コメンテータ
ランキング
HELP

3819695さんのコメント: 点数順

★3ファイヤークリークの決斗(1968/米)活劇的魅力に乏しいことは否めず、“SHERAF”のバッヂはもっと感動的に機能させられたはずだとか細かい文句は多いが、ぐつぐつと内圧を高め終盤に爆発させる展開は成功している。キャラクタの厚みについても、ジェームズ・スチュアートヘンリー・フォンダを揃えればそれだけで生み出せる類の単純なものではない。 [review][投票]
★3闇の子供たち(2008/日)さすがに「銃撃戦や宮崎あおいの疾走のアクション性が云々」などと語る気が俄かには起きぬほどヘヴィなお話だが、それを支えるのは簡潔にして雄弁な画面展開だ。虚構性の按配は作家としての倫理か。幼児買春という一種の表象不可能性に挑みつつそこそこに折り合いをつけ、たかだかPG-12の制限に収めてしまう職人的したたかさも。[投票]
★3幸せの1ページ(2008/米)このジョディ・フォスターはキュートだと思うが、彼女が被る災難の程度が半端だ。徹底して散々な目に遭わせるか、些細な事柄に大騒ぎするという方向性を貫くか。都合よく使われる動物たちには人格を付与する演出がほしい。アビゲイル・ブレスリンの冒険映画としてもフォスターのアイドル映画としても仕掛け不足。スリル不足。[投票]
★3カーサ・エスペランサ 赤ちゃんたちの家(2003/米=メキシコ)母になるためにひたすら待つしかない女性たちの過ごす時間は傍からは無為の日々とも見られかねないが、会話シーンにおける律儀なまでの切り返しによって編み上げられる人間関係のドラマがその日々に意味を付与していく。ほとんどすべてのショットで画面の一部に青系統のものが配されているのも印象的。[投票]
★3キートンの化物屋敷(1921/米)もちろん悪い出来のわけはないのだが、今ひとつスペクタクルに欠ける。後半は無関係の劇団員まで合流するなどお膳立ては揃っているのだが、ギャグの雪崩打ちが起こらない。階段ギャグにこだわりすぎとも思うが、最後にあのような仕掛けが用意されているのだからそれはまあよいか。あと、キートンの硝煙描写はやっぱりいい。[投票]
★31978年、冬。(2006/中国=日)シェン・ジアニー(の容姿)が私の好みのタイプで、その冷たい美貌にどきどき。しかし演出家の的確な導きの必要性も感じる。「蒸気」の画面など所々に力のあるカット・驚きを生む演出があってすばらしいが、全篇に持続するには至らない。徹底して「引き」で語る姿勢には好感が持てる。引けばよいというものでもないのだが。[投票]
★3大いなる幻影(1999/日)郵便局の空間設計やらパーカッション集団やらの視覚的な「異様」によって映画性を担保しつつ、私たちの生きる「日常」を僅かにズラすことで日常と地続きの終末風景を現出させる。予算が要請するところのものでもあるいつもの黒沢的手法と云えばそれまでだが、敢えて物語性を希薄化するような語りがそれを際立たせる。 [review][投票]
★3昼下りの情事(1957/米)ゲイリー・クーパーの胡散臭さはここに極まり、オードリー・ヘプバーンの可愛さは「頭の弱さ」に裏付けられたものとしてある。それは演出が不誠実なためだ。しかし実に官能的な「水面」があり、ワイルダーにもこんな画面が撮れたのかと感心する。などと云ったらさすがにワイルダーを舐めすぎか。[投票]
★3ホームワーク(1989/イラン)まったくもって異様なフォルム。この映画において画面に登場した回数が最も多い人物はファインダーを覗く「カメラマン」である。果たしてそんな映画がありうるのだろうか。あってよいのだろうか。キアロスタミは「映画」の限界を探求している。「宿題の映画」だって? まさか![投票]
★3ぼくの大切なともだち(2006/仏)本題に持っていく仕方の強引さなども含め、よくも悪くも大胆不敵な演出がちらほらり。テレビ番組が築き上げた緊張感創出のフォーマットに丸乗りしつつ電話とテレビモニタによる「距離」のメロドラマを炸裂させるとは。レズビアンという物語にとっては剰余的な設定を与えられたジュリー・ガイエの過剰な色気にもくらくらする。[投票]
