★4 | 108〜海馬五郎の復讐と冒険〜(2019/日) | 愛妻家である劇作家・海馬五郎(松尾スズキ)は、現在手掛けているミュージカルに疲弊していた。そんな日々のなか、彼に好意を寄せる新人女優(堀田真由)がとんでもない事実を暴露する。妻の綾子(中山美穂)が退屈の果てにとあるダンサー(乾直樹)に愛情を寄せ、その思いをSNSに発表し好評を得ているというのだ。自分の愛を裏切った綾子の不実をなじり離婚しようとする五郎だったが、友人の美津子(秋山菜津子)や糸井(岩井秀人)は財産分与で彼の資産の半分は綾子のものになるだろうと助言する。彼女への復讐として、今ある資産を妻に渡さず全額を108人の女とのセックスに使おう、と五郎は考え実行に移すのだった。〔102分〕 | [投票] |
★3 | ジョーカー(2019/米) | バットマンの誕生より遡ること十数年、大都市ゴッサムは混乱と腐敗のなかにあった。その中で笑いを人々にもたらさんと道化を演ずる男・アーサー(ホアキン・フェニックス)は悪童たちに仕事の妨害を受け、看板を破壊されて上司に大目玉を食らう。そんな、老母(フランシス・コンロイ)ただ独りと暮らす彼には、ベテランMCフランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の仕切るTVのワイドショーが数少ない親子の楽しみであった。ある日、ひとから貰った拳銃を携帯するアーサーは、不用意にそれを人目に晒してクビにされ、帰途でエリート社員に絡まれて恐怖と怒りに攻撃衝動を駆り立てられる。この時、彼の平穏であるべき運命は暗転するのだった。〔122分〕 | [投票(1)] |
★5 | 空の青さを知る人よ(2019/日) | 閉鎖的な街に育った高校生あおい(若山詩音 )は、ベーシストになるべく東京に行くと決心していた。むかし、姉のあかね(吉岡里帆)とともに応援していた高校生バンドのメンバー慎之介(吉沢亮)から、幼かったあおいは腕を認められたのだ。だが、両親のない姉妹にあって妹の世話ばかりを続けてきたあかねは、そんな妹を心配する。そんな中、有名歌手の新渡戸(松平健)が町おこし歌謡の作成のため街にやってきた。そのバックバンドにギタリストとして慎之介が加わっていることを知ったあおいは、絶好のチャンスと自分の腕を売る。だが一方で、彼女の前に高校生時代の慎之介そっくりの少年も現われた。彼の言葉になぜかあおいは惹かれてゆく。〔108分〕 | [投票] |
★5 | 宮本から君へ(2019/日) | 並外れたガッツと正義感の塊である宮本(池松壮亮)は、文具会社に勤める営業部員だ。彼と知り合った年長で強い意志をもつ靖子(蒼井優)は心を通わせ合い、宮本を自室に誘う。それは元カレである裕二(ARATA)の執拗な来訪を妨げるための靖子の打算でもあった。しかし、裕二の暴力が腹に据えかねた宮本は、「この女は俺が守る」と宣言し靖子を抱くのだった。これを機にふたりは本当に結ばれ、ともに祝福されたカップルとなってゆく。そんな折、取引先の真淵(ピエール瀧)は宮本のことを気に入り、ラグビーチームへの参加を求めて酒席に誘った。しかし真淵の息子(一ノ瀬ワタル)は泥酔した宮本をいいことに、靖子に暴行を働くのだった。〔129分〕 | [投票] |
★4 | 惡の華(2019/日) | 盆地として人間の情念を閉塞させるある地方都市。ボードレール『惡の華』を愛読する冴えない少年・春日(伊藤健太郎)は、愚昧に毎日を享受するばかりのクラスメイトを見下し、ナルシシズムに浸っていた。そんな彼は高嶺の花である少女・佐伯(秋田汐梨)にひそかな思いを寄せていたが、ある日誰もいない教室で佐伯の運動着が落ちているのを見つけ、思わず持ち帰る行動に出た。翌朝、体操着の盗難は問題となったが、誰も春日を疑いはしなかった。エキセントリックな問題女生徒・仲村(玉城ティナ)を除いては…。春日の犯行を見ていたという彼女は、口外しない条件に変態的なみそぎを強要する。おりしも佐伯が春日の思いを受け入れたその時に…。〔127分〕 | [投票(1)] |
