★2 | his(2020/日) | 迅(宮沢氷魚)はかつて地方で、自分がゲイだということを隠し生きていた。その平穏を破るように現れたのが、彼とおなじ高校生の渚(藤原季節)であった。彼らはお互いに思いを寄せ合うが、大学生活の終わりごろふたりの恋は破局する。そして十余年、突然に迅が迎えることになったのは幼い娘・空(外村紗玖良)を抱えた渚だった。彼は実情を隠して空とともに迅の家に住まわせてほしいと願い出、当初は当惑していた迅も3人での生活に馴染み始めた頃、渚がその妻・玲奈(松本若菜)と離婚しようと協議中だと聞かされる。そして彼らのもとに現われた玲奈は空を自動車で連れ去る。ついに迅は恋人の待つ裁判所に出廷せざるを得なくなった。〔127分 〕 | [投票] |
★2 | テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018/英=スペイン=ベルギー=仏=ポルトガル) | かつて処女長編映画『ドン・キホーテを殺した男』で名声を得たが、今はCM監督を生業としているトビー(アダム・ドライヴァー)は、久々にスペインを舞台にCMを撮っていたが、行き詰まり煩悶していた。スポンサーであるボス(ステラン・スカルスゴール)の妻ジャッキ(オルガ・キュリレンコ)に誘惑され、何もせぬうちに浮気を疑ったボスより逃げることとなったトビー。彼は、気分替えに処女作の現場の村を訪れ、主役を演じさせた靴職人のハビエル(ジョナサン・プライス)が、老いぼれて自分はドン・キホーテだとの妄想に生きていることを知る。だが、彼の従者サンチョとして旅に出ることになる運命を、まだトビーは知らなかった。〔133分〕 | [投票] |
★4 | キャッツ(2019/英=米) | ロンドン。一台の車から袋詰めにされた猫が投げ捨てられた。あたりのごみ溜めを縄張りにする野良猫たちに、出てきた子猫はヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)と名乗る。彼女は一群の、人に媚びず自由に生きる猫たち「ジェリクルキャッツ」の仲間に招き入れられた。若い手品師猫ミストフェリーズ(ローリー・デヴィッドソン)は、今夜はジェリクルでもっとも価値ある猫が長老猫(ジュディ・デンチ)の力で天界に生まれかわる特別な夜だという。ジェリクルの猫たちは、かつてのスター猫、ヒマを持て余すオバさん猫、愛されないボロ猫などが顔を揃えていたが、我がままな魔法猫(イドリス・エルバ)は転生を望むあまりライバルを消してゆくのだった。〔110分〕 | [投票] |
★3 | ラストレター(2020/日) | 裕里(松たか子)は自分と面影の似た姉の逝去を知り、その事実を伝えるべく、招待状の届いた姉の学生時代の同窓会に足を運んだ。あまりに若い頃とは異なった顔の皆の中、若さと美しさを失わない彼女は姉その人と誤解され、あまつさえ往時の思い人だった鏡史郎(福山雅治)の心までもざわつかせてしまう。恋心を募らせ、思いの丈を綴った彼のメールを発見した夫・宗二郎(庵野秀明)は激昂して裕里のスマホを水中へ叩き込み、裕里は鏡史郎に伝えるべきことばを手紙に載せて送らざるを得なくなる。だが、姉の名を騙った手紙の一通に、裕里の娘・鮎美(広瀬すず)は触れてしまった。母と鏡史郎、そして伯母の関係に興味をひかれた鮎美はひそかに動き始める。〔121分〕 | [投票] |
★3 | アウターマン(2015/日) | 50年の長きにわたり支持されている特撮ヒーロー番組、『アウターマン』シリーズ。一作ごとに素顔を変える正義の宇宙人、アウターマンファミリーを演じたイケメン俳優たち(塩谷瞬 / 古原靖久 / 戸塚純貴)は、他ならぬその役に潰されてタレントとして伸び悩んでいた。そんな彼らを救うかのように、現実世界にアウターマンが現われ、続発する地震と各地でのガス噴出事件より人々を守ると公言する。椿事に湧く大衆をよそに、防衛庁に現われた異端の科学者(筒井巧)は、アウターマンこそが地球を仲間の住みよい環境に改造している、と訴える。地球を救えるのは「宿敵」シルビー星人(Gero)だけだというのだ。防衛庁は極秘調査に出る。〔82分〕 | [投票] |
