★4 | トキワ荘の青春(1996/日) | 当時、メインの役者はモッくんだった。脇を固めているのは、演劇界の綺羅星にすぎなかった阿部サダヲ、古田新太、生瀬勝久。ここでも仲間と盛り上がりながら、成功を手にしたトキワ荘的ワールドがあったはず。と同時に挫折して消えていく人たちも。人は財産、光と影はドラマの旨み。 | [投票] |
★3 | メゾン・ド・ヒミコ(2005/日) | ノドに小さな骨が突き刺さったかのような、この物語に対する違和感を抱いた。
つまり何故に同性愛者に「新しい家族」がいるんだろう? ってことである。女とできるんだったら、それは最早ゲイではなく、ゲイを売りにしている異性愛者なのでは? 子供を作れないというのが〈哀しみ〉であるはずなのに、ゲイたちが子供に寄りかかってる。変! | [投票] |
★3 | たまゆらの女〈ひと〉(2002/中国=香港) | 山の上に繋がるロープウェイから街並みを見下ろす。目を射るような水色の街。
ババロアのような柔らかな赤い唇に頬を寄せ、闇を這う風の中で二人で遊ぶ。
列車は遥かな場所まで君を連れ去り、僕は孤独の見え隠れする書庫に座ったまま、
旅の途中の玉響(たまゆら)に想いを馳せる。
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★4 | バベル(2006/仏=米=メキシコ) | 野外で自慰する男の子→抑制がきかない。バレーで退場する少女→化け物見せる気の強さ。通訳に金を渡そうとするアメリカ人→金で片づくと思ってる? エピソードによって、キャラクターを表わす積み重ね。砂漠から東京の雑踏。音のある世界から無音に。不幸のドン底と結婚式。映像の対比と抒情性。人に触れたいという孤独感。とても繊細な肉感的映画。 | [投票(1)] |
★4 | 恋する惑星(1994/香港) | 夢のカリフォルニアにあわせ、掃除する。恋する相手は、お客さん。曲にノリ鼻歌まじりにチラ見。ただの片想いという現実があまりにショック。だから彼の部屋のカギをゲットして、水槽に赤い金魚を入れちゃおう。やってることはストーカー。でも存在の欠片残さなきゃ! な、ちょっとアレな子LOVE STORYだけど、けっこう賞味期限切れないモンですね。 | [投票] |
★4 | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007/日) | 何故ラストのマー君のオカンへの “あの言葉”を省略したのだろう? ちょっと肩透かし。しかし原作を読み終えた者には物語の省かれた箇所は補完できるし、小説の中の作者の異端部分を松尾スズキがかなり拾ってくれたので満足。
子供の時は親に手をひかれて歩くが、それがいつか逆転するし、しないといけないんだよね。 | [投票] |
★5 | サイダーハウス・ルール(1999/米) | 例え居心地が良くても、人は小さな閉じた世界から海原を泳がないといけない時が来る。見聞するよりも経験することの方が、いかに大切で面白いか。それは恋する存在が背中を押すのかもしれないが、時に恋愛は哀しいほどの痛みも与える。けれど傷痕が見えにくくなった頃、ほんの少しだけ強くなれた自分に気づく。 | [投票] |
★4 | トンマッコルへようこそ(2005/韓国) | 山の向こうで灯りがともる。花火を見物するかのような村びとたち。国家間の憎しみは為政者のパワーゲームが生み出したモノ。桃源郷に来れば人の心なんて、そんなに変らないじゃない? ゆらゆらと蝶々が舞う。ポップコーンの白い雪が降る。熱気球が海月のように浮遊し夜空を照らす。何故、単純で正常な生活ができないのだろうと訝る。 | [投票] |
★5 | 市川崑物語(2006/日) | I'm looking for your ability. Because you are the man who has enough strength in reserve. [review] | [投票(3)] |
★5 | それでもボクはやってない(2007/日) | 待望の新作!! まさか10年以上も待たされるとは思わなかったぁ。 [review] | [投票] |
★3 | (ハル)(1996/日) | あふれんばかりの情報が撹拌されているネットという世界だけで繋がっている男と女。相手が見えないから、心を揺るし、会えないから、不安になる。点と点が交わるということが、これほど難しく、そこにいるとわかっていながら、二人の線は結ばれない。運命という川にまかせる他ないもどかしさが……とても歯がゆい。 | [投票] |
★4 | カイロの紫のバラ(1985/米) | スクリーンの中の“人”を好きになる。何度も二次元の中に存在する姿を確認し、心地よい声に耳を傾ける。ほんの束の間、幻影は現実となってヒロインの目の前に現れるが、すぐ元の世界に戻っていく。決して一緒にはなれない二人。何故なら住む世界が違うから。恋をしたことを嘆くべきか? 出会った奇跡に感謝すべきか? | [投票] |
★4 | 虹の女神(2006/日) | アオイのこころ [review] | [投票(8)] |
★3 | 年下のひと(1999/仏) | ジョルジュ「ドラクロワ、苦しい時は何を?」ドラクロワ「苦しみに身を任す。私に飽きれば苦しみは去る。苦しみは時の流れのよう。やがて慣れる。だが傷痕を残す。傷痕は美しい。物語を奏でる」 | [投票] |
★5 | 東京上空いらっしゃいませ(1990/日) | ビルの屋上に舞い降りた女の子。長い黒髪を風になびかせ、あなたの白いスニーカーを履いて街を闊歩する。運命の糸はつながってる? つながってない? 深紅の薔薇の棘は、彼の心臓を突き刺すような甘い痛みを与えたのでしょうか。想いは、屋形船にゆらりと乗せて、静かに川底に澱のように沈んで行く。もう夢は急がされている。帰れない2人を残して。 | [投票(2)] |
★5 | クラッシュ(2005/米=独) | crash (動)衝突する [review] | [投票(2)] |
★4 | タイヨウのうた(2006/日) | ゆらゆらと蝋燭の炎が揺れ、アコースティックギターを抱えた女の子の顔を明るく照らす。夜空には、都会のネオンで見えなくなった星が煌めき、彼女が背にしたひまわりが笑っている。「また見つかった 何が 永遠が 海と溶けあう太陽が」と詩人が呟いたように、歌うたいの言葉は、CDという銀色の小さな円盤の中で永遠に再生される。 | [投票] |
★5 | ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日) | 昭和33年東京タワーは明るい未来のかけらだった。時代は高度経済成長の波にのり希望に満ちていた。リアルタイムで体験した人たちから見たら、もっと猥雑で汚い世界だったと言うかもしれない。けれど知らない者にとっては、お伽噺であり憧れの過去。なぜなら〈明るい未来〉に希望を持てずに育ってしまった世代が多くなったのだから。 | [投票(1)] |
★4 | 殺人の追憶(2003/韓国) | 隣国では、こんな杜撰な捜査をしていたのだろうか?と失笑モノの出だしだが、
これが本当だったら冤罪多数・白痴差別なわけで、ある意味空恐ろしくなった。
言動を抑圧する感情的な暴力の社会に、理性という知の風が吹き、やがて洗練はされてるものの閉じたPCの世界に移行していく時代の変化も表現してて、面白い。 | [投票(1)] |
★5 | 嫌われ松子の一生(2006/日) | 不幸の元兇は、主体性のなさ。良い人にめぐりあえば安定したであろう彼女の一生も、
ダメ人間を好いてしまい言うなりになるから転落人生まっしぐら。堕ちてく人って、ハタから見ていると選択そのものがトンチンカンゆえ、滑稽でもあり地獄でもあり。対比された女社長の上昇志向にシンクロする私は、松子に嫌われそう。な感じ。
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