「ジャン・リュック・ゴダール」(システム既定POV)の映画ファンのコメント
秋津温泉(1962/日) |
メロドラマとしては増村『清作の妻』や成瀬『浮雲』、溝口『近松物語』と並んで代表作だろう。奇抜な位置ながら照明をきちんと当て、下らない「作家性」などとは無縁の見事なショットの数々。鏡・窓・水・傘といった装置が印象的だ。オーヴァーラップでの時間の省略がまた美しい。岡田茉莉子のうなじが実にエロティック。 (赤い戦車) | [投票] | |
女が変転していく様とそれを冷厳に捉えるカメラの眼差しに心揺さぶられずにはいられない。これは成瀬『浮雲』と双璧の寂寥。さらに全編に亘って極めて美しい、しかし冷たいスペクタキュラーな画が溢れており『浮雲』よりも私の好み。ラストの俯瞰ぎみの横移動も凄いが津山の散歩シーンの桜が見える縦構図なんかも本当に素晴らしい。 (ゑぎ) | [投票(6)] | |
戦後の復興を背に鄙びた温泉旅館で黴ていく女。男は死の縁から女の精気に救われながら無為に生を消費するしか敵わない。そんな腐れ縁の編年記を時代を負った数日ごとの逢瀬で綴った構成から成島の膨よかな撮影がロマンティシズムを抽出して已まないのだ。 (けにろん) | [投票(3)] |