★4 | 大きい1年生と小さな2年生(2014/日) | 1年生のまさや(田村睦心)は背は高いが妙に気の弱い男の子で、お母さん(平松晶子)はまだまだ気が抜けない。そんな彼を小柄だが勇気たっぷりの2年生・あきよ(矢島晶子)は放っておけず、登校の際は山道を恐れるまさやを先導するのだった。ある日、上級生の女の子が教室にホタルブクロを刺した花瓶を飾る。歓声を上げるあきよたちに、上級生は一輪ずつ花をプレゼントしてくれた。だが花は、悪童たちに突き飛ばされた彼らのお尻の下敷きになってしまう。あきよの涙を見たまさやは一念発起し、ホタルブクロが咲くという一本杉の野まで代わりを取りにいこうとする。同級生のまりこ(久野美咲)は心配し、まさやの母に告げにゆく。〔25分〕 | [投票] |
★3 | 黒の栖 クロノス(2014/日) | 真(花江夏樹)には、昔から死者をおくる黒衣の男女たち…「死神」の存在が見えていた。死神は電車の前に、ビルの屋上に敢えて進んでゆく者たちに寄り添い、天国に迷わず送り届けるのだ。真がそれを傍観していたのは、「運命」に抗う術などないからだった。それでも高校に通う真には、生き甲斐である恋人・葉月(大地葉)がいた。明朗闊達で才能にも恵まれ、NASAから声をかけられているという彼女の近辺には、しかし年若い死神の晶(小野大輔)が付かず離れずまとわりついていた。今度ばかりは静観できない真は晶を退けようと抵抗するが、その夜葉月は事故に遭って入院する。彼女の魂の昇天を阻むべく、真は晶に挑む。〔25分〕 | [投票] |
★2 | アルモニ(2014/日) | 何の変哲もない高校のひととき。影男(松岡禎丞 )はいつもの気のあったヲタク友達と、昨日のアニメのイカしていたポイントについて感想を分かち合うディスカッションに没頭している。彼が思いを寄せる美少女・樹里(上田麗奈)のほうに会話中気がゆくこともままあるが、影男にとっては世界の違う連中のひとりでしかない、というのが偽らざる現実だ。だが、ある日ちょっとした事件が起きる。樹里が不用意に置いていったスマホに登録された鼻歌を試験中に悪友が流し、それをめぐってひと悶着起きたのだ。そして、影男にとってその鼻歌はあるリアルな映像を呼ぶカギだったのだ。歌をめぐり、近づくこともなかった影男と樹里が急接近を始めるまで時間はかからなかった。〔25分〕 | [投票] |
★3 | 命みじかし、恋せよ乙女(2019/独) | 酒に溺れ家族と離反したカール(ゴロ・オイラー)は、孤独のなかにあって誰かに助けを求めていた。そんな彼の部屋を日本人女性ユウ(入月絢)が訪れる。カールの亡父に世話になっていたと語るユウは、その墓前に参り家に落ち着いた。親たちを呼び寄せるような幻影を纏う彼女との日々。そのあいだに、カールは甥が兄クラウス(フェリックス・アイトナー)の政治活動を嫌い、引きこもっていると聞く。昔からクラウスと仲の良くなかったカールは喧嘩をするが、やがておのれの無力を知らされ、ユウに慰められるのだった。しかし彼女は姿を消し、面影を追って日本に飛んだカールを迎えたのは旅館の老女将(樹木希林)だった。〔117分〕 | [投票] |
★5 | パロルのみらい島(2014/日) | 人間ではない、奇妙な動物たちが平和に過ごす小島。今朝も学校をサボって眠りを貪っていたパロル(藤村歩)は、おてんば娘のリコット(川澄綾子)にたたき起こされた。彼らは海岸に足を向け、海の向こうから漂着してくる怪しげな文明の産物を研究するズーズ(勝杏里)の住処にやって来る。好奇心のカタマリであるリコットは、ズーズの集めたガラクタ箱の中から「花火」の写真を引っ張り出し、それに魂を奪われてしまった。ご法度である島からの脱出を冒し、写真の花火が見られる場所への航海に乗り出す3匹。もっとも引っ込み思案のパロルは、えらいことになったと気が気でないのだが。そして3匹の舟の前に、1羽のオウムが助けを求めて飛んでくるのだった。〔25分〕 | [投票] |
