★3 | マリー・アントワネットに別れをつげて(2012/仏=スペイン) | フランス革命時。既にバスティーユ監獄は落ち、王政は風前の灯となっていた。その中にあって、年若いシドニー(レア・セイドゥー)は王妃マリー・アントワネット(ダイアン・クルーガー)のよき朗読係として、毎日その無聊を慰める生業に身を投じていた。王妃を崇拝する彼女は、王族への良からぬ噂を遠ざけて忠誠に励むが、資料編纂官のモロー(ミシェル・ロバン)より聴いた革命派の進撃については否定できないものを感じ取っていた。そして市民代表は286人の斬首刑に処する人々のリストをばら撒き、貴族たちの恐怖は現実のものとなる。その渦中で、王妃のポリニャック公爵夫人(ヴィルジニー・ルトワイヤン)への偏愛がシドニーの心を掻き乱す。〔100分〕 | [投票] |
★2 | 宇宙刑事ギャバン THE MOVIE(2012/日) | 日本初の火星探査ロケット「かなた」に乗り込んだ撃(石垣佑磨)と遠矢(永岡卓也)は幼なじみの親友だった。だが、彼らにとって掛け替えのない女性である衣月(滝裕可里)と誓い合った生還は果たせず、ふたりは宇宙の塵となったかと思われた。一年後、研究機関に留まり学究にいそしむ衣月を怪人「ザン・バルド」が襲った。危機に陥った彼女を救った銀色の装甲に身を包む男は、「宇宙刑事ギャバン」と名乗り怪人を粉砕する。そして装甲を解除したその正体は撃だった!とまどう衣月を前に、撃はロケットの爆破から先代ギャバン(大葉健二)によって救われ、甦った犯罪組織「マクー」より地球を救うため宇宙刑事になったことを告げるのだった。〔83分〕 | [投票] |
★3 | 番場の忠太郎(1955/日) | 飯岡助五郎(伊東健)という親分を斬り、渡世人として名をあげようとした番場の忠太郎(若山富三郎)は、しかしやくざとしてのわが身を呪うこととなった。彼に助太刀したばかりに命を狙われる弟分の半次(三井弘次)を救い、親元に帰り孝行せよと説いた忠太郎は、姿かたちも知らぬ母を慕って江戸へ向かう。半次の妹おぬい(桂木洋子)は忠太郎を追うが、助五郎の手下たち、御用役人の青木(森繁久彌)も旅路に沿って近づく。だが忠太郎の純情を知った青木は、彼を放免して見送ってやるのだった。そして江戸にたどり着いた忠太郎は、母のお浜(山田五十鈴)が待つという料亭の扉をくぐった。1931年『瞼の母』の中川信夫版リメイク。〔86分〕 | [投票] |
★3 | 関の弥太っぺ(1959/日) | 関の弥太郎(長谷川一夫)は渡世の義理ゆえに、徳造(田崎潤)という男を斬った。徳造の義弟、森介(勝新太郎)は弥太郎に刃を向けるが、徳造は礼をわきまえた弥太郎への逆恨みは無用、と言い残して息絶える。その場を去ったのち、盗まれた50両の大金をめぐり子連れの男、和吉(本郷秀雄)と争い、その娘を引きとる弥太郎。沢井屋という旅篭に着いた彼は、養育費の50両と娘を主人の金兵衛(嵐三右衛門)に託し、再びあてのない旅に出た。10年ののち、弥太郎はあの娘…お小夜(中村玉緒)が美しく成長し、恩人を捜し求めているとの噂を聞き、沢井屋に向かう。だが彼を、復讐のため剣の腕を磨いた森介が追った。〔95分/スコープ〕 | [投票] |
★4 | 浮かれ狐千本桜(1954/日) | 鎌倉の名代・景時(鳥羽陽之助)の讒言により、源氏の御曹司・義経(和田孝)一行は追われて奥州へ落ち延びることとなった。愛妾の静(長谷川裕見子)の身を案じた義経は、「初音の鼓」を彼女に託して別々に逃避行に出る。その静の前に現われた狐(伴淳三郎)はなぜか家臣の忠信の姿を借り、静の危機を救いつつ同行するのだった。一方、弁慶(益田喜頓)らに守られた義経は渡海屋で一宿する。渡海屋の主人・銀平(市川小太夫)は鎌倉勢を退け、平知盛の正体を現すが、義経を思う娘にほだされて彼を見逃す。そして、静の懐から金銭を巻き上げたいがみの権太(花菱アチャコ)は、義経一行の接近を知り一計を案じて近づいた。〔84分/スタンダード〕 | [投票] |
