★4 | スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(2021/米) | 事態を持て余すコメディ調の通底が時空に裂け目を作り、その狼狽を具体化している。並行宇宙に由来する感傷がこれに対応する。 [review] | [投票] |
★4 | ハッシュ!(2001/日) | 配慮と相対化の工学が、異性愛の成立しえない構造に、不憫さを恋と混線させることで、疑似的に愛の切迫をもたらす。良識をめぐる人の相対性が筋として外化すると、半ば犯罪映画のストレスが民俗学的な誤爆として結実するような比喩の戯れとなる。 | [投票] |
★4 | はちどり(2018/韓国=米) | 文明の崩落を叙述する前提として、まず文明自体を物象化する作業がある。それは診断書や漢文塾、究極にはソウル大になるのだが、かかる文明物を文字通り破壊する物証の迫力は通俗と互換して、 [review] | [投票] |
★4 | ジョジョ・ラビット(2019/米) | 社会小説は物体の作り込みによってその誠意が担保される。30年代中欧の朽ち果てたインフラは総天然色の箱庭へ化粧直しされる。景物の作り込みは行為に影響を及ぼさずにはいられない。 [review] | [投票] |
★4 | チャーリング・クロス街84番地(1986/英=米) | タバコとボトルの山を築き上げ、60年代を不穏に駆け抜けるアン・バンクロフト。変移する風俗を観測可能とするのは、靴磨き、通勤、クリスマス飾りつけ、投票所、戴冠式中継等々、オッサンの永遠の一日。 [review] | [投票] |
★4 | ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏) | 荒唐無稽な虚構と現実との境界は常に明瞭である。喜劇というよりは、安心して享しめるホラーという不思議は、保安官が強すぎる西部劇として、これまたクロスジャンルする。民間人いじめという不穏が喜劇を許容しないのである。 | [投票] |
★4 | Mr.ノーバディ(2021/米) | 男と同化するにはナルシシズムに躊躇がなさすぎる。ロシアン・マフィアの心理に近寄れば、禁足地に踏み込んでしまったようなホラーコメディが始まる。禁足地の記号化に秀でるのである。 [review] | [投票] |
★4 | クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園(2021/日) | 結論としては人の情熱を嗤うな。本作のエリーティズム批判の文脈に当てはめると、階級脱出の試みを妨害するな。しかし、これがよくわかない。 [review] | [投票] |
★4 | モンタナの目撃者(2021/米) | グロリアをアンジーのアイドル映画にしては疑似母性どころではない。性欲を不幸の顕示癖として叙述するシェリダン節が今回は分裂している。アンジーは惜しげもなく不幸を衒うがカワイイから許したい。語り手の性欲は少年に仮託されたといえなくもない。 [review] | [投票] |
★4 | A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017/米) | ケイシー・アフレックの髭面が被り物をしている。これは評価が難しい。髭面はシーツ幽霊の可愛さを損なうのか。中身が髭面だからこそ切なくなるのか。ベートーベンの講話を何分も聞かされる。何が悲しくてハゲを延々と見せられるのか。しかし [review] | [投票] |
★4 | 白頭山大噴火(2019/韓国) | いつものことながら、イ・ビョンホンの、つまり北のエージェントの動機が強すぎてハ・ジョンウの本編が延々とコメディリリーフになるアジア的映画風景が展開する。ビョンホンに対抗できるようなジョンウの悲劇はいかにして可能か。 [review] | [投票] |
★4 | search/サーチ(2018/米) | GUIがなぜラスターでなくベクトルで描画されるのか。そして、オヤジさんに凌駕される警察はどれだけ無能なのか。いずれも合理化はされるのである。が、 [review] | [投票] |
★4 | ワンダー 君は太陽(2017/米) | 少年を見た大人たちの反応は自分の善性がかき立てられる機会を得たよろこびを湛えている。徳のかかる反匿名性は少年に受恵者のプレッシャーをもたらし、その顔に異化を絶やさない。かつ、善の衝動は流れるように円滑な懲悪をも成功させている。 | [投票] |
★4 | バーフバリ 王の凱旋(2017/インド) | マザコンの愛妻家は性欲の未分化と思うのだが、性欲よりも分化の方に重点はあるようで、事態を動かす母と息子の共犯関係に沿って怨念が分化して精緻化される。ダメ母を暗黒面に落とす勧善懲悪の含みは、二百三高地のようなストレスとの対峙劇に代わる。 [review] | [投票] |
★4 | ウインド・リバー(2017/米) | テイラー・シェリダンの男たちは性欲に負けない。むしろ性欲を恃みとする。そのままではキャバクラ説教の背徳になりかねないジェレミーの眉間の皴が社会化すれば、啓蒙思想家が頭で考えたような正義の有り様となり、 [review] | [投票] |
★4 | 映画大好きポンポさん(2021/日) | フィクションの侵食先は現実にとどまらない。その侵食力が編集者の躯幹と交織すると、土着メディアが異文明を併呑する量感に圧される。劇中劇の劇伴に本編のそれが被るような現実腐蝕の力は欧米人に土下座をも強いる迫力で希望の押し売りを超えていく。 | [投票] |
★3 | グレイテスト・ショーマン(2017/米) | 予感される教訓は、女にとってみれば、バンドマンに引っかかってはならぬ。男に喚起されるのは、ミシェル・ウィリアムズという類型配役。文系を幾人も殺害してきたそのタヌキ顔。教化は現前したといえなくもないが、 [review] | [投票] |
★4 | アクアマン(2018/米) | 地上人の啓蒙はそのまま肯ずるには気持ちがよすぎる。肉体派の楽園がそこに掣肘を加えバランスはとれたように見える。が、ラブコメの冴えわたる手腕が肉体派を無邪気なロマネスクに隷属させ、全ては文系男の極彩色の邪念に飲み込まれるうれしいオチである。 | [投票] |
★4 | 海底2万マイル(1954/米) | 触手に見舞われてもカーク・ダグラスの逃亡癖が危機を中和する(なぜ艦を救う必要が?)。ひげ面まみれの叙景にかろうじて一体感をもたらすのは動く非日常ピーター・ローレの困惑顔。精神安定を希求するかのように、そのイガグリはやたらと撫でられる。 | [投票] |
★4 | アメリカン・サイコ(2000/米) | 80年代に見えるか? 見えるはずがない。にもかかわらず、クロエ・セヴィニーの巨大な肩パットを目撃すると無性に泣けてくる。郷愁の催涙感を人間への憐憫にすり替えるのである。 [review] | [投票] |