★3 | ラストムービー(1971/米) | 映画のスタントマンを務めるカンザス(デニス・ホッパー)は、ペルー高地の街に足を運んでいた。ここでウェスタン映画を撮るサミュエル・フラー監督のチームに彼は加わったのだ。だが、映画撮影という行為をよく理解しておらず、偽闘で倒れた撃たれ役をも心配する現地民をよそに、スタッフは乱痴気騒ぎに毎夜身をさらし、カンザスの嫌悪を誘うのだった。そんな撮影日も過ぎ、この穏やかな街に居残ろうと決めた彼は、スタッフが現地でスカウトしたマリア(ステラ・ガルシア)とともに居を構える。しかし、映画撮影時の行動を祝祭のように理解した現地民は、街を挙げて「最後の映画」をリアリズムに徹して再現しはじめるのだった。〔108分〕 [more] | [投票] |
★2 | 劇場版マクロスΔ(デルタ) 激情のワルキューレ(2018/日) | 外宇宙移民団の出発から数十年後。異星人との戦闘の切り札として「歌」のフォールド波がものを言う事実に気づいた地球人は、音楽ユニットを異星人との衝突に備えて育成していた。そんな中、辺境惑星の娘フレイア(鈴木みのり)は、戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の新メンバー募集を聞きつけて異星に飛んだ。ワルキューレの歌は、辺境惑星にはびこる人間の獣性を呼び覚ますヴァ―ル症候群の抑制に有効なのだ。少女歌姫たちを護衛する戦闘機部隊の一員ハヤテ(内田雄馬)は、ある時戦場でワルキューレを追い奔走するフレイアの影を見る。ヴァ―ルとなって襲い掛かる兵士たちの錯乱を、彼女は歌声で鎮める。彼女はワルキューレのメンバーに相応しい少女だった。〔120分〕 | [投票] |
★3 | 赤々煉恋(2013/日) | 樹里(土屋太鳳)は高校生のとき自ら命を絶った。それ以来、幽霊になった彼女は孤独で退屈な日々を送っている。彼女のかつての日常は、過度に愛情を注ぎ込んでくる母(秋本奈緒美)に見守られ、恋人未満友人以上の幼馴染み、潤也(吉沢亮)や新しい友人で悲観癖のあるミドリ(清水富美加)に囲まれて、それなりに楽しい毎日だった筈だった。だが、ミドリと潤也の関係をめぐって裏切りを冒してしまった樹里は、全てが馬鹿馬鹿しくてこの世におさらばしたのだ。それでも長すぎる孤独にうちひしがれた彼女は、自分の存在に目を向けてくれた幼女に嬉しくなるが、幼女の母(有森也実)が自殺に魅入られていることに気づく。〔83分〕
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★2 | カツベン!(2019/日) | サイレント映画華やかなりし時代。作品に命を吹き込む「活動弁士」はまぎれもないスターとして映画界に君臨し、人々の賞讃を一身に集めていた。そんな「カツベン」に憧れる俊太郎(成田凌)はフトコロ具合から映画鑑賞もままならぬ中、花形弁士の物真似に血道を上げ、その腕を磨いて初恋の梅子(黒島結菜)を喜ばすのだった。時は流れ、才能を磨いた俊太郎は、老舗の映画館・青木館に就職しようとする。主力の弁士山岡(永瀬正敏)は酒に溺れ、スター弁士の茂木(高良健吾)は対抗相手のタチバナ館に寝返ることを画策し、館主夫婦(竹中直人/渡辺えり)は途方に暮れていたのだ。そして俊太郎の才能が試される瞬間がやってくる。〔126分〕 | [投票] |
★4 | 幸福路のチー(2017/台湾) | 祖母(ジワス・ジゴウ)の急逝を知った女性、チー(グイ・ルンメイ)は勤務地のアメリカから帰ってきた。彼女の実家がある「幸福路」というその街は、チーにとっては特別の思いを寄せた場所であった。博打に目のない父(チャン・ボージョン)と楽天的でタフな母(リャオ・ホイジェン)は、いずれは金を稼いで恩返しをしてもらうにしろ、少女チー(ベラ・ウー)をのびのびと天衣無縫な娘として育てた。チーにかまって貰いたいがためのいじめっ子や、不安を抱える金髪のハーフ少女とのやんちゃを重ねた日々。学生時代の権力との抗争を経て、憧れのウェン兄さん(ウェイ・ダーション)を追ってのアメリカ渡航。チーの思い出は広がる。〔111分〕 | [投票] |