★4 | あした晴れるか(1960/日) | ヤッチャ場育ちのカメラマン・耕平(石原裕次郎)は、フィルム会社の企画「東京探検」に起用され、昭和の大東京をカメラに収めることとなった。彼をサポートするのが、黒ブチ眼鏡がトレードマークの行動派宣伝部員・みはる(芦川いづみ)である。だが、彼らの行く手にはあわて者のホステス・セツ子(中原早苗)や、グレかけたみはるの従弟・昌一(杉山俊夫)らが現われ、話をややこしくしてゆく。その上に耕平の撮ったある写真に、「人斬り根津」(安部徹)なるやくざが目をつけたことから、きな臭い空気が一同の周りに漂い始めるのだった。モダン派、中平康がメガホンをとったコメディ仕立ての一作。〔91分/スコープ〕 | [投票] |
★2 | 009 RE:CYBORG(2012/日) | ギルモア博士(勝部演之)によって改造されたサイボーグたちは、有事に備えて各々の生活のなかに埋没していた。その一人ジョー(宮野真守)は、無差別テロに揺れる21世紀世界にあって高校生生活を続けていたが、その頭脳に語りかける「彼」の声にあやつられ、東京を「リセット」しようとしていた。それを察知したジェロニモ(丹沢晃之)とフランソワーズ(斎藤千和)の捨て身の行動により、ジョーの記憶は甦り、東京は惨事を逃れる。一方、アメリカを訪れたグレート(吉野裕行)は「彼」の声の引き起こす事件について合衆国諜報員たるジェット(小野大輔)に問うが、ギルモアと袂を分かった彼は口を閉ざす。総てを滅ぼす「彼」とは何者なのか。〔103分〕 | [投票] |
★3 | 声をかくす人(2010/米) | 南北戦争終結の夜。北軍の英雄であったエイキン(ジェームズ・マカヴォイ)が再び弁護士としての活動をはじめんとするその日、南軍のブース(トビー・ケベル)以下の男たちが大統領リンカーンを暗殺した。そして、ブース一味に助力した罪科で逮捕された唯一の女性、メアリー(ロビン・ライト)の弁護をエイキンはジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)より依頼される。敵軍に与するテロリストたちの弁護にエイキンは難色を示し、恋人のサラ(アレクシス・ブレデル)をはじめ友人たちにも断るように説得されるが、その裁判の裏にある不正にエイキンは義憤を感じ始める。一般市民を裁く「軍法会議」にどれほどの正義があるのか、と…。〔122分/スコープ〕 | [投票] |
★3 | バレエに生きる 〜パリ・オペラ座のふたり〜(2011/仏) | 振付家ピエール・ラコットは7歳にして『ジゼル』公演に魅せられて舞踏家を志し、3年後パリ・オペラ座の門をくぐった。そして舞踏するのみならず振り付けを作品に施し、古典バレエの復元上演で数知れぬ栄誉を受けた。バレリーナギレーヌ・テスマーも幼時よりの研鑽を積み、19歳でラコットに出会うことでその才能の開花を見、幾多の舞台で喝采を浴びた。バレエ界のみならず実生活でもパートナーとなった彼らの、その活躍を語るにはオペラ座に触れずに済ませることはできない。夫婦の半生を軸に、マレーネ・イヨネスコ監督はオペラ座を彩る舞踏界のエトワールたちを素描し、古典よりコンテンポラリー・ダンスまでの歴史を鳥瞰する。〔99分/デジタル〕 | [投票] |
★4 | 劇場版TIGER&BUNNY -The Beginning-(2012/日) | 大都市シュテルンビルトは、超能力をもつ「ネクスト」と呼ばれる超人たちによって犯罪から守られていた。彼らのひとりであり、一人娘を育てるため奮闘する中年ヒーロー、鏑木・T・虎徹(平田広明)は近頃めっきり活躍の機会が減り、その上に専属会社からの解雇で八方塞がりとなっていた。そんな彼を危機から救った謎のルーキー戦士は、虎徹の新たな所属先に迎えられた相棒、バーナビー・ブルックスJr.(森田成一)であった。人情家で単細胞の虎徹は新入りをなんとか受け入れようとするが、功に焦るも冷徹なバーナビーは馴れ合いを拒み、パートナーとして応じようとしない。そして彼らの前に、凶悪犯ロビン(山口勝平)が挑戦状を叩きつける。〔93分/ヴィスタ〕 | [投票] |
