★3 | やがて来たる者へ(2009/伊) | 第2次大戦末期、イタリアは枢軸諸国に先駆けて連合国への降伏をし、ドイツは公然とイタリアに侵略の手を伸ばしパルチザンとの抗争を続けていた。その一山村マルザボットにあって、少女マルティーナ(グレタ・ズッケリ・モンタナーリ)は母であるレナ(マヤ・サンサ)の出産間もなくの弟の死から、言葉をその口から失う衝撃を受けていた。そんなレナが再び子を身篭ったことでマルティーナの傷ついた心は癒され、叔母ベニャミーナ(アルバ・ロルヴァケル)をはじめとした家族たちとともに期待に胸膨らませるようになってゆく。その日常をよそに村近くで戦うパルチザンが呼び水となり、ドイツ軍の兵士たちが村に現われるに至る。〔117分/カラー/スコープ〕 | [投票] |
★4 | でかんしょ風来坊(1961/日) | ズベ公お春(中原早苗)率いる一団が、銀座の一角で元総理の一本槍(殿山泰司)と口論になった。仲裁を買って出た「銀座の次郎長」こと次郎(小林旭)によって事なきを得たものの、その事件は次郎の喧嘩友達で新米記者の秀子(浅丘ルリ子)の特ダネにされた。早速写真を現像する秀子に、上司は「事件に巻き込まれた老婆タマ子(北林谷栄)は、40年前に一本槍を振った元恋人だ」と教える。何やらおかしな雰囲気の中、次郎と秀子はホテルの最上階に住むタマ子の真意を探る。彼女が一本槍との過去を語るその裏で、謎の男たちが銀座の土地買収のため暗躍するのだった。『東京の暴れん坊』シリーズ第2作。〔82分〕 | [投票] |
★3 | 見上げてごらん夜の星を(1963/日) | 昼間は労働者として、夜は夜学生として奮闘する太平(坂本九)は、ひょんなことから普通科の女生徒・由美子(榊ひろみ)と同じ机を共有する事実を知り、有頂天になる。そして戦中派の同級生・小森(伴淳三郎)が壇上に立つ全学年弁論大会の日、由美子らと初めて出会った太平は、すぐさま休日のハイキングに彼女らを誘った。だが雨の降る当日、誰もいない待ち合わせ場所に来た由実子から、太平は家に来るように誘われる。彼女の家で太平は、事故にあった父と幼い兄弟たちのため必死に働く友人・勉(中村賀津雄)と鉢合わせする。由実子は勉の従姉妹だったのだ。勉らの役に立とうとする太平に、勉は同情の匂いを感じ反発するのだった。〔93分/ヴィスタ〕 | [投票] |
★5 | ミラル(2010/仏=イスラエル=伊=インド) | パレスチナの名家の娘ヒンドゥ(ヒアム・アッバス)は、イスラエル建国戦争によって産み出された夥しい戦災孤児たちの窮状に心を痛め、私財を投じて大孤児院を建設させる。彼女の意志に賛同する米軍大佐エディ(ウィレム・デフォー)らの助力もあり、ヒンドゥの孤児院は二千人の少女たちを擁するに至った。そのひとりであるミラルは、義父から陵辱される毎日から逃れるもユダヤ女を殴っただけで投獄された女ナディア(ヤスミン・アル・マスリー)と、彼女を見初めた導師ジャマール(アレクサンダー・シディッグ)の娘であった。成長したミラル(フリーダ・ピント)は、閉鎖された学校からヒンドゥの意志を汲んだ教師として派遣される。〔112分/カラー/スコープ〕 | [投票] |
★4 | ナチス、偽りの楽園 ハリウッドに行かなかった天才(2003/米=カナダ=独=英) | 20世紀のドイツ。ユダヤ系ドイツ人である俳優・映画監督のクルト・ゲロンはわが世の春を迎えていた。マレーネ・ディートリヒとの共演作『嘆きの天使』をはじめ、精力的にゲロンは映画・演劇に出演し続け、名声を博する。だが、映画と交友に積極的だった彼は、ナチスの台頭を含むあらゆる「些事」に耳を傾けず、フリッツ・ラングら映画界の大御所たちの移住先ハリウッドすら、映画会社が船のファーストクラス席を用意しなかったと一蹴する始末だった。そしてナチスのユダヤ人狩りが始まる。その危険性に気づいたゲロンはヨーロッパを転々とし、オランダで捕縛される。彼が送られたのは「楽園」と呼ばれる特殊収容所「テレージエンシュタット」だった。〔93分/デジタル〕 | [投票] |
