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[コメント] ピンポン(2002/日)

この御時世、気恥ずかしくってちょっと言い辛いのですが言っちゃいます。窪塚洋介最高です。でも今作で最高なのは「ドラゴン」中村獅童です。これほどまでに紳士的で愛おしい敵役はない!
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ストーリーの根幹は至ってシンプルなスポ根です。一歩踏み外すと30年前の作品に落ち着いちゃうような。ところがこの作品、(これは原作によるところが大きいんですが)5人の少年(?)たちのキャラがことごとく立っている。何なら主人公ペコが一番霞みそうなくらいです。とは言えペコ復活の飛翔では泣きそうだったんですけどね。

スマイルの、ペコを超えてしまうことへの畏怖、葛藤。彼にとって、ヒーローはヒーローでありつづけなくてはなりませんでした。ヒーローを超えることが許されるのは、本気のヒーローと戦った時だけなんです。だからこそ決勝へと向かう廊下で、スマイルはペコに「遅いよ」って言うんです。彼が待っていたのはあの時の数分ではなく、子供の時からの何年もの時間なんです。

ルービックキューブも象徴的で好きです。完成することもできたはずのパズル、決勝に向かうスマイルの後に残された完成されたそれは、そのまま彼の完成を意味します。たまたま完成したのではなく、完成することを己に許したんです。ペコに勝つことを己に許したように。

チャイナのクールさも良かった。アクマのあがきも良かった。

でもやっぱり1番はドラゴン!「最強」たる彼の凄みを表現するために歌舞伎役者中村獅童を選んだのは最適だったと思います。何より歌舞伎の「見得」を彷佛とさせる彼の「構え」の凄みは、この映画の厚みを大きく増していました。ペコでなくてもチビります。

CGも前評判通り、ほぼ物語に埋没していてくれていました。

ただ一点、コーチ小泉が、自らの過去をスマイルに語るシーン。小泉が語るとセミが鳴き、台詞が止まるとセミの声も止まるっていう音響効果。沈黙の間を活かしたかったのかな、とも思ったんですが、逆に気になってしょうがなかったのは残念。

何にせよ竹中直人夏木マリらベテラン勢の熱演にも食われることなく、魅力的な青少年を演じてくれた5人に感謝です。あぁ気持ち良かった!

(評価:★5)

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