★4 | 野獣の青春(1963/日) | 大量の情報を簡潔に凝縮した脚本を得て、意表を突くカットつなぎや作為的なフレームイン・アウトが物語の進行を阻害することなくむしろ推進力となり、いわゆる“清順美学”が突出せずに通俗娯楽と均衡を保って心地よい。底流の抒情(湿り気)も過剰にならずいい塩梅。 [review] | [投票(2)] |
★2 | 赤い谷間の決闘(1965/日) | 話のつまらなさ、裕次郎のやる気のなさ、ロケ撮影の迫力のなさ。見るべきところは高村倉太郎のセット撮影の見事さぐらい。酒場での群集シーン色調には釘付けになった。後はきっちりと仕事をこなす小沢栄太郎、佐野浅夫、桂小金治、高品格。 | [投票] |
★5 | 早射ち野郎(1961/日) | いいじゃないですか、エースのジョー(宍戸錠)。クラクラするぐらい面白い。久しく忘れていた。映画は夢の再生装置だった。そうだ錠さん、西部劇好きに悪い奴はいない。おもちゃの拳銃をベルトに突っ込んで、野原を駆け回っていた子供の頃を思い出す。 | [投票] |
★4 | 遥かなる国の歌(1962/日) | 取り立てて、どうと言うことのないプログラムピクチャーながら山川潤(小林旭)という男の、勢いだけで突き進む唐突な行動が、お約束どおりのストーリーに微妙な変化とズレを生み出して妙に魅力的な映画になっていて実に楽しいので、思わず4点献上。 | [投票] |
★3 | 春婦伝(1965/日) | 女は流れて底まで落ちた。大底だから見える周りの世界。見上げた世界は狂気の世界。惚れた男もその中に・・・。呼んで戻らぬ男なら、ともに底まで落ちるまで。・・・いや、どちらが底かは分からない。 | [投票(1)] |
★4 | ろくでなし稼業(1961/日) | ヒラヒラ、ピョンピョンと移動し、派手な身振り手振りで顔を突き出しセリフを決める。ワイドスクリーンの中で躍動する正に銀幕のアクションスター宍戸錠。全盛期の松田優作がこんな感じだった。お坊ちゃん顔の二谷英明のろくでなしぶりもいい。 | [投票] |
★4 | 関東無宿(1963/日) | 戦後的女子高生(松原千恵子/中原早苗)の偶像となったアナクロ侠客(小林旭)は、さらに任侠道にもとる親分(殿山泰司)に失望し、伝統芸のごとき華麗なイカさま技に導かれペテン師女(伊藤弘子)との愛欲に堕ちる。その極太眉に滅びのマゾヒズムを見た。 | [投票] |
★4 | 太陽は狂ってる(1961/日) | ボタンの掛け違いから始まった急旋回を圭一(浜田光夫)が、なげやりになりながらも受け容れていく過程が哀れで共感を誘う。そんな圭一を喜々として迎える恒(川地民夫)の人なつこい笑顔が無邪気で印象的。チンピラ青春映画の秀作。 | [投票] |
★4 | 明日は咲こう花咲こう(1965/日) | 姫田によって、さりげなく写し撮られた野山や川の瑞々しい風景が、因習に捕らわれた地方生活者の心の奥の純朴さを暗示して、この類型的な成長物語に類型以上の力を与えている。これこそが映画の力だ。吉永も愛らしく、ドタバタ劇も楽しいではないか。 | [投票] |