★2 | 伏 鉄砲娘の捕物帳(2012/日) | 幕末の江戸。山奥でスゴ腕の猟師として暮らしてきた少女・浜路(寿美菜子)が、兄の道節(小西克幸)に招かれてやって来た。右も左も判らない浜路は、白銀の髪をもつ優男・信乃(宮野真守)と彼を追うチンピラ連中との追跡劇に巻き込まれる。どうやら彼らは、「伏」と呼ばれる半人半犬の存在であるお尋ね者の信乃を捕えようとしているようだ。チンピラを一蹴した信乃は、道節らの住む長屋に浜路を連れてゆき、姿を消す。妹を出迎えた道節が求めたのは、江戸じゅうを怖れさせる「伏」を狩る浜路の確かな腕だった。次の日吉原に繰り出したふたりは、花魁の凍鶴太夫(水樹奈々)が伏であることを暴く。追い詰められた彼女は、浜路に一通の手紙を見せた。〔110分〕 | [投票] |
★5 | ライク・サムワン・イン・ラブ(2012/日=仏) | デイトクラブでバイトを重ねる大学生・明子(高梨臨)は、ケイタイから洩れる恋人の怒声に反発しながら、ある男の家にタクシーで向かっていた。駅で逢う予定だった祖母(窪田かね子)を置き去りにすることを心で詫びつつ、彼女は元大学教授のタカシ(奥野匡)に迎えられる。臆病さを隠せないタカシは、明子の機嫌をとろうとサービスを重ねるも、疲れきった彼女はベッドに入り込み、早々に眠ってしまうのだった。翌日、タカシは明子を車の助手席に乗せ、彼女の通う大学へと送り届ける。だが、大学の門で待ち受けていた恋人の青年・ノリアキ(加瀬亮)が彼女にくってかかった。『トスカーナの贋作』に続くアッバス・キアロスタミ監督の外国発・野心作。〔109分〕 | [投票] |
★3 | やくざ先生(1960/日) | 札付きの不良だった新田(石原裕次郎)は、古巣である非行少年の吹き溜まり「愛隣学園」に教師として舞い戻った。教壇に立ったその日に、暴言を放つ生徒に拳を見舞った新田は辞職願を書くが、石田園長(宇野重吉)はそれを破り捨て反省室への案内で済ませるのだった。少年たちとのふれあいの中で己の弱さを自覚し、また彼らとの生活に生きがいを見い出してゆく新田。彼は温かく見守る伊藤刑事(芦田伸介)にも助けられながら、テレビスターを姉と慕う少年、混血児少年や、戦災の中を生き延びハリネズミのように人を威嚇する少年らと信頼を築く。そんな彼の前に、鑑別所上がりのチンピラ少年・次郎(市村博)が生徒として立ちはだかる。〔106分/スコープ〕 | [投票] |
★3 | 陽のあたる坂道(1967/日) | 大学生たか子(十朱幸代)は、田代家の末娘くみ子(恵とも子)の家庭教師になるべく坂道の邸宅に向かう。そこで彼女を迎えたのは、くみ子の兄・信次(渡哲也)の手酷い悪戯だった。彼のひねくれ様に憤りながらも、なぜかその心を揺らすたか子。そんな彼女をくみ子はジャズ喫茶に誘い、お目当ての歌手・民夫(山本圭)を紹介するが、彼はたか子の隣人で元芸者のトミ子(桜むつ子)の息子だった。トミ子はたか子の話を聴き、表情に影を浮かべるのだった。その頃、信次は母(三益愛子)の留守中を見計らい、居間にいた父(宇野重吉)に話を切り出す。田代家を翻弄する事件の始まりだった。1958年・田坂具隆作品のリメイク。〔105分/スコープ〕 | [投票] |
★4 | 馬喰一代(1951/日) | 昭和初期の北海道。酒浸りの暴れん坊で知られた馬喰の米太郎(三船敏郎)は、儲けた金を博打で使い果たし、女房のはるの(市川春代)を嘆かせていた。学のなさから、金貸し・六太郎(志村喬)に馬を売った代金を巻き上げられ、すごすごと帰宅するよりなかったのだ。やがてはるのは病で若い命を散らせてしまい、彼女に取りすがる米太郎は喧嘩と博打から手を引く、と堅く誓う。そしてはるのの遺した息子・大平(伊庭輝夫)を米太郎は溺愛するようになる。米太郎に惚れている酒場の女・ゆき(京マチ子)も大平の世話を焼き、その聡明さを惜しむが、馬喰の子は馬喰と決めている米太郎は息子の進学に反対し続けるのだった。〔114分/スタンダード/モノクロ〕 | [投票] |
