★3 | マティアス&マキシム(2019/カナダ=仏) | マティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン)は30歳の幼馴染みだ。彼らはパーティーの席上で、友人エリカ(カミーユ・フェルトン)の撮る短編映画において行なわれる男同士のディープキスを演じ、そのときより友情を超えた感情をお互いに感じ始める。マティアスには婚約者がおり、彼女にまさる相手を今ここで認めるわけにはいかない。一方マキシムも長年育んだ友情の崩壊を案じ、独りオーストラリアに旅立とうと考えるのだった。彼らのあいだの感情が膨れ上がる前の別離にあたり、ふたりは思いの正体を確かめんとする。『トム・アット・ザ・ファーム』以来の、ドラン監督の自作主演作品。〔120分〕 | [投票] |
★4 | ミッドナイトスワン(2020/日) | 新宿。凪沙(草なぎ剛)はショウパブに勤めるトランスジェンダーだったが、その仏頂面の下に孤独な素顔を隠していた。そんな凪沙のもとに、ある日故郷の広島から親戚の女・早織(水川あさみ)から一時預かってくれ、と娘の一果(服部樹咲)が届けられる。子供嫌いの凪沙には、全ての愛情を拒絶する厄介な娘だった一果だったが、冷たげな彼女のなかにはバレエへの情熱が滾っていた。バレエ教室の代表・実花(真飛聖)は一果の踊りを見て、その尋常のものでない才能に惚れ込み、凪沙にその力を育てさせてほしいと訴える。トラブル続きにうんざりしていた彼も、ひたむきな希望に燃える一果にいつしか母性愛を目覚めさせられるのだった。〔124分〕 | [投票] |
★3 | アニメーション映画 思い、思われ、ふり、ふられ(2020/日) | 高校一年生の由奈(鈴木毬花)は、人見知りが顔に出てしまう交際に奥手な少女だ。新しいマンションで出会ったしたたかな少女朱里(潘めぐみ)は、彼女といっぺんに友達になってしまう。そして、彼女らは同級生になった。朱里の幼馴染み、和臣(斉藤壮馬)が由奈をいざない、朱里の家での勉強会がはじまったが、そこには由奈が電撃的に出会った「王子様」理央(島崎信長)の姿もあった。彼は朱里の血のつながらない義弟だったのだ。だが、親たちの軽薄な愛情に運命を呪うことしかできず、一途に朱里を思う理央の心を知った由奈は、愛を告白した直後に「ふってください」と彼に笑いかけた。友情と愛情のつづれ織りは、これをきっかけに乱れを深くしてゆく。〔103分〕 | [投票] |
★4 | 海辺のエトランゼ(2020/日) | 沖縄の離島。駿(村田太志)は伯母(佐藤はな)の営む民宿を手伝いながら小説家の真似事をしている青年だ。彼はこのところ、海岸ぞいのベンチに見慣れない少年がひとり座って海を眺めているのに気づいた。実央(松岡禎丞)というその少年の愛らしさに目をとめた駿は、彼に言葉をかけるが、「気持ち悪いな」との返事とともに逃げ去られてしまった。そして三年の時は流れ、相変わらずのぐうたら暮らしを続ける駿に声をかける者がいた。青年となり、すっかり丸い人当たりとなった実央だ。かつて駿の求愛をはねつけた彼は、今はすっかりその愛を受け入れる心持ちで駿の度肝を抜く。だが、時を前後して駿の婚約者・桜子(嶋村侑)がこの島にやってくる。〔59分〕 | [投票] |
★3 | 窮鼠はチーズの夢を見る(2020/日) | 広告代理店に勤める恭一(大倉忠義)は受け身の恋しか知らず、妻帯者となった今でも妻と愛人のあいだを漂う気楽な恋を続けていた。そんな彼を尾行する者に気づき、恭一は彼が探偵をやっている大学の後輩・今ヶ瀬(成田凌)と知る。妻(咲妃みゆ)の依頼を受けて探ってくる今ヶ瀬に、恭一は事実をもみ消してくれと頼むと、彼は条件として肉体を求めてくるのだった。結局別の理由で妻が去ると、今ヶ瀬は頻繁に恭一のもとを訪れ、7年間彼に憧れ続けていたと語り、愛を求める。拒絶する恭一だったが、次第に強引な彼のペースに呑まれ、彼の愛を受け入れてゆくのだった。だが、恭一を慕う後輩たまき(吉田志織)、元恋人の夏生(さとうほなみ)が現われる。〔130分〕 | [投票] |