★3コマンチェロ(1961/米)カーティスはまあ頑張っているか。賭場の照明や痛そうな殴打など見応えある画面が幾つか。だが女優の扱いはなおざりで語りにも淀みがある。リー・マーヴィンの使い方は贅沢というより舐めている。これを『ドノバン珊瑚礁』の前哨戦にしえないところに映画史的視座から云ったカーティスの限界がある。なーんて云ってみたり。[投票]
★3たみおのしあわせ(2007/日)サイクリング……『晩春』……ここにも小津の影が……。というのはまあ措くとしても、麻生久美子小林薫大竹しのぶも爺婆も最終的にはオダギリジョー原田芳雄に圧力を加える機能のみを担わされた装置に成り下がる、という意味でこれはどこまでもオダギリと原田の物語だ。小林には幾度か笑わせられたが。 [review][投票]
★3中共脱出(1955/米)監督・カメラマン・主演二名の名前を見れば期待するなと云うのが無理な話だが、その期待が満足させられるほどの出来ではない。まず共産党軍が怖くない。プロパガンダ性の徹底を躊躇ったと見ることもできるが、この種の映画(活劇)においては敵役はもっともっと怖く描かなければならないはずだ。 [review][投票]
★3夜を楽しく(1959/米)「パーティ・ライン」で映画をつくるというのがまずユニックな着想だ。美術(リチャード・H・リーデル)のよさが、ドリス・デイの職業(インテリア・コーディネータ)含む作品世界を正当化している。また、黒人女性ピアニストらによる“Roly Poly”という曲の演奏が格好よろしい。[投票]
★311人のカウボーイ(1971/米)これは小品であるべき物語で、序曲をつけるなどしてスケールの大きさを捏造するのは間違いだ。私の好みを云っても、(終盤の展開が必定であるなら、却って)前半はもっとあからさまに喜劇的であってほしい。しかしロバート・サーティースによる夜の情景はことごとくすばらしい。 [review][投票]
★3ストロンボリ 神の土地(1950/伊)終盤のイングリッド・バーグマン単独行シーンを除いて「岩石剥き出しの島」という至上のロケーションをカメラが捉え切れていない。それがために「こんなの人間が住むとこじゃねえ」というバーグマンの憤りが不適当に見えてしまう。突如のディザスタ・ムーヴィ化(垂直に降る土砂!)とマグロ漁シーンのスペクタクルは最高。[投票]
★3シノーラ(1972/米)スタッフは一流だ。とりわけ美術がよい。九〇年代以降のイーストウッド映画を支えたヘンリー・バムステッドはここでイーストウッドとの邂逅を果たしていたのだ。教会の作りなどとてもよくできている。山村の造型には傑作オープンセット映画『荒野のストレンジャー』の前哨戦といった趣きもあるような。 [review][投票]
★3バンドレロ(1968/米)大した映画ではない。が、終盤の銃撃戦にはちょっと驚いた。まったく感情を持たぬ殺戮集団として描かれるバンドレロ、その唐突な登場。いっさいのカタルシスが拒否され、延々と発砲音ばかりが響き渡る。ラクェル・ウェルチが犯されかける場面のカメラの視線も異様だ。ジョージ・ケネディの純情は泣かせる。 [review][投票]
★3キートンのハード・ラック(1921/米)ややギャグの精度が低いか。しかしながら動物の扱い方はすでに図抜けてうまい。散弾が爆裂する画面の造型も驚愕に値する。本当にものすごい硝煙。キートンの映画的天才が垣間見える瞬間だ。[投票]
★3ゴーストハンターズ(1986/米)これはこれで手堅く、この種の映画のお手本のようなところもある。しかしもうちょっとビックリがほしいか。「役立たず」として造型されているカート・ラッセルが何の疑問もなく主人公の座に収まっているのは彼のスター性による。空間構築という点ではトラックが迷い込むチャイナタウンの路地裏や下水道がよい。「口紅」は最高。[投票]