色鮮やかな失われた過去。

一方、自動車に象徴される文明が進化した現代。その文明の利器によって「人が人によって送り出される」こと（古い風習ではあるが元来敬意や惜別を表現する最高の手段だったのだろう）がないがしろにされ、お金で解決しようとさえする。

その結末はご覧になった方にはご承知の通りだが、「失われた美しい過去」こそチャン・イーモウ監督の描きたかったものなのではないだろうか。

エピソードは「いかにも」って感じもしないではないが、これがハリウッドだったら、感動の再会シーンとかやっちゃうんだろうな。常に少女の視点で、「探す」か「待つ」ことのみで（かつ必要最低限の台詞で）感情を表現しきっているのはさすが。そういった意味では私の中では『あの夏いちばん静かな海』に近い。

あ、でもこれコロンビア映画だ。