★4 | わたしは光をにぎっている(2019/日) | 早くに両親を失ったハタチの澪(松本穂香)は、民宿の女将を務める祖母(樫山文枝)に引き取られ、そこで手伝いに奮戦する日々を送っていたが、その祖母が病床に伏したことで迷惑をかけられなくなり、東京の下町に引っ越した。父の友人であった三沢(光石研 )は澪を経営する銭湯の空き部屋に住まわせ、ゆっくり仕事を探せ、と言ってくれる。周りの人々もみな優しく、程なくスーパーの店員の職を得た澪は、銭湯の常連である映画監督の銀次(渡辺大知)やOLの美琴(徳永えり)に祝ってもらうのだった。しかし、引っ込み思案で客の対応もままならない彼女はスーパーを辞め、銭湯の仕事を始める。銭湯はある危機に晒されていたのだったが…。〔96分〕 | [投票] |
★1 | ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019/日) | CMディレクターの砂田(夏帆)は、敏腕売れっ子Dと豪語しながらも日々出会う人々を罵倒して止まない荒み切った内情を隠し持つ女であった。彼女にとって、ひっきりなしに訪れる仕事や理解ある夫などは苛立ちを癒してくれるものには決してなってはくれなかった。あるとき、病身の祖母を見舞うべく砂田は嫌悪してやまない故郷へと向かう。道づれは彼女が心を許す数少ない友人の清浦(シム・ウンギョン)。しかし心強い味方を連れていても、故郷の人々のアクの強さに都会仕込みの理屈が通用する筈もなかった。砂田が強い女の仮面を剥がされる黄昏時…「ブルーアワー」。それは清浦との別れの時でもあった。〔92分〕 | [投票] |
★2 | 純平、考え直せ(2018/日) | 新宿・歌舞伎町。ここでチンピラの純平(野村周平)は兄貴分のような立派な「漢」になることを夢に見、あがき続けている。そして親分に対立する組の幹部を撃つ「鉄砲玉」になって出頭しろ、と命じられた彼は、否も応もなく頷く。そんな彼にあるきっかけで会社に踏み込まれたOL加奈(柳ゆり菜)は、彼のカッコ良さに魂を奪われて呆気なく会社を辞め、彼のあとをついてゆくのだった。行動の前の3日間だけ許された美食、愛の遊戯、思いっきりの金の無駄遣い。浮かれた加奈はネットに恋人のことを知らせる。相手にしなかったネット民たちも、次第にこの時代錯誤な恋に夢中になってゆく。だが、その間にも純平の自由に娑婆を味わう日々にも終わりが近づくのだった。〔95分〕 | [投票] |
★4 | ひとよ(2019/日) | タクシー会社を営む一族にあって、事ある毎に子供らを虐待し恥じることもなかった亭主を、その妻であるこはる(田中裕子)は殺害した。彼女はこれからは自由に生きろ、と3人の子らに言い残し、自身は警察にその身を委ねたのだった。そして15年の年月は流れ、刑期を終えたこはるは古巣のタクシー会社に戻ってくる。長男で妻子との関係を悪化させている大樹(鈴木亮平)や、比較的母を信ずる長女・園子(松岡茉優)は突然の帰宅に戸惑い、真意を掴めない彼女にたじろぐのだった。そして雑誌記者を務めるシニカルな次男・雄二(佐藤健)も戻る。彼は先の事件につき批判的な記事を自ら記した男だった。〔122分〕 | [投票] |
★4 | 最初の晩餐(2019/日) | 登山家の父(永瀬正敏)が死んだ。ふたりの子をもつ主婦である長女(戸田恵梨香)に報せを受けたカメラマンの次男(染谷将太)は、都会から故郷に飛んで帰り長女とともに父の葬儀に駆け付ける。葬儀は親しい者だけの簡素なものだ。だが実家でかれらを迎えた母(斉藤由貴)は、客たちのために注文した仕出し弁当をキャンセルしてしまった。父の遺言に従い、母は家族にとって重要な場面に出された料理を作って出すというのだ。目玉焼き、合わせ味噌汁、ピザ…それらは親戚たちには意外な献立だが、家族たちにとっては鮮烈な思い出を呼び起こすものだった。家族の記憶が走馬灯よろしく甦るなか、音信不通だった長男(窪塚洋介)が帰ってくる。〔127分〕 | [投票] |