★4 | 星の旅人たち(2010/米=スペイン) | 仲がいいとは言えなかった息子・ダニエル(エミリオ・エステベス)の客死を知り、その旅の出発点サン・ジャンに駆けつけたトム(マーティン・シーン)は、息子の遺灰を抱きサンティアゴへの巡礼に加わる決意をする。息子の死を知らせたセバスチャン警部(チェッキー・カリョ)に見送られての出発後、トムに人懐っこいオランダ男・ヨスト(ヨリック・ファン・バジュニンゲン)が声をかけ、道連れに加わってくる。さらに皮肉屋で愛煙家のカナダ女・サラ(デボラ・カーラ・アンガー)、旅行記をつづるもスランプ状態のアイルランド男・ジャック(ジェームズ・ネスビット)が近づく。彼らの前には、限りなく遙かな地平が広がっていた。〔128分/ヴィスタ〕 | [投票] |
★2 | それでも、愛してる(2011/米) | 玩具会社の社長であるウォルター・ブラック(メル・ギブソン)は深刻なウツ症状に陥ってしまった。長男ポーター(アントン・イェルチン)は彼を忌み嫌って関係を絶ち、次男ヘンリー(ライリー・トーマス・スチュアート)も同級生よりのいじめを防ぐ壁を失って困惑していた。そして、そんな二人の子を心配して妻メレディス(ジョディ・フォスター)は別居し、ウォルターは孤独のなか自殺に走ろうとした。その時、彼を絶望から引きずり上げたのは、1個の腹話術用ビーバー人形の助言であった。ビーバーはポジティブな人生観を持ち、ウォルターに再び家族と向き合う勇気と仕事上の尽きせぬアイディアを与えた。総ては好転したかに見えたのだが…![91分/スコープ] | [投票] |
★3 | 拳銃(コルト)は俺のパスポート(1967/日) | 百発百中のスナイパー上村(宍戸錠)は、依頼を受けて関西の闇社会を牛耳る島津(嵐寛寿郎)を抹殺した。彼はそのまま舎弟の塩崎(ジェリー藤尾)と海外に高飛びする予定だった。しかし依頼人の大田原(佐々木孝丸)は島津組の若頭と結託、上村を仇と狙う彼への助力を約束した。逃亡の機会を逃した上村らは港町のモーテルを訪れ、そこのウェイトレス美奈(小林千登勢)に匿われる。上村の目に自分と同じ逃亡者の眼光を見た美奈は、彼に運命を委ねようと決意したのだ。上村は塩崎を薬で眠らせ、美奈の手引きによるダルマ船への乗船、外国船への移乗を計画する。だが、敵はすでに包囲網を狭め、塩崎へと魔手を伸ばそうとしていた。〔84分/スコープ/モノクロ〕 | [投票] |
★4 | ぼくたちのムッシュ・ラザール(2011/カナダ) | モントリオール。ある小学校の女教師が教室で自殺した。子供たちのみならず教師たちや父母にも波紋を呼んだその事件の一週間後、代理教師としてアルジェリア移民のラザール(モハメッド・フラッグ)なる男が学校に応募にきた。その誠実にして真摯な態度から、ヴァイアンクール校長(ダニエル・プルール)は彼の採用を決定、さっそくラザールは教壇に立つことになる。19年来の勤務との言説が疑われるほどにその教育は古風なものだったが、それでも先任教師を忘れられない子供たちを癒すように、ラザールと彼らの関係は親密度を増し続ける。しかし、熱心な教育の蔭には彼の悲痛な経験が隠されていた。それは子供たちの心の傷とともに、明確なカタチをとってゆく。〔95分〕 | [投票] |
★4 | チェチェンへ アレクサンドラの旅(2007/露=仏) | チェチェンのロシア軍兵員駐屯地。ここに滞在する孫の将校に逢いに、老婆アレクサンドラ(ガリーナ・ヴィシネフスカヤ)は軍用列車より降り立った。いつまでも己を可愛い孫扱いのアレクサンドラに対し、職業軍人として大尉まで昇進したデニス(ヴァシリー・シェフツォフ)は自らの立場を説明する。彼の言葉に肯けないものを感じ取るアレクサンドラは駐屯地を徘徊、あまつさえ地元の市場にまで足を伸ばす。そこで彼女は話しかけた若者の凍りつくような視線を浴びながらも、ロシア語に堪能なマリカ(ライサ・ギチャエワ)に出会い、友情を結ぶに至る。だが、地元民たちはいずれも長い戦乱に疲れ、心底より平穏を望んでいた。〔92分/パートカラー〕 | [投票] |