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けにろんさんのコメント: 更新順

★3レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009/中国)こうまでプラスチックでベニヤ細工の模造品を作ったジョン・ウーに或る意味尊敬の念を禁じ得ない。天気任せの戦略と勘違い女の意味無し投降と兵を退いたヘタレの葛藤無き翻意。熱くなりようもない世界ならせめて鳩出せ!トニーがマジミスキャスト。[投票]
★4眠る男(1995/日)硬直した形式主義な閉塞感に若干の嫌悪を感じつつも絵力には魅せられる。多くの登場人物の連関しない生きとし生ける混沌は、群馬という箱庭的限定空間に培養されたアジア的カオスにリンクしつつ呈示されダイナミズムを獲得。優れて「今」であると思う。[投票(2)]
★3リダクテッド 真実の価値(2007/米=カナダ)序盤の監視所があるバイパス入口の半端な静謐が支配するサバーブ的状況設定が秀でており、緊張と倦怠の綯い交ぜな描写は素晴らしい。ただ、中盤以降は、真摯ではあるが提議される問題もそれを描く手法も新味が無い。デ・パルマだから敢えて言いたいのだ。[投票(3)]
★4博奕打ち(1967/日)任侠の閉じた世界の中の更にミニマムに限定された領域で鶴田待田山城VS河津若山(快演)・小池のシンプル構図も心地よく、小沢演出もアップ使いの時宜を得てナイス。後の組織論的笠原世界とは違う味わいが又良い。[投票(1)]
★3江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者(1976/日)変態は嫌いではないが、視姦者と被姦者の間の屈折した共犯意識が妄想世界で充足してる間は良くとも、現実殺人に至らざるを得ない乱歩の枷が寧ろ邪魔。宮下の貴婦人も柄じゃない。だが、全てを無に帰す大震災が低予算ながら解放と余韻を確実に付す。[投票(1)]
★4のんちゃんのり弁(2009/日)断面解説が可愛いシャレに成り得ている。…と思えるのは主人公を語るに一切の予断がないからだ。緒方は小巻を信じてるし小西にも若干の過剰があっても衒いは無い。不安と希望が綯い交ぜの泣かない女の大泣きが自立への通過儀礼となる。その通りだよ。[投票(2)]
★5空気人形(2009/日)バーチャルでないリアルなビニール性欲処理人形という実存はペ・ドゥナの緩んだ太股や汗ばんだおでこに継承され、死滅しゆく閉塞都市を彷徨い血と塵芥にまみれて消えるしかない。ピンビンの温もりの風景に包まれた是枝の冷炎の如き怒りの都市論。[投票(6)]
★4トキワ荘の青春(1996/日)移ろう時代と世界に対峙し不動の軸足として静物の如く立ち続けた男。相当に見え透いたテーマではあるが心を打つのは、実在人物だということ以上に市川の信念に揺さぶられるからなんだろう。もう一方の軸足の手塚が幻影のように垣間見えるのも粋である。[投票(2)]
★3あの日、欲望の大地で(2008/米)場所と時制が錯綜し多くのエピソードが並立配置される前半。圧倒的な風景描写の中、過去は神話性を現在は絶望の深淵を垣間見せる。ベルイマン絶頂期をも想起させる性的アプローチだったが、物語の帰結が見えるにつれ哀しいまでに急速に世界は矮小化した。[投票(1)]
★3ドゥームズデイ(2008/英=米=南アフリカ=独)バイオハザード』な導入に『ニューヨーク1997』な序盤。ここまでは許せるが、この監督はアクション演出がもっさりし過ぎでカタルシスに至らない。都市から郊外へ展開した物語は中世風味の更なる停滞の挙げ句、絶句するカースタントへ。そりゃないぜ。[投票]
★4ロッキー2(1978/米)初作の成功を受けつつも未だ清新な気持ちを保ちつつで望んだであろう本作。どん底の寂寥感は消失したが予算は増えて終局へのカタルシスは倍加した。ファイトシーンの圧倒的質量感。スタローン御自らの演出も過不足なきシリーズ最高作。[投票]
★5白夜(2009/日)発想の発端はブレッソンであったにせよ、正反なグダグダで饒舌なダイアローグ劇。しかし、それを完璧にこなす主役2人に瞠目した。緊密なサスペンスが持続する果てに男と女の関係は所詮はロジカルには帰結し得ないという諦念。妥協なき真理の呈示。[投票(2)]
★3里見八犬伝(1983/日)改めて「八犬伝」というのは淫猥で変態な物語だと思ったが、それを脳内筋肉バカの深作がこれ又阿呆丸出しのひろ子広之ペアに託し、勘違いミュージックてんこ盛りて青春青汁したたる絵巻として繰り広げるのだ。結構おもろい。[投票]
★5反撥(1965/英)女の中で狂気が内部浸食し自己崩壊していく様を細密画のように微細をクローズアップして丹念に紡ぐ。その職人技の光沢には見とれるしかない。ギルバート・テイラーの神技なモノクロームは道路の些細なひび割れにさえ狂気を増殖させる魔を潜ませるのだ。[投票(1)]
★3リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日)受け身な主人公に世界のシステムを制御するカリスマはなく、狂言回しとすれば回される世界に意味或る至言は存在しない。体裁にジャンルを踏破させたいなら『欲望』を、トリックスターなら『テオレマ』をだ。この物語にはそのケレンが欲しかった。淡泊で退屈。[投票(2)]
★4スター・トレック(2009/米)総じてふやけた原シリーズに輪をかけるかと思える旧態な世代交代譚だが、ド真ん中から射抜いてくるエイブラムスの確信ぶりには惚れ惚れする。前作はフロックではなかった。技術的達成度の高さもその力業を担保する。CG使いが絶妙なのだ。[投票(1)]
★4翔んだカップル(1980/日)若い男女がやむなく同居で内心ウハウハ的物語ではなく台詞の行間の空気。相米の関心はそこにしかない。窓外にたゆたうアドバルーンのように茫洋としたシラケ感はやがてモグラ叩きの剃刀のような刹那な痛みへと先鋭化していくのだ。[投票(3)]
★4カムイ外伝(2009/日)被虐者VS加虐者という構図ではなく同恨相食む無常に収斂させた白土イズムを押さえた脚本。殺陣も打撃と関節技を取り入れ納得性があり魅せられた。CGは『ワタリ』的原色配置は買うが「飛翔」の描写の細部が甘いなあ。新たなベンチマークとは思うが。[投票(5)]
★4キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語(2008/米)実話ベースの割に新味なき展開ではあるが、このブルースのガツンとした味わいと、受け止めるブロディの華奢で沈静な風体が絶妙なアンサンブルで、後半の隠し玉ビヨンセのオーラとシンクロする様は刹那な感銘にまで至る。良い。[投票(1)]
★4東京夜曲(1997/日)いきなり故郷に帰ってきた男に慌てふためく旧知の人々。設定も如何にもで、市川の技巧は鼻につく寸前までワンパターン化してきたが、仏頂面の寅次郎を長塚京三が好演。しかし、成功の要因は耐えて受け身に徹した桃井かおりのキャスティング。[投票(1)]