★3 | 人間失格 太宰治と3人の女たち(2019/日) | つねにスキャンダルに晒され、自殺未遂を繰り返しながらもそのフェロモンで女たちを魅了する昭和の人気作家、太宰治(小栗旬 )。彼の良妻を演じ、愛人たちを呼び寄せる夫の遊興ぶりを「仕事」という言葉で片付ける美知子(宮沢りえ )をよいことに、太宰は作家志望にして美貌までも兼ね備えた静子(沢尻エリカ)を可愛がり、傍におくのだった。そして心のままに寡婦の富栄(二階堂ふみ)までもが、彼の心を共有する女たちの一員に加えられる。進行する病をあざむき享楽の海に浸る太宰に、周囲の文壇関係者の反感も募ってゆく。太宰は彼らに抗するかのように、人間の座を転げ落ちんとする己をモデルに小説『人間失格』の執筆を始めるのだった。〔120分〕 | [投票] |
★3 | ある船頭の話(2019/日) | 山村に住む船頭トイチ(柄本明)は、川の両岸よりの客を対岸に渡す仕事を続けていた。川には西洋式の大橋が今しも渡されようとしており、完成の暁にはトイチが職を失うことは目に見えていたが、それまでの僅かな期間を彼は生業に費やそうとしていた。だが、年若い源三(村上虹郎)のみを友とする孤独を、婦人客(草笛光子)から指摘されたトイチはそれを率直に認めることとなる。そんなある日、ひとりの娘(川島鈴遥)が波に翻弄されつつトイチの船着き場に流れ着いた。息をしていた彼女にトイチは愛情をつぎ込むが、破局の日は近づいていた。『さくらな人たち』に次ぐオダギリジョー監督作品にして初の長編。〔137分〕 | [投票] |
★2 | 台風家族(2019/日) | 父(藤竜也)が銀行強盗で大金を稼ぎ母(榊原るみ)と失踪してから10年。事件時効につき罰されることはないが世間に迫害を受け続けた鈴木一家が実家に集結した。長男・小鉄(草なぎ剛)が両親の死亡を認め、兄弟たちと財産分与を行なう時が来たのだ。当時の夫と別れ、新たな恋人と蜜月関係にある長女・麗奈(MEGUMI)、小鉄とはウマが合わないエリート社員の次兄・京介(新井浩文)…家族たちは到着し、三男・千尋(中村倫也)の遅れを前に、遺体すらない両親の見せかけの葬儀は始まる。無欲を装いながら金銭欲を隠し遂せられない家族は、それぞれに醜い対立を演じてゆく。そんな中、両親失踪の謎が明らかになり、鈴木家に嵐が巻き起こる。〔108分〕 | [投票] |
★3 | タロウのバカ(2019/日) | タロウ(YOSHI )は浮浪少年だ。彼は学校に通うことなく今まで成長して来、その名も母親に貰ったものを捨て、友人たちから改めて得た名前だった。彼の友は二人の男子高校生だ。エージ(菅田将暉)は柔道選手として学校推薦を受けた身だったが、柔道を捨て教師や柔道部員たちに疎まれていた。スギオ(太賀)は、援助交際に勤しむと噂されるピアノの名手・洋子(植田紗々)に切ない恋心を抱いていた。彼らはそれぞれに悩みを抱えながら、それを刹那的な暴力衝動に転換してすべてを破壊し、嘲笑し、暴虐の限りを尽くすのだった。そんな日々のなか、偶然にタロウたちは一丁の拳銃を拾う。それは自由への武器となり得るのか。〔119分〕 | [投票] |
★3 | マザー(2014/日) | 「漫画家楳図かずお(片岡愛之助)の生い立ちを語る本をつくる」楳図のもとにそんな企画を持ち込んだのは、彼とはつきあいの深い出版社の担当だった。彼が伴ってきた若い部下こそが、その企画を立てた思い込みの激しい娘、若草さくら(舞羽美海)だった。さくらは尊敬する楳図の執筆の原動力として、深い絆に結ばれた美しい母イチエ(真行寺君枝)の存在があることを知る。楳図はイチエが亡くなる前、一度死んでよみがえり故郷の村に「お礼参り」をしてきた、と語っていたと聞く。それらのエピソードを調べようと楳図の故郷に向かったさくらは、恐怖すべき体験をするのだった。虚実取り混ぜた漫画家楳図のエンターテインメント・フィルム。〔84分〕 | [投票] |