★3 | 俺の背中に陽が当たる(1963/日) | ビルの窓拭きに精を出す青年滋(浜田光夫)は、やくざだった兄の健三(内田良平)の収監中、健三の妻である幸子(南田洋子)とその息子の世話を懸命に焼いていた。兄は大好きだがやくざ稼業を嫌っていた滋にとっては、刑期を終えるとともに極道から足を洗い正業につく、と誓ってくれた健三のことばは何よりも嬉しいことであった。そして言葉どおり清掃業についた健三に、滋はガールフレンドの朝子(吉永小百合)と所帯をもつことを告げ、兄にひさびさの酒を勧めて激励するのだった。だが、健三の才を惜しむやくざ上司の小谷(北見治一)は事ある毎に健三に復職の誘いをかけ、手ひどい断りの言葉を浴びせられた。小谷は一計を案ずる。〔98分〕 | [投票] |
★4 | 宇宙でいちばんあかるい屋根(2020/日) | 中学生つばめ(清原果耶)は父親(吉岡秀隆)および血のつながらない母親(坂井真紀)とともに暮らしている。彼女の焦燥は、あながち母が近々妹を出産する、という事態のみに集約されることではなかった。執拗に絡んでくる、少しだけつきあって振った同級生・誠(醍醐虎汰朗)などではない、心底愛するお隣さんの亨(伊藤健太郎)へ出したラブレターへの後悔が、彼女を不安定にさせていたのだ。モヤモヤ気分を抱えながら、通っている書道教室のあるビルの屋上に上がったつばめの前に、その老婆は突然現れた。「星婆(桃井かおり)」と彼女が名付けたその胡散臭い婆さんは、報酬と引き換えにつばめの悩みを一掃してやるというのだった。〔115分〕 | [投票] |
★2 | 閉鎖病棟―それぞれの朝―(2019/日) | 秀丸(笑福亭鶴瓶)は寝たきりの老母と、その介護を任されながら浮気に耽っていた妻、そしてその情夫を怒りのあまり包丁で刺してしまい、死刑判決を受けた。だが絞首刑のあと彼はなぜか蘇生してしまい、官憲は処置に迷いある精神科医院の閉鎖病棟への隔離を決めたのだった。そして脊髄を痛めて車椅子で移動するようになった秀丸は、幻聴に悩み自主入院しているチューさん(綾野剛)をはじめとする患者たちにその性情を理解され、焼き物を焼いて過ごす平穏な日々を得たのだった。そんな病棟に、高校生の由紀(小松菜奈)が親に付き添われてやって来る。彼女は義父から性的な暴行を受け、彼との子供を身籠っていた。〔117分〕 | [投票] |
★4 | 大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇](2012/日) | 疫病による男女逆転の歴史がはじまって三十年。美貌と才気を漂わせる将軍・綱吉(菅野美穂)の時代が幕をあけた。だが、その大胆な政治改革も霞むほどの上層部の思惑と執政術は入り乱れ、綱吉もまた権力者のコマであることを自覚しはじめた頃、京より没落貴族の後裔である右衛門佐(堺雅人)が大奥入りする。彼は当初より江戸幕府内部において権力を握るべく暗躍し、綱吉の父として娘をあやつる桂昌院(西田敏行)をも手玉にとって不動の地位を我が物とするのだった。だが綱吉は継承者に恵まれず、毎夜男たちを抱き一方では腐敗したかのような政策をとることで、次第に皆に疎まれてゆく。そんな彼女に手を差し伸べたのは右衛門佐であった。〔124分〕 | [投票] |
