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ジェリーさんのコメント: 更新順

★3ソーシャル・ネットワーク(2010/米)今なお生成途中である人物を、固まった伝記として提示する胡散臭さと怪しさについて自覚的でありつつ、思い切った誇張と控えめな誇張と徹底した訴訟対策を施した作品。映画を撮ることの自由と不自由がこの映画の挑戦課題であって、ザッカーバーグ氏はいわば素材である。[投票(1)]
★1グリーンホーネット(2011/米)ジェイ・チョウのカンフーで持たせるでも、キャメロン・ディアスの年増のコケットリーで持たせるでも、クリストフ・ヴァルツの悪役のスケール感で持たせるでもない。登場人物全員を間抜けにした点極めて画期的な野心作だが、外したときの外れ具合もまた大きいことを制作者は忘れていた。[投票(1)]
★3切腹(1962/日)状況の映画であって行動の映画ではないので、あまり想像力を活性化しない。観客の感情を強引に統率しようとする小林正樹には、合目的的でない演技者を描く余裕がない。『椿三十郎』における筆頭家老の妻のような人物の登場で、映画に知的な豊かさがもたらされるのだが。[投票(2)]
★4家路(2001/仏=ポルトガル)写っている以上の何かが我々に見えてしまうという希少かつ理想的な映画体験を堪能できる。決して日常的な行動以上のことを行っているわけではない男から、生きる充実感も徒労感もありありと立ちのぼってくる。観客は彼の感情について想像をめぐらす楽しさを感じずにいられない。 [review][投票(1)]
★3ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)吸血鬼が能の『黒塚』の鬼女に近いところまで人間化している。この鬼に寄せる苛められ少年の共感という主題はムルナウを綺麗に裏返した感がある。少年少女の滑らかな裸体の倒錯性と、北欧の白雪による地面からの照り返しの効果で画面が透明な至福感に輝いている。[投票(1)]
★3メフィストの誘い(1995/仏=ポルトガル)全編を覆い尽くす震えを孕んだ微光を浴びる喜び。浄化の光も邪悪の光も含んだ幅広さと奥深さにめまいを起こしそうになる。ジョン・マルコヴィッチの教授役が弱く残念だが他の役者は完璧。特にルイス・ミゲル・シントラの微笑みのなんという危険さ![投票]
★3ミッドウェイ海戦(1942/米)日米海戦の転換点になったミッドウェイ海戦の実写ドキュメンタリー。映像は本当の戦争を記録したものだが、おそらく音はスタジオで後ほどかぶせたもの。闘争心溢れる明るい米国軍人を思わず応援。日本人のナショナリズムがいとも簡単に揺らぐ。これもまた映像の魔術。[投票]
★5青の稲妻(2002/仏=日=韓国=中国)2001年の中国の国家規模の変化をニュース映像を通じて跡づけつつ、社会の変化とはいささかの接点もない、結果だけしか求められない無軌道無気力の青年像を交錯させ、見つめ続けるのが痛ましいような亀裂や震撼を画面に走らせる対位法の骨格の太さ。 [review][投票(1)]
★3木と市長と文化会館 または七つの偶然(1992/仏)文化会館を村に作るという虚構計画と、虚構計画に意見を述べる村民の賛否の発言の現実のドキュメンタリーがない混ざる構成には、虚実の壁の取り壊し方として革命的な新しさがある。ロメール組常連の俳優の演技が、この設定の下で大変スリリングだ。[投票]
★4世界(2004/中国=日=仏)高度経済成長に付随する現象としての「出稼ぎ」にジャ・ジャンクーは今回も眼を向ける。他愛のない伏線を大きな主筋に繋げる手腕が絶妙だ。省略の思い切りも切れ味よく、世相の取り込み方は成瀬巳喜男を、違和感に満ちた風景の描写はアントニオーニを思わせる。[投票(1)]
★2地下水道(1957/ポーランド)ある経験がそれを経験したことのない人にどこまで伝わるか、その見通しを間違えるとこのような映画になる。観客の理解力への信頼不足がもたらしたものは、暗所の照明設計のような可視的なものから、次第に孤立化する兵士たちの末路の設定といった不可視なものまですべてに漂う許し難い通俗性だった。[投票(1)]
★5渇き(1957/インド)熱を帯びた潤んだ光の魅力。陰影の豊かさや髪の輪郭を際立たせる光線処理など心憎いばかり。登場人物の対面する場面での大胆な切り返しや緩やかなズーミングの確信に満ちた使い方に瑞々しさと老獪さが同居する。黒澤明張りの人間主義的主題は世界市民的巨匠の域。[投票]
★2華麗なる賭け(1968/米)自由への遁走という1960年的テーマが顕わ。音楽とマルチ画面もまた当時の意匠として面白い。しかし時代から抜け出しうるエネルギーはない。犯罪プロセスのゆるさ、黴臭い調度、ファッション、コスメティックのセンスを懐古的に楽しむ小品というのが現在価値。[投票]
★3ブリット(1968/米)今なお革新的なのが、夜間の空港でのチェイス。離陸前の飛行機を障害物として使う着想がよい。飛行機の強烈なライトのまばゆさとともに忘れ難い。スティーヴ・マックィーンも格好よいが、上司役のサイモン・オークランドのきびきびとした口跡も好きだ。[投票(4)]
★1パリで一緒に(1963/米)オードリー・ヘップバーンの定番の役どころ。無垢で無防備な娘役として彼女が出演していなければ映画史の奥底に沈んでしまった作品。『マイフェアレディ』『ティファニーで朝食を』『パリの恋人』などへの言及があるが効果不明。脚本と監督がただただ無能。[投票(1)]
★2戦争と平和(1956/米=伊)この原作を映画化することがそも無理ではないか。さらにオードリー・ヘプバーンヘンリー・フォンダという無謀な配役が輪をかけた。 しかし、素晴らしい屋内シーンを撮ってくれたジャック・カーディフの仕事の丁寧さには敬意を表す。[投票]
★3俺は善人だ(1935/米)今見ても多重露光なのか、スクリーン・プロセスを使っているのか見極めがつかない。 エドワード・G・ロビンソン が、自らの役柄の大きな二つの柱を両方演じており飽きさせない。犯罪映画と見せながら実はコメディであることが本作の目新しさだろう。[投票]
★1インセプション(2010/米)この監督の作風かもしれないが理知が勝ちすぎている。ややこしい設定に鼻白むばかり。時間を引き延ばせるという映画の特質をもてあそびすぎた印象。シュールに徹しきった脚本が出来なかったのだろうか?[投票(4)]
★5トイ・ストーリー3(2010/米)本シリーズの天才性はこの状況とキャラクター設定にあるが、この実に魅力的な設定を継承しつつアンディの成長という玩具にとって宿命的なテーマを導入することで、玩具たちが文楽人形に匹敵するほろ苦い哀感を湛える受容器に成長している。 [review][投票(3)]
★1空中庭園(2005/日)動く絵コンテかNGカット集かと思ったが、本編を撮影したつもりらしい。ささくれ立った神経だけでできあがった映画を鑑賞することなど出来ない。愚昧な精神によるテーマの弄び。安易な落としどころ設定で片がつくほど、本当の家族崩壊は簡単でない。[投票(1)]