★3 | 米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー(2017/日) | 第二次大戦当時、沖縄は米国艦隊への防波堤として、日本軍中枢部には見放されむしろ壊滅を望まれていた。その地獄そのものの環境を生き延びた瀬長亀次郎は、沖縄の米軍統治後も不沈空母として便利に使われ続ける状況に怒り、自ら抗議の声を上げた。弁舌に長け、何よりも「不屈」の精神をもって果敢に米軍に挑む勇気を賞される瀬長は、周囲の圧倒的な支持を得て那覇市長となるが、彼と人民党に共産主義の影を見た米国は、明らかな敵として陰に陽に潰しにかかるのだった。そして、布令によって入獄経験がある瀬長は参政権を剥奪される。しかし、沖縄人民の不変の支持とともに、彼は怯まずに抵抗運動に邁進するのだった。〔107分〕 | [投票] |
★4 | ヌイグルマーZ(2013/日) | 素直でない少女・響子(北原帆夏/市道真央)は、誕生日に母(平岩紙)からピンクのテディベアをもらった。つっけんどんに対する響子だが、かすかな喜びもドン臭いロリータ趣味の叔母・夢子(中川翔子)の訪問で吹っ飛んでしまった。居候となった夢子は響子に好かれようと振舞うが、努力も空しく突っぱねられる。そんな時、ゾンビたちの突然の襲撃が街をパニックに陥れた。この世を呪う小男タケシ(猫ひろし)が、宇宙の綿状生命体デパルザ(声・山寺宏一)と組んで地球壊滅に乗り出したのだ。同じ綿状生命体のブースケ(声・阿部サダヲ)が宿ったテディベアとともに、響子を守るべく夢子は戦士ヌイグルマー(武田梨奈)に変身し立ち上がる。〔99分〕 | [投票] |
★3 | センコロール(2005/日) | 怪獣の出現に湧く小さな街。柔軟でプリミティヴな複数の怪獣たちに市民が投げかけるのは漠然とした諦念に過ぎず、自衛隊の単発的な抵抗を無視すれば、かれらは夏の市街に溶け込みかけたオブジェに他ならなかった。そんな中、女学生のユキ(花澤香菜)は他生徒の自転車に興味をもつ。それは精巧な擬態をとった怪獣であり、彼女の好奇心をくすぐるものだった。だがその怪獣…「センコ」の飼い主である少年テツ(下野紘)はうざったがって関わるな、とユキに釘をさす。それでも、ユキはセンコにちょっかいを出すのだった。そしてもう一人の関係者・少年シュウ(木村良平)は彼の所有する怪獣とセンコを戦わせたがり、嫌がるテツのためユキを人質にとる。〔30分〕 | [投票] |
★5 | 天気の子(2019/日) | 高一の帆高(醍醐虎汰朗)は家出して東京にやって来たが、世間の冷たさを肌で知り困窮のなかにあった。そんな彼をバイト先で見た少女・陽菜(森七菜)は、内緒でハンバーガーを差し入れしてやるのだった。やがて胡散臭いオカルト雑誌の編集長・須賀(小栗旬)に拾われた帆高は、そこで雑用をこなす毎日のなか、陽菜がヤクザに連れ去られる現場に遭遇する。彼女の手をとって脱出する帆高は、陽菜には知られざる秘密があることを知った。「100%成功する晴れ女」という顔を彼女は持っていたのだ。帆高は陽菜の弟・凪(吉柳咲良)の協力も得て、晴れ女サービスのバイトを始める。おりしも豪雨に晒される東京で商売は繁盛するが、彼らは警察に警戒され始めた。〔114分〕 | [投票] |
★1 | 僕の彼女は魔法使い(2019/日) | 高校生の優一(梅崎快人)は、趣味で神秘学や古代文明の謎などの本を読み漁る少年だった。そんな彼の前に、突然ひとりの少女が現われ、こんな言葉を吐き出した。「やっと会えた」彼女は風花(清水富美加、千眼美子名義)といい、優一とは運命の赤い糸で結ばれた存在で、彼を求めてこんな世界まで旅してきたらしい。優一のクラスに転入してきた彼女は、優一のために魔法としか思えない不思議を起こし、まとわりつく。だが、そんな彼女に黒い使者たちが攻撃してきた。彼女は何者か?パニックを起こしそうな優一を召喚した老人(不破万作)のことばによれば、風花はこの世で最後の白魔術師であり、優一と協力することで黒魔術師たちに対抗できるというのだった。〔97分〕
