の映画ファンのコメント
水那岐のコメント |
君は恋人(1967/日) | お祭り映画としてもこれはちょっと酷い。ストーリーのありきたりさをメタフィクション風味で誤魔化しているとしか思えない。もっとも、斜陽の日活にあって、負傷から立ち直った浜田光夫を元気付けるためにはこれくらいやらないといけないのだろうか。すべての歌唱シーンは冗長で心も高揚しない。 | [投票] | |
こんにちわ20才(1964/日) | 岡本喜八の『若い娘たち』と同じ石坂洋次郎作品からの映画化だが、こちらに自分は軍配を上げたい。ユーモラスさにキャラクターへの愛情がこもっているか否かで判断したのだが、何、煎じ詰めればミーハー根性からなのだけれどね。 [review] | [投票(1)] | |
狼の王子(1963/日) | 舛田利雄の巧さで中途までは期待を繋がされる出来になっているが、やはりこれも慎太郎節そのものの映画だった。ルリ子は小ぢんまりと纏まった詰まらない女として描かれ、その前でうろうろと逡巡する英樹はやがて幸福を捨て去り、マッチョな哲学を取り戻す。その過程で語られる例によっての大演説。舛田は本当に巧い料理をしているんだが…。 | [投票] | |
青い山脈(1963/日) | 時代に合わぬと蔑むなかれ、古風で可愛らしい明朗青春映画として楽しむべし。高橋英樹の三枚目ぶりは自分には意外だったが、なかなかマッチングして面白かった。 [review] | [投票(1)] | |
帰郷(1964/日) | 臆病な女奴隷・高峰と高圧的な支配者・芦田に挟まれて、森と吉永の危うさを孕んだプラトニック・ラヴが花開く。その間に交わされる視線の、なんという怖ろしさと背徳感。飛び立つ飛行機の窓外から見える、特別なひとつの光も残酷なまでにちっぽけだ。 | [投票] | |
上を向いて歩こう(1962/日) | 明るい青春映画と思って観ると、これが全ての意味で「怨恨を乗り越えてゆく物語」であることに驚かされる。そして「流血」の物語でもある。 [review] | [投票] | |
けんかえれじい(1966/日) | 愛する浅野順子を思い、いきり立つ一物を涙で抑えながら男の喧嘩道を突き進む高橋英樹は最高にカワいかった。だからこそあの終わり方は納得できない。 [review] | [投票(3)] | |
抜き射ちの竜 拳銃の歌(1964/日) | 赤木圭一郎より数倍増しで剛毅木訥な高橋英樹には、やはり「抜き射ちの竜」なんて異名のヒットマン役は似合わない。それよりもこの話の楽しみはニューフェイスの谷隼人。この作品の翌年、事情により日活を辞めた彼だが、その「事情」がなければ『キイハンター』への出演もなかった。これも天の采配か。 [review] | [投票] | |
若くて、悪くて、凄いこいつら(1962/日) | 和田浩治や和泉雅子はともかく、チャラい高橋英樹はどうにも肌にあわない。それには目をつぶるにせよ、ラストの財界連中をギャフンと言わせるべき行動のツッコミ所満載ぶりもいただけぬシロモノだ。ほんとうに主人公らの義憤は信用できるのかは、実際薮の中であるのだから。ドラマの湿り気のなさは評価に値する。 | [投票] | |
遊侠三国志 鉄火の花道(1968/日) | 小林旭がかつての宍戸錠のような役割。結構ハマっている。しかめっ面裕次郎よりは高橋英樹の組抜けやくざの方が可愛くて好感が持てる。 | [投票] | |
昭和のいのち(1968/日) | 泥臭い日活節はこの末期の作品にもちゃんと息づいている。したたかにして儚い女・ルリ子、不器用で朴訥な軍人・高橋、あまりに非力な左翼青年・浜田といった面々のこの国の腐敗への怨恨は、逡巡する憂国の士・裕次郎の空回りするパワーをあざやかに飛び越えてゆく。日活の屋台骨を揺すり壊してしまった大作『戦争と人間』の前哨戦といってもあながち外れてはいないだろう。 | [投票] | |
アカシアの雨がやむとき(1963/日) | ダークトーンのカメラの魅惑的な深みのなかで、浅丘が珍しく運命に翻弄される儚げな女を演じる。西田佐知子のカラッとした演技も、なかなか捨てたものではない。 | [投票] | |
