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[コメント] ストレイト・ストーリー(1999/米=仏=英)

急な坂道を駆け下りている時、私たちに周りを楽しむ余裕はない。しっかり考え理解することも難しいし、ましてや愛情や優しさは育めない。まあ一度、ギアをシフトダウンして魂が豊かになる自分のリズムを見つけよう。
パッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画が私に語ってくれたことが2つあります。

★一つは、「ちょとスピードを落とせよ」だ。

本当のことを理解するために、自分のスピードを落としてのんびりすることが大切です。理解には心が安らいでいることが重要ですが、ゆったりとした時間のなかでしか、なかなか心の安らぎは得られないからです。スピードを落とした時に、自分自身が見えてくるように思います。

人間のリズムと都市社会のリズムにはギャップがあります。 人間のリズムは本来はゆっくりと流れているのに、都市社会のリズムは多くの場合非常に忙しくて私たちを押し流していきます。

子どもができると、一度ゆっくりとした人間のリズムを取り戻すことがあります。赤ちゃんのペースに大人が合わせるからです。でも、子どもが成長するにつれて、子どもを大人のペース、いや社会のペースに無理矢理に合わせさせてしまいます。そうやって育ってしまった私たちは、社会や周りのリズムに合わせることが当たり前になってしまい、人間としてのゆったりとしたリズムを忘れてしまうのではないでしょうか。子どもができるとこういうことを痛感します。

一度、ギアをシフトダウンさせて、ゆっくりとした自分のリズムを取り戻しましょう。そうすれば、周りに人たちにも変化が現れると思います。

★もう一つは、「老いることに抵抗してはいけない、ありのままに受け入れることだ」と。

多くの場合、もう一度ゆっくりとしたリズムを取り戻すのは、年老いてからです。 でも、私たちはこの幸せで、充実した日々を送る可能性のある人生の段階を怖がっています。

アルヴィンは、若者の問いに「若い頃を覚えていること」だと答えました。 年をとれば確かに反応は鈍くなりますが、若い人の速いスピードを当然と思わなければ、そのゆっくりとしたペースの美点を前向きに捉えて、また別の素晴らしい人生に段階に入ったことを楽しめるのではないでしょうか。 老いを認めまいとするのでなくて、ゆっくりとした美しいリズムで「今を生きる」ことこそ、幸せな老年期の過ごし方だと言っているように思います。

(評価:★5)

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