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3819695さんのコメント: 点数順

★5たぶん悪魔が(1977/仏)より深く、より漠然とした絶望に取り憑かれた現代のラスコーリニコフには、ソーニャたりえたかもしれない女性すら拒絶し、緩やかに、だがひたすらと自殺へ向かってゆく道しか残されていない。ブレッソン・スタイルの到達点として『ラルジャン』と並んで「映画」を動揺させる傑作。なんという厳しさ! なんという絶対性! [review][投票]
★5子供の情景(2007/イラン)傑作。少女の受難を描く筆の厳しさは父親よりもキアロスタミブレッソンを連想させる。むろんその両名を引き合いに出すにはアップカット及び音楽の使用法に認められるストイシズムの不徹底ぶりが引っ掛かるのだが、むしろそれがハナ・マフマルバフの個性なのかもしれない。多くの忘れ難いシーンを持つ。 [review][投票]
★5アタラント号(1934/仏)きわめて乱暴な物云いであることを承知で敢えて云うと、『新学期・操行ゼロ』が「撮影」の映画であるのに対して、これは「演出」の映画だ。「ねこ」の扱いの面白さにかけては私が生涯に見た全映画の中でこれが一番。ねこがどこからともなくわらわらと涌いて出る! ミシェル・シモンの背中にしがみつく! 宙を舞う! [review][投票]
★5ガス燈(1944/米)最高度の技術が結晶した最良の意味での「クラシック」映画であり、照明による心理活劇。『ガス燈』という題自体が、これが照明の映画であることを物語っている。ああ、それにしても霧の立ち込める夜の街路の情景のなんと禍々しく美しいことか。映画はここまで完璧に「世界」を構築できるのだ![投票]
★5拳銃王(1950/米)キングが築き上げた間然するところのない一個の世界。その前のめりに連続的な時間感覚と成熟した豊かな語りの高次の並立は、鮮明に取られた奥行きと的確な移動撮影によって基礎づけられている。酒場の天井が写るカットの空間把握はグレゴリー・ペックの孤独を際立てるなど、美術も美的かつ心理的に設計されて水準が高い。 [review][投票]
★5肉(1976/米)ワイズマンの映画は面白い。誤解をおそれずに云えば、「カサヴェテス映画のように」面白い。そこにあるのは射抜くように人間を見つめ、システムを暴く視線だ。現代人であれば誰一人として無縁ではいられない「食肉業」という営為がその視線の対象となるとき、映画は破格の面白さを獲得し、私たちに「自ら思考すること」を鋭く突きつける。[投票]
★5赤い河(1948/米)聖なる映画だ。この映画は奇跡のショットだけで成り立っている。 [review][投票]
★5無法の拳銃(1959/米)凄い。文句なしの傑作。雪と光が織り成す風景の美しさ。時間・空間の主題化と音響演出の見事さ。ロバート・ライアンバール・アイヴスともに登場当初は真っ当な悪役かと思わせておきながら、両名とも実はねじれたヒロイズムを持つユニックな造型で、物語に奥行きを与えている。 [review][投票]
★524時間4万回の奇跡(1999/スイス=仏=ベルギー)傑作。「夜」が滅法冴える端正なモノクロ撮影とブノワ・ポールヴールドらよい面構えをした俳優たち。そしてドアーの使い方のユニックさ。露骨に「ドアー」の映画を語りながら、中途でそれをアッサリ放棄することで映画をシフトチェンジさせてしまうという周到ないいかげんさもまた面白い。 [review][投票]
★5こわれゆく女(1975/米)映画とはこれほどまで面白くなれるものなのか! 真に偉大な女優ジーナ・ローランズはもちろん、彼女に拮抗するピーター・フォークの演技もまた奇跡的としか云いようがない。 [review][投票]
★5第十七番(1932/英)傑作だ! と云ってみたい。「光」と「影」と「階段」と「列車」と「蒸気」の表現主義活劇。奇怪なことしか起こらず、ロジックの欠片も見当たらない前半。ミニチュアであることが丸分かりでも興奮せずにはいられない後半の速度感。不気味さとコミカルさが表裏一体となって全篇を貫く。[投票]
★5許されざる者(1992/米)この映画を見て私たちはいったい何を想うことができるというのだろうか。映画はここまで見る者の感情を引き裂くことができるのだ。圧倒的な演出。圧倒的なキャラクタ造型。 [review][投票]
★5ウィークエンド(1967/仏=伊)手放しで褒め称えるには退屈なシーンも多いのだが、そんなことに目くじらをたてるのも馬鹿らしくなるほど面白いシーンにも溢れている。 [review][投票]
★5ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984/独=米)ミニマリズムの傑作。すれ違い続ける若者たちの何ひとつうまくいかない青春。しかしそれは決して深刻なものとしては描かれない。ジャームッシュトム・ディチロが生んだ独特のルックによる「同じような風景」「見覚えのある部屋」「寒々しいフロリダの海」たちは黒画面で切断され、寂寥感と笑いを掻き立てる。 [review][投票]
★5エド・ウッド(1994/米)なんと美しい泣き笑い映画だろう。この映画を見る限りでは、エド・ウッドは「なんとしても映画を完成させる」という才能だけは突出した人物だったようで、実はそれこそ映画監督にとって最も必要な能力ではないのか。という気にさせられてしまう凄い映画です、これは。 [review][投票]
★5御冗談でショ(1932/米)名曲“Everyone Says I Love You”(三回歌われる)のおかげで、パラマウント期のマルクス作品では『カモ』に次いで音楽が充実している。正直云ってギャグのレヴェルや密度は前後作と比べると劣ると思うのだが、ロケーション撮影部分が抜群にすばらしい。傑作。 [review][投票]
★5最前線物語(1980/米)最高に面白い。凄惨な殺戮とほのぼのムードの驚異的な併存に呆気に取られる。やたら動物が出る戦争映画としても記憶しておきたい。 [review][投票]
★5話の話(1979/露)凄まじい映画だ。輪郭の明瞭な物語を抽出することはできないが、この強靭な画面の連続の前ではそもそもそんなことはまったく不要だ。とりわけ画面左手前から右奥へと列車が走り抜けるカットと自動車が行き交うカットには真に驚愕した。[投票]
★5特攻大作戦(1967/米)掛値なしに面白い傑作。前半も面白い。後半も面白い。全部面白い。リー・マーヴィンの一挙手一投足にメロメロになりつつ、手に汗握ると同時に背筋の凍るようなアルドリッチ演出に卒倒する。 [review][投票]
★5鳥(1963/米)最高に教科書的、と同時に非教科書的な作品。ぶっちぎりで私のヒッチコック・ベスト。 [review][投票]