★4 | BIUTIFUL ビューティフル(2010/メキシコ=スペイン) | バルセロナ。兄ティト(エドゥアルド・フェルナンデス)と共に非合法な商売に身を投じているウスバル(ハビエル・バルデム)には、大事な子供たち…アナ(ハナ・ボウチャイブ)とマテオ(ギレルモ・エストレラ)があった。だが、ある日ウスバルは医者から癌で2ヶ月の命と宣告される。子供たちを残して死ねない彼は、薬物依存ゆえに別離した妻マランブラ(マリセル・アルバレス)との関係を改めて修復しようとし、またドラッグ売買で手足になってくれたアフリカ系移民のイヘ(ディアリァトゥ・ダフ)に援助を与え、低賃金でタコ部屋生活を送る中国系移民の待遇をも改善しようとする。だが、その行動は吉にばかりは動かなかった。〔148分/スコープ〕 | [投票] |
★3 | 黄色い星の子供たち(2010/仏=独=ハンガリー) | ドイツ占領下のフランス。ユダヤ人たちは黄色の「ダヴィデの星」を胸につけて、一般市民未満の待遇での生活を余儀なくされていたが、その中でもジョセフ(ユーゴ・ルヴェルデ)ら悪童たちは圧政に押し潰されない逞しさで逆境を生き抜いていた。だが、ヒトラーの意を汲んだペタン元帥は今をユダヤ移民問題の突破口と見、国内のユダヤ人狩りを実施するに到る。そして13,000人のユダヤ人検挙が始まり、彼らは競輪場に移送された。この場に派遣された看護婦アネット(メラニー・ロラン)は、あまりの悲惨な光景に息を呑むが、その場にはユダヤ人である医師シェインバウム(ジャン・レノ)をはじめ数えるほどの医療担当者しか存在しなかった。〔125分/カラー/スコープ〕 | [投票] |
★4 | 蜂蜜(2010/トルコ=独) | 少年ユスフ(ボラ・アルタシュ)は木々の生い茂る森近くに両親とともに静かに暮らしている。養蜂を営む父親ヤクプ(エルダル・ベシクチオール)は時として山中にユスフを伴って出かけ、木々の天辺に巣箱を取り付け、そこで蜂蜜を採集していた。ユスフにとって父親は尊敬の対象であったが、親たちとしか口をきかない彼は吃音に悩み、学校では上手に教科書を朗読して皆や教師の賞賛を得ようと奮闘するのだった。そんなある日、森から蜜蜂がいなくなってしまう。父は蜂を追って森の深奥に入り込んだまま消息を絶ち、それとともにユスフの口よりも声が消え去る。母親ゼーラ(トゥリン・オゼン)は息子のために手を尽くすが、試みは実を結ばない。〔105分/カラー/ヴィスタ〕 [more] | [投票] |
★5 | デンデラ(2011/日) | ある寒村。70歳を迎えた老婆カユ(浅丘ルリ子)は、村の掟に従って姥捨山のお参り場に運ばれ、極楽浄土に導かれる時を待って眠りについた。だが彼女が再び目を覚ました時、そこには老婆たちに満ち溢れた集落、「デンデラ」が広がっていた。集落を築いた最長老メイ(草笛光子)はカユを迎え入れ、老婆50人が集合した今こそ彼女らを追放した村への復讐を為そうと説く。一方、彼女に反駁する老婆マサリ(倍賞美津子)は、それよりもここに集まった女たちが無事冬越えができるよう、方法を練ることこそ肝要と訴えるのだった。極楽行きを夢見るカユは、彼女たちの行動に与することができなかったが、ある時その意識を変えさせる事件が起こる。〔118分/ヴィスタ〕 | [投票] |
★3 | 軽蔑(2011/日) | 新宿・歌舞伎町。ポールダンサーの真知子(鈴木杏)がバーの舞台で踊っているとき、チンピラたちがその店を襲い、大混乱に陥れた。兄貴分(大森南朋)からの「借金を棒引きにしてやるから、義理を通さないこのバーに攻撃をかけろ」との言葉に乗った一彦(高良健吾)らの仕業であった。だが、日頃真知子に思いを寄せていた一彦は、混乱に乗じて彼女を救い出し、高飛びを提案した。拒む真知子だったが、彼女もまた一彦に惹かれ、一彦の両親のいる故郷へ共に向う。弟分たちはふたりを羨望の目で見つめ、カフェのマダム(緑魔子)も暖かく迎えるが、一彦の父(小林薫)は結婚を口にした息子を拒絶し、短気を起こした一彦は刃物を父に向けるのだった。〔135分/カラー〕 | [投票] |
