[コメント] 家族ゲーム(1983/日)
映画を変えてやろうという若い意志が全編にあふれてる。カッコ悪い優作にドキドキして何度も繰り返し観た。登場人物が何を喋っているのかよく判らないのもリアルで良い。
音楽が一個も使われてない。長男と母がレコードを聞くシーンですら、よく思い出したら映画上で曲は流れておらず、夢のようにボヤけた画面のなか、2人が曲を聞きながらリズムをとっているだけだった。2人にしか聞こえないことにより、かえってマザコン関係の2人の憩いのひとときを表現する効果が出たと思う。
観客の感情を容易にあやつってくれる音楽を使わないことで、全編によるべない不安感が流れる。激しく盛り上がる曲も哀しい曲も楽しい曲もないので、観客はまさに日常生活をスクリーンに観ることが出来る。そしてそこで繰り広げられるシュールな人間模様に対してどういう感情を持てばいいのか音楽がガイドしてくれないので、観客は安心して観ていられないのだ。
横の構図など他にも斬新な試みがあるが、やりすぎ一歩手前で踏みとどまっているのがまた良い。
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