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★3 | ハル(2013/日) | 近未来の京都。移民を受け入れるようになったこの国だったが、少子化問題がことのほか酷くなっている昨今、ロボット労働者は貴重な助け手となっていった。ロボット労働者の「キューイチ」は、恋人を事故で失い生きる気力を奪われた孫の支えとなってくれ、と雇い主の老爺・時夫(大木民夫)に頼まれる。その翌日、青年ハル(細谷佳正)は医師の荒波(辻親八)とともに、ある小物屋を訪れる。そこに住んでいる女性、くるみ(日笠陽子)は事故以来ふさぎ込んでいたが、ハルはここに日参して彼女の生活のケアをすることになる。ハルを拒絶する彼女だったが、恋人との思い出の品を通じてくるみの心は次第に開いてゆく。〔60分〕 | [投票] |
★4 | 凪待ち(2018/日) | ろくでなしの男・郁男(香取慎吾)はバツイチ恋人の亜弓(西田尚美)と一緒に暮らすこととなり、ギャンブルの泥沼より足を洗い、真っ当な暮らしを始めようと決意する。しかし、亜弓の連れ子ながらよい関係をもつ美波(恒松祐里)らとの生活を思えば、転居先・石巻に待つ義父の勝美(吉澤健)との関係は良好なものではなかった。それでも印刷会社で働き始めた郁男には小野寺(リリー・フランキー)という友人もできはしたが、ふとした機会から彼のギャンブル熱はふたたび頭をもたげるに至るのだった。そんな中、亜弓と口論となった美波は家を飛び出し、車で捜索中にいがみ合った郁男と亜弓は別行動をとる。それが亜弓の最後の行動だった。〔124分〕 | [投票] |
★2 | 馬の骨(2018/日) | 平成初期。空前のバンドブームのなか、バンド「馬の骨」は伝説の番組「イカすバンド天国」にて審査員特別賞をもらった。30年後、かつて注目の的となった「馬の骨」のヴォーカル熊田(桐生コウジ)は凋落し、道路警備員となっていた。だがつまらぬ喧嘩で熊田は職を失い、とりあえず安い住処を探してあるシェアハウスに移住することになる。その家で、熊田は地下アイドルのユカ(小島藤子)に出会う。アイドルを卒業しソロシンガーを目指すユカは、ミュージシャンだと偽った熊田に音楽を教えてもらおうとするが、彼女を独占したいヲタク青年垣内(深澤大河)によって熊田は正体を暴かれる。だが、ユカの熱意は熊田の意欲に火をつけた。〔91分〕 | [投票] |
★5 | きみと、波にのれたら(2019/日) | 海岸沿いの街に転居してきた大学生のひな子(川栄李奈)は、早速大好きなサーフィンに興じる。波乗りの腕は玄人はだしの彼女も、新天地にはまだ不慣れなため、自宅マンションの場所を尋ねた男が消防士の港(片寄涼太)だった。そして他ならぬ彼が新居の火災からひな子を救ってくれることとなる。ふたりは瞬く間に親密になり、ひな子は港にサーフィンの方法を教える。だが「ひな子は自分のヒーロー」と賞讃し訓練を重ねた港は、ある日事故で帰らぬ人となってしまった。落ち込むひな子に毒舌を吐く港の妹・洋子(松本穂香)、何とか救ってやろうとする新米消防士の山葵(伊藤健太郎)をよそに、ふたたび港は特別なカタチでひな子の前に現われる。〔96分〕 | [投票] |
★2 | なぜ生きる 蓮如上人と吉崎炎上(2016/日) | 親鸞が浄土真宗をひらき、苦海のようなこの世からの救済の道を説いてしばらくの年月が流れた。戦国時代のただなかにあって、貧困に負けず生き抜いてきた男・了顕(小西克幸)は、この世を呪い人を疎んじながら生きる気力を求めていた。だが、希望を託した我が子を孕み、一身に尽くしてくれた妻(藤村歩)を事故で失った彼はどん底に突き落とされる。抜け殻のようだった彼に、もう一度人生の意味を考える機会を与えたのが、妻にも教えを説いた親鸞の思想を伝える僧侶・蓮如(里見浩太朗)の法話だった。人は流れに翻弄され、溺死を待つだけだというのになぜ生きるのか。了顕はその意味を聞き生きるために、蓮如の教団に身を投じるのだった。〔84分〕
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