★4 | 手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく(2011/日) | 古代インド。シャカ国スッドーダナ王(観世清和)とマーヤー妃の間に生まれた嬰児を、生きとし生けるもの皆が祝福した。シッダールタ(折笠愛)の誕生である。成長したシッダールタ(吉岡秀隆)は世界の王となる、との予言を受けながらも、世を覆う身分制度の不条理に心を痛め、己の地位に懐疑的な少年として育った。一方、カースト最下層の貧民のなかで育まれた少年チャプラ(堺雅人)は、シャカ国に攻め入り敗退したコーサラ軍のブダイ将軍(玄田哲章)を助け、己の腕のみを頼りに敵国で成り上がろうとしていた。虎視眈々と勝機を狙う敵軍をよそに、彷徨するシッダールタは盗賊の娘ミゲーラ(水樹奈々)に惹かれてゆく。〔カラー/111分〕 | [投票] |
★1 | ドモ又の死(2007/日) | 麻薬患者更生施設「ハマーナナの家」は女性ばかりの施設だった。音楽や油絵、その他諸々のアーティスティックな行為によって、一人前に立ち直ってゆく場所がここだ。その構成員の一人、とも子(三輪明日美)は更生の見込みが立たないドモ又(江本純子)によって部屋を荒らされ、ドモ又は教官(片桐はいり)に竹棒で殴られ罰せられた。院長(萩尾望都)はドモ又ととも子を愛情をもって和解させる。そして花田(藤谷文子)を中心に、4人の貧乏画家たちが独りの娘を巡り争う演劇の練習が進められるのだが、その途上で女たちに衝撃をもたらす、ある事件が起こる。〔80分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |
★4 | 機動戦士ガンダムUC episode3 ラプラスの亡霊(2011/日) | 「袖付き」の捕虜となったバナージ(内山昂輝)は、ネオジオンの資源衛星であるパラオに連行され、そこでMSパイロット・ギルボア(チョー)の家庭に迎えられることで宇宙移民にとってのネオジオンが救世の徒であることを知る。一方、特殊部隊エコーズのダグザ中佐(東地宏樹)はユニコーンガンダムとバナージを奪取すべく、MSでパラオへの潜入行動に出る。そしてリディ少尉(浪川大輔)は、何としても今のジオンに「ラプラスの箱」を渡してはならないとするミネバ(藤村歩)の主張を受け入れ、彼女とともに地球への降下を試みる。それぞれの思いの中、パラオを戦火が包み込んでゆく。〔59分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |
★3 | ダンシング・チャップリン(2010/日) | ルイジ・ボニーノという独りのダンサーのために、振付師ローラン・プティが書き下ろしたバレエが『ダンシング・チャップリン』だ。題名の如く、伝説の喜劇俳優チャールズ・チャップリンの作品群へのオマージュたるナンバーを、ボニーノは世界各国で踊り、好評を博した。しかしボニーノにも老いが迫り、このバレエは後継者のないままに消滅するかに思われた。映画監督周防正行はこれを危惧し、プティにこの作品の映画化を申し出る。周防の細君であり、バレリーナから女優に転進する草刈民代の、共演者としての最後の舞踏ステージとするためにも。プティやボニーノは快諾するが、各々の心中には譲れない拘りもあった。〔136分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |
★4 | 海の金魚(2010/日) | ヨットマンである父(高嶋政宏)をもつ高校生のキヨミ(田中あさみ)は、親友でヨット仲間であったセイコを失い、ヨットを棄てた。そして私立高校から県立に転入した直後、セイコの彼氏であったマサル(白石隼也)から「人殺し」と罵られ、心を閉ざしてゆく。そんな折、地元の漁師たちから、港に係留したヨットで暮らしていることで吊るし上げになっている少女・ミオ(入来茉里)とキヨミは出会う。登校拒否生徒ながら、明るく負けしらずのミオといつしかキヨミは仲良しになっていった。ヨットを恐れるキヨミに、ミオは鹿児島火山めぐりヨットレースへの参加を持ちかける。ミオもまた大切な父を海で失った少女だったのだ。〔116分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |
