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[コメント] エイリアン2(1986/米)

こんなロマンティック…
kiona

 リプリーの頼れるランボー母ちゃんぶりは子供の時分にも存分に伝わってきたが、今見てぐっと来るのはリプリーとヒックスの間に芽生えた束の間の甘い時間。

リプリー「もし私が奴らの繭にされたら…その時はよろしくね。」

ヒックス「…その時が来たら、撃ち殺してやるよ」

 そう言って二人は、マシンガンを挟み、肌を重ね合わせる。SFの状況設定がフルに活かされた残酷で、異常で、ロマンティックな愛の告白。無闇なキスだの、ありきたりな濡れ場だのより、よっぽど熱いものを感じさせてくれる。

 あるいは、リプリーに前作にはなかった母性(厳密に言えば、猫を固守したくだりに片鱗は見えていた)を見出した演出に関してもそうだが、この頃のジェームズ・キャメロン監督作品が単にスリリングなだけのアクション映画でしかなかったとは全く思っていない。『ターミネーター2』も同じく戦う母の物語だったし、『ターミネーター』と『アビス』もSFの舞台を駆け巡ったロマンスだった。そのロマンスが他のどんなロマンス映画にも勝るほど最高だったとはとても言い切れないが、特別だったとは言い切れる。ヘプバーンの映画の中に代わりになるものを見つけようたって見つからないのだから。

 こんな映画だが、こんな映画だったから、そこいらの文芸映画に負けていなかった。しかし残念なことに、監督本人はそう思っていないというか、こんな自らの作品群だけでは満足できなかったらしい。

 そんな監督に問いたい。このリプリーとヒックスのシーンに匹敵するほどロマンティックなシーンが、ジャックとローズの間にあったかと。

(評価:★4)

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