★3 | ステップ(2020/日) | 営業マンとして鳴らした健一(山田孝之)は、若くして妻を失い、一人娘の美紀を見捨ててはおけず営業職から配置転換してもらい、育児に没頭するようになっていった。彼の手腕を惜しむ上司(岩松了)はいつでも帰ってこいと言葉をかけ、同僚たちも彼をフォローする温情を見せたが、健一の決心は固かった。美紀を預ける保育園のケロ先生(伊藤沙莉)の指摘どおり娘の感情は不安定だったが、健一の献身は美紀を堂々と発言する勝気な娘へと変えてゆく。そして亡妻の父(國村隼)ら家族たちは健一の奮闘を気に入り、不変の息子として助力し続けるのだった。そんな彼に心を寄せる女性、奈々恵(広末涼子)が現われる。〔118分〕 | [投票] |
★3 | クレージーホース(1973/仏) | とある裕福な婦人(エマニュエル・リヴァ)が死体で発見された。同居していた息子アデン(ジョージ・シャノン)は姿を消しており、警察はその関係を疑って捜査を開始した。そのアデンは行く宛てもないままに砂漠をジープで疾走し続けていたが、その果てで奇妙な男と出会う。マベル(アシュミ・マルズク)という髭面の小柄な男は、ヤギやラクダら動物とともに暮らす優しい瞳をもった人物だった。食い違いはあってもマベルと友情を育んだアデンは、彼によって余計な懊悩を取り払われ、ためらうことなく街に舞い戻る。世間知らずなマベルを現代風俗に触れさせるアデンは、子供じみた楽しみに耽るのだった。フェルナンド・アラバール第2作。〔89分〕 | [投票] |
★3 | 死よ、万歳(1971/仏) | 内乱のスペイン。ある日、コーンパイプをくわえた大好きな父(イヴァン・ヘンリケス)が軍人に連行されるのを見た少年ファンド(メディ・シャウシュ)は、その日より父が加えられる拷問に苦しめられる悪夢に苛まれるようになった。父は帰ってくるのかと問う彼に、美しい母(ヌリア・エスペル)は忘れなさい、と口を噤ませるのだった。幾らかの時が過ぎ一通の手紙を見つけたファンドは、その文面から他ならぬ母が、父を共産主義者であると軍に密告したことを知る。その日よりファンドは父を求めて行動を始める、なおも襲い来る悪夢を追い払うためにも!劇作家アラバールの鮮烈な映画デビュー作。〔86分〕 | [投票] |
★3 | 大怪獣モノ(2016/日) | 地球に続発する天変地異の伏兵のように、日本に大怪獣モノが出現、破壊の限りを尽くし政府は対応を急いでいた。時を同じくして瞬時に人間の体内で増殖しパワーを与える「セタップX細胞」を創り上げた西郷博士(真夏竜)は、娘である美和(河西美希)の「セタップ細胞はありまぁす」との擁護も空しくペテン師の汚名を着せられて不貞腐れる。日本の危機に立ち向かえる可能性を持つ者が消え去ったとき、西郷は嫌がりながらも助手の新田(斉藤秀翼)に細胞を注射、ここに巨大ヒーロー(飯伏幸太)は誕生した。だが、心優しく欲望に弱い新田はモノを一時は追い返すものの、むしろマスコミに翻弄されるのだった。〔93分〕 | [投票] |
★2 | 君が世界のはじまり(2020/日) | 大阪のある高校。授業はそれなりに聞き、テストでは満点をとったりするえん(松本穂香 )は、教師に目の敵にされる親友の琴子(中田青渚)とつるんで特に変化のない毎日を過ごしていた。そんな中、琴子はサッカー部の業平(小室ぺい )に心を奪われ、それをきっかけにふたりの仲はギクシャクしてくるのだった。一方同じ学年の純(片山友希)は、母親なきあと家事をすべて請け負い彼女に奉仕する父に苛立っていた。そんな彼女は、東京からの転入生で周囲に憎悪を向ける伊尾(金子大地 )に興味をもち、だんだんに関係をもつようになってゆく。琴子に思いを寄せるサッカー部の岡田(甲斐翔真 )も含めて、若者たちの関係は複雑化してゆく。〔115分〕 | [投票] |
★3 | ハニーボーイ(2019/米) | オーティス(ルーカス・ヘッジス)は若くしてハリウッドで成功した俳優だったが、羽目を外し過ぎたある日飲酒運転で事故を起こしてしまった。服役は免れたものの更生施設に送られ、原因を探るべく過去の人生をノートに記せと命じられる。オーティスが思い出したのは父ジェームス(シャイア・ラブーフ)のことだ。道化師をやっていた父だったが、とくに人気を得ることもなくついには母と別れることとなり、12歳にして成功した子役である若きオーティス(ノア・ジュープ)に収入を頼っていた。そんな生活にいたくプライドを傷つけられていた父は、息子の成長を素直に喜べず、事ある毎に辛くあたるのだった。俳優ラブーフの自伝的作品。〔95分〕 | [投票] |
