[コメント] パッチギ!(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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派手に喧嘩を繰り広げながら、フォーククルセイダーズの懐かしいフォークソングを効果的に使って、思わずジーンと来させる。
クライマックスは、もう思い切ってベッタベタにフォークソングにかぶせながら、川原での喧嘩や、出産、葬式、さらにはラジオ局での一悶着などありながらも、それらの強引さが気にならず、きちんと映画としての盛り上がりになっているのは見事であった。
大友康平がかなりいいところを持っていくが、それだけに彼が言った「唄っちゃいけない歌なんてないんだよ」というメッセージが力強く感じられた。井筒監督が、戦前の日本による朝鮮人強制連行とその後の圧迫された朝鮮人の暮らし、それらを覆い隠し事なかれで済ませようとする日本の風潮にも流されることなく、臆することなく堂々とその問題を正面から取り上げながら、説教臭くせず、真っ当な青春映画に仕上げているのは好感が持てる。
それに何より驚いたのは、京都の町並みをうまく使ったロケの上手さ。今は京都の町並みもずい分開発がすすみ、もはや昔の面影を残しているところはほとんどなくなっているのだが、井筒監督はそういう京都の街をうろうろしてロケにピッタリの場所を探したのだろうなあという熱意がひしひしと感じられた。
鴨川の出町柳から東九条までの間を中心にしながら、なつかしの嵐電の北野白梅町の駅舎とか、見ていて「あ、これはあの映画館の前じゃないか」とか「あの路地はあそこだ」と自分が知っている場所がふんだんに出てくる映画を見るのは、とっても楽しいものだということをつくづく教えてもらった。
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