★3 | アニキ・ボボ(1942/ポルトガル) | ポルトガルの港町ポルト。ガキ大将であるエドゥアール(アントニオ・サントス)と、気は弱いが反骨精神は他者に負けない少年カルリートス(オラシオ・シルヴァ)は、美少女テレジーニャ(フェルナンダ・マトス)に同じように恋し、彼女の気を引こうと躍起になっていた。ある日テレジーニャが、雑貨屋のウィンドウにある人形に見入っているのを見つけたカルリートスは、主人ロジスタ(ナシメント・フェルナンデス)の目を盗んでそれを盗み出し、テレジーニャの元へと届けに行く。だが、一緒に遊べたのも束の間、エドゥアールとの喧嘩の末に崖に立ったカルリートスを、恐るべき偶然が襲う。〔71分/モノクロ/スタンダード〕 | [投票] |
★5 | アレクサンドリア(2009/スペイン) | 4世紀末。ローマ帝国の叡智を結集した大図書館を擁するアレクサンドリアの都に、才媛にして美貌に恵まれた天文学者ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は居を構え、弟子を志す若者たちに分け隔てなく教育を施していた。その魅力に、弟子であるオレステス(オスカー・アイザック)や奴隷のダオス(マックス・ミンゲラ)らは男として好意を寄せるが、あくまでヒュパティアは求愛を拒み、己の使命に没頭してゆくのだった。その頃、守旧派の図書館側に対し、台頭してきたキリスト教徒は明らかな悪意を見せ、対立を深めてゆく。そして古代の神々を愚弄され、怒った図書館長テオン(マイケル・ロンズデール)ら守旧派は剣を抜くに至った。〔127分/カラー/スコープ〕 | [投票] |
★2 | ソウル・キッチン(2009/独=仏=伊) | 庶民のためのレストラン、「ソウル・キッチン」。切り盛りする男ジノス(アダム・ボウスドウコス)は平穏なコック生活を続けていたが、突然その日々は崩れ去る。恋人ナディーン(フェリーネ・ロッガン)は一念発起して上海に移住し、税務署は貯まりに貯まった税金を取り立てに現われる。そしてジノス自身も冷蔵庫を移動する最中に腰をやられ、調理ができなくなってしまった。代わりとして、街の本格レストランで高級料理をくさされて客と喧嘩、失職した偏屈シェフ・シェイン(ビロル・ユネル)が招かれるが、その料理は賛否両論で客層は一気に分かれる。そんな折、兄のイリアス(モーリッツ・ブライブトロイ)が久しぶりに娑婆に戻ってくる。〔99分/カラー〕 | [投票] |
★2 | 俗物図鑑(1982/日) | それぞれ一ジャンルに秀でた評論家集団・梁山泊プロの代表を務める雷門(平岡正明)はじめ構成員たちは、根城たるアパートの一室で乱交パーティを装って嬌声を上げ、デバ亀・城(山本晋也)の来訪を待っていた。彼を出歯亀評論家として迎えるためだ。一方TV局では、万引評論家・峰子(栗林由美子)や反吐評論家・片桐(山城新伍)が出演、文芸評論家(四方田犬彦)や主婦連をやりこめていた。マスコミで名を売った彼らの仲間には、性病評論家・華子(朝比奈順子)や自殺評論家・九十九(大林宣彦)らが集まり、彼らは時代の寵児となる。だが彼らをマスコミがおとなしく飼っている訳もなかった。筒井康隆初期名作の映画化。〔89分/カラー〕 | [投票] |
★4 | 英国王のスピーチ(2010/英=豪) | 吃音症によって、属する英国王室の義務を苦痛としか思えないジョージ6世(コリン・ファース)は、父たるジョージ5世(マイケル・ガンボン)によるスピーチの強要により、己の恥を国民に晒し続ける地獄のような日々を送っていた。その妃たるエリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)は夫のために、最善の治療を施す言語聴覚士に依頼を重ねるが、誰も6世の悩みを解消することができなかった。そしてある日、夫妻はオーストラリア系の聴覚士・ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとを訪れるが、その王族をも恐れぬ態度に6世は激怒する。だが、6世は王位を継がねばならぬ運命に晒され、やむなくライオネルの手を借りることとなる。〔118分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |