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赤い戦車さんのコメント: 投票数順

★4トワイライト(1998/米)非常に渋い仕上がりのミステリーだ。サランドンが一種のファムファタールとして描かれ、その周縁をハックマンやニューマンがたむろする。回想など余計な説明を省くことでニューマンが抱えている謎に観客も視点を同化できるわけだし、寄り主体ではあるが目の動きなど役者のディレクションもしっかりしている。反射物をさりげなく画面に取り込む撮影も良し。ポール・ニューマン晩年の代表作として挙げたい。[投票]
★2ケープ・フィアー(1991/米)恐怖の岬』の方が余程良い。元々のキャラクターに現代性を付け加えようとして結果間延びしている。また、色々と文法を崩そうとした結果サスペンス性は消え、たいして崩れることもなくふざけた感じだけが漂ってしまい、バカみたいなパロディに見えてしまう。ミッチャムの使い方など笑えなくもないダメさなのが救いか。[投票]
★4バレッツ(2010/仏)ジャン・レノメルヴィル風の「どこまでも筋を通す」キャラクターを演じる。メルヴィルほど粋で力強い演出ではないが、楽しめる。 [投票]
★4誕生日はもう来ない(1981/カナダ)窓や光源から至る所に影・暗闇を作り出してムードを盛り上げる光使いの巧みさは特筆に値する。この頃流行ったスラッシャーものの影響(殺害方法等)も受けつつ、ショックを狙わずあくまでサスペンス志向な見せ方が古風の怪奇映画のようでまた素晴らしい。確かにオチはこけそうになるが、悪くない、むしろ傑作の部類だと思う。[投票]
★2フリーズ・ミー(2000/日)低予算で撮られた映画だろうが画面を豊かにする術はいくらでもある。然るに、この映画は無駄にカットを割ったり寄ったりするので低予算の貧相さが余計に画面に出てしまうのだ。石井隆の映画は照明が命なのでこの安っぽさは致命的。竹中始め役者もルーチンワークに留まる。鶴見辰吾の登場時の恭しさだけが予想を逸脱していて悪くなかった。[投票]
★4エディ・コイルの友人たち(1973/米)ミッチャムのくたびれ中年具合もさることながら、犯罪取引の模様を即物的に捉え綴っていくところがとても好み。 [review][投票]
★3リーサル・ウェポン4(1998/米)アクション設計はシリーズ中最も冴えている。カメラを変に揺らさず、ちゃんと殴る蹴る転ぶといった動作でカットを繋いでしっかり撮る。アイデアも良い。最初の土砂降りと火炎放射器。海と鮫。ビニールで引きずられビルを通り抜けるカーチェイス。ただ、クリス・ロックが全然ダメなのと、ラストバトルは2対1はまだしも凶器を使うのは卑怯に思えるのでやめてほしかったね。[投票]
★4恐怖の岬(1962/米)サム・リーヴィットの撮影が良い。奥行きのある、見事な縦構図の画面が随所にある。派手な出血や爆発はないが、ただ真っ直ぐ向かってくるだけのロバート・ミッチャムなど見せ方によるスリル醸成が中々優れている。渋いサスペンス映画。[投票]
★4カリフォルニア・ダウン(2015/米)例えばヘリコプターで妻を救出した後、煙を抜けるとビルが倒れてくるシーンは第3者視点ではなく、まずヘリコプター側の視点で始めなければ驚きもサスペンスも生まれないだろう。こうした欠点は数多いが、一方でアメリカ映画らしい「家族の再生」にはたとえ描き方が拙くとも素直に感動する。ヘリ、ボート、車、飛行機、乗り物映画としてもバリエーションが豊富で楽しい。私は結構気に入りました。 [review][投票]
★4夏の庭 The Friends(1994/日)やはり本作でも日常から非日常へと突然跳躍させる手腕が魅力的だ。坂田直樹が病院で迷った際のホラー的な逸脱ぶりはどうだ。土砂降りの雨。幾度となく差される傘の美しさ。相米慎二の中では人気がいまいち無いようだが、これも十分面白い。[投票]
★4幸福〈しあわせ〉(1965/仏)実験的なモンタージュは面白いが、早すぎる切り返しなどうまくいってない部分もある。樹の幹を挟んで踊る男女を交互にパンして捉えたショットが、この映画を端的に表象している。通風性と森林はルノワールか。[投票]
★3ロープ(1948/米)さして面白くない映画であるが、技法の研究用として一見の価値はある。長回しで有名な作品だが、むしろカットを割ることがどのような効果を生むのか、それを学術的に考察する上で非常に勉強になるのだ。私が観たバージョンは、クローズアップによる繋ぎ(つまり、「カットを割った」と観客に思わせたくない繋ぎ方)を除くと、5回はっきりとカットを割っていた。 [review][投票]
★4俺たちに明日はないッス(2008/日)タナダユキではこれが一番良い。第1ショットの暗がりの中、男女の肉体が見えてくる。波音と木戸のかしぐ音が聞こえてくる。そして扉を開けた先の海辺。この時点で録音と照明に気を配った映画だということが分かる。柄本時生の発する言葉は予め用意されたセリフには思えず、生きたキャラそのものになっている。一体どのような演技指導を行ったのだろうか。[投票]
★4リアル・スティール(2011/米)ロードムービーとしてよく出来ており、かつ、少しフォードを思わせるところがあって涙腺を緩ませる。また、終盤の父子間で交わされる視線の交錯の美しさを見逃してはならないだろう。マウロ・フィオーレの撮影も◎。このカメラマンは要注目と思われる。[投票]
★4この愛のために撃て(2010/仏)嘘か真か「映画とはチェイスだ」とホークスは娘婿のフリードキンに語ったらしいが成る程本作の徹底したチェイスっぷりを見るとそれも頷ける。カットは多めだが登場人物の位置関係はよくわかり、それが追跡アクションの出来に大きく貢献している。ちょっとした見せ方の工夫とちょっとしたアクションのアイデアが活劇的な面白さを何倍にも高める、という好例。[投票]
★5旅するパオジャンフー(1995/日=台湾)例えば大きな木の下で老芸人が歌うショットの見事なフレーミングや、一台しかカメラを置いていないのに息子とその恋人との会話の応酬を切り返す繋ぎ。揺れるブランコや浜辺にポツンと置かれた枯れ木の上で一家団欒する様子を捉えたロング。黄春蓮一家の座る机とその後ろで翻る洗濯物を収めたショットなど、構図ができすぎている。パンクを直す一家を照らす照明も予め位置を決めているのではないか。 [review][投票]
★2あぶない刑事〈デカ〉リターンズ(1996/日)真面目なアクションの間に入るコメディ要素や茶化しがユーモアにならず、滑って最悪の結果になっている(昇降機の上下は多少笑えたが)。はっきり言ってつまらん出来だが、こんな映画でも仙元誠三は手を抜かない。夜間のボート置き場や工場の照明など無駄に美しすぎて困る。2.5[投票]
★4トイレの花子さん(1995/日)夜のストレンジャー 恐怖』や石井隆作品などと共に笠松則通撮影によるホラー/スリラーとして大事にしたい一作。 [review][投票]
★5トラック野郎・男一匹桃次郎(1977/日)このシリーズは何の脈絡もなく場面が飛ぶ上にどのシーンも破綻を恐れぬ祝祭的な楽しさがあって、少しジョン・フォードを想起させる辺りが映画として好みなのだが、とりわけ本作はいい、特にラストシーンには心を打たれた。夏目雅子菅原文太を乗せたトラックとの美しい切り返し。鈴木則文に才能が備わっていることの証だ。4.5[投票]
★4ザ・インターネット(1995/米)題材の古臭さと映画の古臭さとに関係などあるわけが無い。何を描こうが映画は映画としての面白さを湛えているかどうかが生命線である。その点、本作はサスペンス映画として今なお観る価値のある仕上がりだ。アーウィン・ウィンクラーはもっと評価されてよい。[投票]