戦争と人間 第1部・運命の序曲(1970/日) | 浅丘ルリ子の気位の高いお嬢様はハマリ役。大陸伍代・芦田信介の「おぬし」にシビレる。 | [投票(3)] | |
ひるね姫 知らないワタシの物語(2017/日) | 絵が綺麗なこと以外どこを褒めればいいのだろう。物語における実質的な主人公も、異世界の夢とやらが何の意味を持つかという疑問も、果たして老若男女のどの層を対象にした作品なのかも皆目わからない。美少女とロボットを出せば喝采が一部の層から得られると未だに思っているのか。こういう下衆クリエイターこそ邦画界から放逐されるべきだろう。 | [投票(1)] | |
戦争と人間 第2部・愛と悲しみの山河(1971/日) | 山本圭と吉永小百合のカップルだけで+3点。左翼運動家に憧れた遠く幼き日の思い出です。 | [投票(2)] | |
戦争と人間 第3部・完結編(1973/日) | ただただ、吉永小百合がけなげである。それに尽きる!! | [投票] | |
昭和枯れすすき(1975/日) | 秋吉久美子は、70年代前半の映画界を覆っていた虚無と絶望を一身に受け、体現していた女優なのだと、その当時の主演作を観るたびに痛感させられてしまう。 [review] | [投票(2)] | |
雨の中に消えて(1963/日) | 石坂洋次郎作品では、キャラクターはいつもセックスについては頭でっかちだが行動はオクテの態度をとってしまう。吉永も例にもれずそのキャラだが、いささか可愛らしすぎてカマトトに見えてしまう。この映画では比較される立場にある笹森や十朱も、彼女の反面的分身であるところに存在の弱さがある。 | [投票] | |
ひとりぼっちの二人だが(1962/日) | 根無し草でしかあり得ない若者たちが全力疾走する浅草は、彼等に牙を剥きながらも愛を育む迷宮と化す。…が、若者がひとたび愛を叫ぶため立ち止まったとき、その声は全ての登場人物を予想外の力で停滞させてしまう。日本の『ウエスト・サイド物語』にハッピーエンドが必要なら、それはここまでセンチで思考停止的なものなのか。 | [投票] | |
新・男の紋章 若親分誕生(1967/日) | 気恥ずかしいくらい実直な男性讃歌は、剛毅木訥な高橋英樹にはぴったりだ。胴長短足ゆえに「おまえは着流しで任侠ものをやれ」と裕次郎に奨められたことも、彼には結果的に成功だったのだろう。甘いマスクが青春ものに活かせなかったかと首をひねった自分にも、この作品で得心がいった。 | [投票] | |
夢は夜ひらく(1967/日) | 低予算の歌謡ロマンスの枠から一歩も踏み出すことなく、ミニマムにまとめ上げた凡作。会話シーンばかりで映画的アクトは皆無に等しい。園まりは演技ができるため、映画とテーマとなる歌曲が乖離していないのは救いか。今はなき横浜ドリームランドなど、懐かしい光景は見もの。 | [投票] | |
伊豆の踊子(1963/日) | オプティミスティックに観ようとすれば、ここが素晴らしいと挙げられる作品ではない。若い小百合の喜怒哀楽、上目遣いに「活動に連れて行って下さいましね」と幾度となくねだる姿のいとおしさくらいか。浜田光夫に代わっての折角の高橋英樹との共演なのだから変化が欲しいが、それがないのが小百合の不器用さ。 | [投票(1)] | |
俺たちの血が許さない(1964/日) | シラけた哄笑に彩られた活劇もどき。電話と独白、閉じられる鎧戸、もはや銃弾としての演出すら為されない着弾演出。鈴木清順の興味は物語綴りに向けられていないことは明白だし、生きて演技をする俳優すら彼には鬱陶しい生き物なのだろう。高橋英樹や長谷百合の陽性の演技が低能に見える恨み。鈴木にはアニメ演出のほうがあからさまに適任だ。 | [投票] | |
男の紋章(1963/日) | マカロニ・テイストな(と、この時代の映画を言うのはおかしいが)殺陣など凄みはたっぷりなのだけれど、一貫しているのは英樹坊やの意地っ張りな点のみ。最後の最後でドッチラケになってしまった演出は救いがたい。ママや幼なじみは「ああ」であってくれれば安心して反応できるのだろうが…。 | [投票] |