煽尼采さんのコメント: 点数順
ダウト あるカトリック学校で(2008/米) | 観客に「第三者」の客観性を与えぬことと、絶対の「第三者」である筈の、神と教会。 [review] | [投票(1)] | |
ウルトラミラクルラブストーリー(2009/日) | 野菜栽培のヘルシーさと、農薬のケミカルな毒々しさ。半ば理解不能な津軽弁も物語を追うのに支障が無い程度には理解できる絶妙さ。観客は町子(麻生久美子)と共にその言語宇宙の洗礼を受ける。理解不能と可能の絶妙さは「ストーリー」にも表れている。 [review] | [投票(1)] | |
ゼブラーマン(2003/日) | アメリカと比べるとヒーロー物の舞台としては矮小になりがちな日本という場に強みを持たせる、四畳半的リアリズム。B級コメディ的要素がもたらす予測不能性。これが、次のシーンでどうするのか気にさせるし、ベタな物語に強度を与える。 [review] | [投票(1)] | |
海外特派員(1940/英) | 場所を次々と移しつつ、惜しげもなく披露される視覚的なアイデア。反面、恰も早周り観光旅行の如く、見所を効率よく見せることに特化した皮相さ。功罪併せて実にヒッチ風。彼らしいモチーフも数々登場。 [review] | [投票(1)] | |
引き裂かれたカーテン(1966/米) | 個人的に、このサラ(ジュリー・アンドリュース)の如き常識的な善人が勝手に介入してくるような展開は苛立たしい。賢明さも美しさもないヒロインが「善」の象徴である時点でこの映画には乗り切れない。だがヒッチ史上に残すべきシーンは二つあり。 [review] | [投票(1)] | |
ゼラチンシルバーLOVE(2008/日) | 「見ること」に淫した作品。その正当化の為の、必要充分な台詞とプロット。静謐で硬質な、動く写真集。変貌を繰り返す宮沢りえの姿は、抽象的かつ普遍的な「女」への視線へと永瀬正敏≒観客を取り込んでいく。 [review] | [投票(1)] | |
トランスポーター(2002/仏=米) | 後の2、3にも言えるが、フランクのルール「依頼品の中身は見ない」が、箱の中身はなんだろな的「謎」として充分に活かされていないのが不満。また、車へのフェティッシュなこだわりを匂わせておきながらも途中から無視。アクションのアイデアは面白いのだが。 [review] | [投票(1)] | |
ラースと、その彼女(2007/米) | 人形が人間扱いされることの可笑しみと悲哀が充分に演出されていない。完全に、人形を巡る人間模様に焦点が合わされており、ラースが人形を「Real Girl(本当の女の子)」として愛する主観視点は演出家の眼中に無いかのようだ。 [review] | [投票(1)] | |
小森生活向上クラブ(2008/日) | 正義の「フル勃起」を条件付けるもの。 [review] | [投票(1)] | |
裸足の伯爵夫人(1954/米) | 視線の中の、抽象的な存在としてしか生きられぬ女。 [review] | [投票(1)] | |
麦秋(1951/日) | 時に過剰とも思えるほど人の出入りが激しいせいで、画面に厳密な構成美が認めにくい嫌いはあるが、この「人の出入り」はそのまま本作の主題でもある。 [review] | [投票(1)] | |
誰も守ってくれない(2008/日) | リベラによる美しい主題歌が1.5倍は感動度を増しているが、善も悪も全て、自明視された「家族」に収束される点は大いに疑問。前日譚のTVドラマの方が出来が良い。 [review] | [投票(1)] | |
追憶(1973/米) | 大きな時間的スパンをもってこそ描かれ得る、人間の、変わりゆくものと、変わり得ないもの。ケイティ(スーザン・サランドン)の容姿の変化は、視覚的にも主題的にも、最大の見所の一つ。 [review] | [投票(1)] | |
ジェイコブス・ラダー(1990/米) | ジェイコブ(ヤコブ)のラダー(梯子)の昇降運動。 [review] | [投票(1)] | |
ムーンウォーカー(1988/米) | 異星人が、「映画」なるものを目にして、見よう見まねで自らも制作したなら、こんな作品を撮ったであろうと思える映画。つまり、通常の感覚ではついていけない展開に驚き呆れ返ると同時に、既存の映像表現のツギハギに終始する退屈さもそこにはある。 [review] | [投票(1)] | |
ダイアリー・オブ・ザ・デッド(2007/米) | ドキュメンタリーとフィクションの入れ子構造。劇中の教授はロメロ御大の化身かと思わせるが、作品全体の説教臭さには正直鼻白まされる。 [review] | [投票(1)] | |
長い散歩(2006/日) | 少女役杉浦花菜の愛らしいクソガキぶりが成立させた映画。受けに回った緒形拳の戸惑い顔と右往左往も味わい深い。ただ中盤以降のあからさまにテーマを語り始めた辺りから、演出の絶妙なバランスが一気に崩れるのが残念。 [review] | [投票(1)] | |
俺たちに明日はない(1967/米) | 官能としての犯罪。犯罪行為そのものは即物的でしかないが、犯罪を通じて結びつくポニー&クライドの関係性が官能的。 [review] | [投票(1)] | |
山のあなた 徳市の恋(2008/日) | 『按摩と女』を悉く記憶している訳では勿論ないが、ほぼ完コピに近い印象。パステル調に抑えながらも鮮やかな色調には、カラー化されたモノクロ映像のような美しさを感じる。山の緑が目に沁みる……。ただ、控えめなようでいてやはり音楽が前に出すぎ。 [review] | [投票(1)] | |
フル・モンティ(1997/英) | 失業のみならず、「体を品定めして楽しむ」事の男女逆転にも気落ちするオヤジらの脱ぎは、自身を縛っていた空虚な「男のプライド」を脱ぎ捨てる事の苦行と、その先の解放感へと向かう行為。「脱ぐしかない」と「むしろ脱ぎたい」のせめぎ合いと交錯のドラマ。 [review] | [投票(1)] |