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けにろんさんのコメント: 更新順

★3DOGMAN ドッグマン(2024/仏)被虐の少年期の駆け足感と長じてからのスカスカな物語世界。それでもこの主人公の下半身不随でドラッグクイーン稼業で凌いで犬たちと暮らすというキャラ設定と演じたジョーンズの獣臭を香水で消し爛れをドーランで隠したかの如き造形だけは特筆に値する。[投票]
★3パサジェルカ(1963/ポーランド)後年に幾度となく扇情的に再生産されたナチス収容所もの真摯な原型。わかっていても主人公の反抗の姿勢は緩くカタルシスは封印される。無言のプロテストに精神世界で追いつめられるまでの高踏的描写には終ぞ至らない。未完で終わるのが逆説的に神話性を付加。[投票]
★5デューン 砂の惑星PART2(2024/米)復讐や恋の行く末という規定展開は加速する新たな命題付加の前に駆け足で消化され或いは放逐されていく。その物語性の脱構築とも言える試みの果ては破綻かも知れぬがシリーズPART2としてはこれでいい。端折りは細緻の極みのガジェットに糊塗されていく。[投票]
★4マイケル(1996/米)オールドハリウッドから綿々と連なる過度な刺激には依存しないアメリカ映画の最良の部分。無垢な少年とは正反な胸毛と出っ腹とヤニと油まみれの加齢臭親爺をチャーミング体現したトラヴォルタに祝福あれ。世の審美基準の裏側をいく親爺とはかくも美しい。[投票]
★3恐ろしき結婚(1944/米)偏執男の異常性を明ら様に描かぬので直裁な物語強度は弱いのだが、屋敷の中に何故か巨大水槽が幾つもあったりして、それは破壊される画の為にだけ存在するみたい。そういうターナーのギミックへの拘りが最も成功してるのは冒頭の疾走する夜汽車のムード。[投票]
★4七人の侍(1954/日)侍集めシークェンスは面白く最後の雨中の決戦は確かに凄絶だが、とことんキャラ立ちする七人に対し野盗と農民のあまりな無名性はどうなのか。「勝ったのは農民だ」は士農工商の論理に近似する。長焦点レンズを安易に使いすぎるのもフォルムの統一性を損なう。[投票]
★3アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023/米)偶然にも擬似スワッピングと相成った4人の男女のてんやわんやだが、前振りが長くヒジョーにくだらないのが玉に瑕。作り手の心情はキートンギアに収斂されていく。「私はずっとここにいたのよ」の彼女の涙には男は慙愧の思いに身悶えるしかない。[投票]
★5侍(1965/日)ファナティックな喜八の潜在資質が全開する桜田門外の変。導入の驚異的テンションが冷めぬままに橋本忍の手練手管の脚本を受け演出・編集が冴えまくる。『椿三十郎』と正反キャラを好演する小林桂樹他の紛れ無きオールスターズに涎垂れ流し状態。[投票]
★412日の殺人(2022/仏=ベルギー)展開の手練手管を弄したモル前作と対称的に何も起こらない。容疑者は浮かぶが片っ端からアリバイに消されていく。刑事は自転車競技場の周回に沈降していき内省の日々は『田舎司祭の日記』。だが新たに加わる女たちにより捜査の活路は開けるかもしれない。[投票]
★3あるスキャンダルの覚え書き(2006/英)嘗て『ミス・ワイコフ』が孤独の果てに越境した地平は2キャラに分断され扇情性を失った。にも関わらず途中でどうも高尚な映画でも無さそうと気づいたのだが、なら決定的対決のカタルシスへと導くのが常道だろうにそうもならず煮え切らない。視点は拡散する。[投票]
★3ブルージーンズジャーニー(1975/米)ベトナム戦争が人々にもたらした確固たる日常神話の崩壊を背景に地に足つかない浮遊感で旅を続ける3人。仕事にも女にもそこまでの執着を持てない男だが虚無を気取る見識もない。それでも70年代を覆った霧の中の旅路は何時かは終焉を迎える。地続きの過去。[投票]
★3プレステージ(2006/米=英)嫉妬や怨嗟や虚栄心や絶望や苦渋などのエモーションは時制の解体や変奇な装置や超現実への越境や多くのギミックに埋没してしまった。そんななら寧ろ演出は不要だったかもだ。物語が確実に内包していた生々しいパッションこそが優先事項だった筈。勿体ない。[投票]
★4青春ジャック 止められるか、俺たちを2(2023/日)正直映画の中で決定的な何かが起こる訳でもない。寧ろショボい話と言える。だが、あの80年代の空気の中で何かが変わる何かをやれると遮二無二なって脇目も振らず七転八倒した彼奴とあの子とあの人たちとの話で井上の極私的心情に深く同期する俺がいる。[投票(2)]
★2忍ぶ川(1972/日)主人公を取り巻く陰鬱世界を描くことには成功しているが、思いこみが現出させた主観世界ではなく唯物的世界として描かれ退かざるを得ない。その対極に置かれた木偶の坊的美男美女が悪かろう筈も無いが、どうにもこの2人には教条的押しつけがましさがある。[投票]
★4ARGYLLE/アーガイル(2024/米=英)女流作家の冒険&市井に埋れたスーパー工作員という手垢設定だが掛け合わせることで食傷感を感じさせないし、どこか垢抜けない2人の逃避行は憎めない。ヴォーンとしても頃合いのキザ脱却だしロックウェルは新たな滋味を獲得した。やり過ぎもご愛嬌。[投票]
★5恋恋風塵(1987/台湾)劇的な何事もないのに充ち満ちる郷愁。計算も多少はあるのだろうが清冽な映像は見たことのない域に達している。野外上映のスクリーンに代表されるストーリーと直に連携しない風景のフレームの切り方が巧く、そういうカットが計算外に意味を醸し出すのは見物。[投票]
★3モンキー・ビジネス(1952/米)チンパン&赤ちゃんの驚愕演技、主演デビュー前のモンローの可愛さ、ロジャースのハッチャケの落差くらいしか見どころがない。くらいしか言うてもそんだけあれば充分かもしれないがヘクトダイヤモンドが筆競って展開の奇矯さは欠片もない。[投票]
★4いろはにほへと(1960/日)どうみたって立派な詐欺師の話をどっかピカレスクなダーティヒーローみたく橋本忍が描き佐田啓二が演じるのが時代を思わせ笑える。まあいい。終盤の伊藤の涙は紛れもなく本物だし、何と言っても役者力のガチンコ味。三井で締めたのも感涙だ。[投票]
★5カラーパープル(2023/米)スピルバーグ版未見なので物語の強靭な構造にストレートに射られた。彼女は如何にして男どもの抑圧を跳ね除けるに至ったかの「女の一生」で年月の重みがカタルシスを産む。2人の女性が彼女に影響を与えるがあくまで影響だけ。勝ち取るのは本人だの真理。[投票]
★3実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(2007/日)序盤のセクト勃興史は、あたかも深作代理戦争』の如しで快調だが、物語が山に入ってからは停滞。今更のこういう永田や森なら伴明光の雨』の方が鮮烈だった。愚直なまでの若松は支持したいが現代に訴求させる多面的「総括」には至らなかった。[投票]