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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★44ヶ月、3週と2日(2007/ルーマニア)結末なき日常のサスペンス。あるいは、実時間として共有する苛立ちと諦観。恋人宅のホームパーティで共有させられる疎外感に至ってはあきれるほどである。この執拗さが強いる緊張感の裏に、当時の世相のもと封じ込められた女のエネルギーの反発力の強さを感じる。[投票(1)]
★4愛おしき隣人(2007/スウェーデン=独=仏=デンマーク=ノルウェー)ある種の喜劇映画に見られるようなダルなコント集に陥ることなく、過少さで統一された画面統率で有機的な「街と生活」を創作する手腕が見事。凡庸さをよしとする「街と生活」に突如来襲する、凡庸に見えるほど大量な「外部」という非凡さもまた人間の業である。[投票(1)]
★3ぜんぶ、フィデルのせい(2006/伊=仏)ジュリー・ガヴラス監督の家族と少女時代への郷愁という「感情」要素と、おそらくは思春期以降に芽生えた政治的世界観に対する「信条」要素が整理されぬまま混在しているように見える。そこが面白さだと言えなくもないが、やはりなんだか座りが悪い。 [review][投票(1)]
★4原爆の子(1952/日)被爆後、7年を経てもなおあまたの瓦礫を残す広島の姿を、劇映画の背景としてキャメラに納めるということ自体が映画史上において極めて貴重な行為だ。さらに、あの惨劇のなか「生き残った者は何をなすべきか」という新藤兼人の思考もまた、極めて真摯である。 [review][投票(1)]
★3(秘)女郎市場(1972/日)どぎついタイトルに反して、可憐な片桐夕子が(私の知る限りかつ私の好みにおいて)ロマンポル界きっての美乳をプリプリと孤軍奮闘する姿が愛らしい。関取、按摩三人衆、流し目親分ら遊郭客の生真面目なドタバタぶりもバカバカしすぎて不覚にも大笑いする。[投票(1)]
★3鍵(1974/日)「これから裸になるために、私、この映画出てます」感ありありの荒砂ゆきは、どう見ても古い道徳意識のもとに育ち性を抑圧された良家の婦人などには見えず、悲しいかなロマンポルノの限界と宿命を感じずにはいられない。それ以外は、良くも悪くも神代節。[投票(1)]
★4TOKYO!(2008/仏=日=韓国=独)近年の都市映画では北京や上海を舞台にした作品が異彩を放つのだが、本作の舞台があえて東京である必然性を感じないのは、最早「TOKYO」が都市のもつ多面性を失い硬直化し始めているからかもしれない。それは、そこに暮らす人々の固定化と言い換えてもよい。 [review][投票(1)]
★3快楽学園 禁じられた遊び(1980/日)偽善溢れるガラス張り家庭に育ったどうしようもなく善い人太田あや子は、始めから終わりまで泣いている。善人が楽に生きるためには、苦しまなくてよい程度の悪人になること。あの夜這い教師のように。偽催眠術師に同情する善人とは実は悪人であるという皮肉。 [review][投票(1)]
★3次郎長三国志(2008/日)シリーズダイジェスト的構成ながら、過不足なく軽快なテンポで一気に飽きさせず見せきる手法は、現代版として正解。女を迎えに行く法印大五郎の逸話の省略の大胆さなど、むしろ余計に涙を誘う。しかも、ちゃんと懐かしきチャンバラ映画のアナログ感が漂っている。[投票(1)]
★3あにいもうと(1953/日)復興発展をとげてつつあるであろう都心から、過去を失いつつさらにとり残されていく都市近郊の淀みと焦り。そんな空気がひしひしと伝わってくるのだが、兄(森雅之)の妹(京マチ子)に対するやつ当たり的言動と、それへの妹の心情の振幅が見えにくい。 [review][投票(1)]
★5稲妻(1952/日)右往左往する女たち。ネチネチまとわりつく男たち。この半分つながりの姉妹たちの生活空間には、母親(浦辺粂子)が撒いた負の磁場が存在するかのようだ。その証拠に、この母親は娘を引き寄せ、あるいはのこのこと何処にでも顔を出しさりげなく存在を主張する。[投票(1)]
★3紅の豚(1992/日)子宮のような入り江を安息の棲家としたブタは、子供のようにはしゃぎながら空を飛ぶ。一方、曰くありげな女性歌手の達観ぶりや、元気いっぱいの整備士娘の自立ぶり。女はみんな大人だ。男は実は傷つきやすくヤワなのよ。だから優しくかまってね、という話だな。[投票(1)]
★3自虐の詩(2007/日)堤幸彦特有のガチャガチャ感は実は嫌いではないのが、どうしてこの人はいつも話に情がからみ始めたとたん映画が平板になってしまうのだろう。アレコレやらされ孤軍奮闘、振り上げたこぶしの落としどころが分からず困っているような中谷美紀がきのどく。[投票(1)]
★4逢いたくて逢いたくて(1966/日)ただの恋愛歌謡映画と思いきや、まず白坂依志夫の変則「ローマの休日」風脚本が粋で切ない。園まりの変身ぶりや、松原智恵子のキュートな酔っ払いぶり。手を抜かぬ小沢昭一のダメ男に、まる顔太田雅子の新鮮なこと。やぁ、楽しい、楽しい。[投票(1)]
★4名もなく貧しく美しく(1961/日)忘れられた人びとの話である。戦前、戦中において聾唖であるということは、神の兵士として戦うことのできない男であり、神の民たる子を生むことのできない女だ。おそらく社会から無視された存在だったであろう。しかし、それでも彼らは生きていかねばならいのだ。 [review][投票(1)]
★3TOKKO −特攻−(2007/米)小中学生向けの教科書にちょうどよい。だからダメだというのではない。作者は、自分が分からないこと、不思議に感じたことを素直に聞くことから始める。そこに主義主張はない。日米双方の「特攻」を語る人達もまた素直だ。素直になれば、必ず見えるものがある。 [review][投票(1)]
★3眠狂四郎無頼剣(1966/日)定番、三隅・牧浦地志コンビの大胆にも小気味よい画作りながら、エログロ控えめで王道をいく正統派伊藤大輔脚本でむしろシリーズ中では異色作。心優しきテロリスト天知茂の権謀術数ぶりに、いま少し生真面目な哀れが滲んだとすれば、と惜しまれる。[投票(1)]
★4スリ(1959/仏)始めから終わりまで狭い画面のなかに「人」が詰め込まれている。主人公の青年に思いを寄せる娘、友人、警部、スリ仲間、そして被害者たち。それは、まるで主人公の矮小な心と、限られた社会観を示唆するような息苦しさを醸し出す。ブレッソンの画づくりの妙技。[投票(1)]
★3素晴しき男性(1958/日)俳優達のダンスが素人臭く粗製濫造ぶりを露呈する。ミュージカルシーンのスタジオセットも付け焼き刃的で魅力なし。キャンプ場でのダンスに至っては、まるで小学生のリズム体操。宝塚仕込みのステップで孤軍奮闘する月丘夢路のみ見応えあり。[投票(1)]
★4喜劇 女は度胸(1969/日)親父(花沢)と兄貴(渥美)の独りよがりな出鱈目さ、弟(河原崎)の初心さ。子供のようなダメ男たちに比べ、健気かつ大胆に、そして颯爽とした愛子(倍賞美津子)と笑子(沖山秀子)の清々しさ。さらに、耐えた者の特権を行使する母(清川虹子)の凛々しいこと。[投票(1)]