★2 | 薄暮(2019/日) | 佐智(桜田ひより)は福島に生きる高一の娘である。彼女は両親や姉とともに何の変哲もない一軒家に暮らし友人にも恵まれていたが、その実東日本大震災にて心に傷を負い、以来誰からも一定の距離を置いて暮らしてきた。唯一力をつぎ込んできたのは幼時より親しんだヴァイオリンであり、彼女も音楽部に身を置いて文化祭での発表を目指し研鑚を積んでいた。そんな日々のなか、彼女は独りひそかに愛してきた帰路での夕暮れの風景を共有する少年に遭遇する。彼は別の高校に通う祐介(加藤清史郎 )という一年生の少年で、消えてゆく風景をスケッチブックに描きためて残そうとしていた。佐智は彼にむけ心が動くのを感じる。〔52分〕 | [投票] |
★3 | 聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY(2014/日) | 闘いを司る女神ながら、秩序と平穏を理想とするアテナが地上に転生した。彼女を護るべく肉体を究極まで鍛え、聖衣をまとい感性を神に近い段階まで研ぎ澄ました若者たちを、人は聖闘士(セイント)と呼んだ…。城戸財閥総帥の娘・沙織(佐々木彩夏)は、16歳の誕生日を迎えるとともにおのれがアテナ女神の転生体であることを知らされる。それを納得する間もなく、音速の拳をふるう鎧に身を包む刺客の攻撃にさらされる彼女は、危機一髪のところを少年たちに救われる。星矢(石川界人)を中心とする少年たちは沙織の守護を使命とし、サンクチュアリにおいて沙織をアテナの名を騙る逆賊として付け狙う教皇(山寺宏一)に立ち向かおうとしているのだった。〔93分〕 | [投票] |
★4 | アルプススタンドのはしの方(2020/日) | ある高校野球部の地方予選。期待をかけられているわけでもなく応援席は人影もまばらだ。そんなスタンドの片隅に、演劇部の仲良しコンビ安田(小野莉奈)と田宮(西本まりん)は座し、とくに応援することもなくお喋りを続けている。そんなふたりの横にもと野球部の藤野(平井亜門)が現われ、なんとなく会話に加わる。そして階段の隅のフェンスに、成績優秀だが引っ込み思案の宮下(中村守里)がひとり立ち試合のゆくえを追っている。応援にすら加わらない不甲斐ない生徒に業を煮やし、茶道部顧問の厚木(目次立樹)は彼らを叱りながら大声で檄を飛ばし続ける。しかし彼らは、それぞれに他者に隠した感情を抑えていた。〔75分〕 | [投票] |
★3 | 性の劇薬(2020/日) | 桂木(渡邊将)は自殺しようとしていた。彼は勤務する会社で思いがけないチャンスを与えられ、成功を見た。だが、感謝を込めて両親を水入らずの旅行に送り出してのち、彼らが事故死したことを知る。罪の意識に苛まれ夜の街をさまよった桂木は、情婦である綾香(階戸瑠李)が部下に寝取られるのを見たのだ。ビルの屋上のフェンスを越えた桂木。その腕を固く握った男がいた。彼は「棄てるならその命、俺に寄越せ」と言い放ち、桂木を裸に剥いてある部屋のベッドにつないだ。「やめろ」と叫ぶ桂木を嘲笑い、男は秘技を尽くして彼を責め苛む。やがて桂木はその男…医師を生業とする余田(北代高士)に調教され、虜となってゆくのだった。〔89分〕 | [投票] |
★3 | ゲルニカの木(1975/仏=伊) | 内戦のスペイン。ファシスト軍はローマ教皇と手を組み、名目のみでない政府軍となった。ゲルニカの大空襲を経て勝利は目前に迫り、ラミロの村の領主ラファエル(コッシモ・シニエリ )は最後の詰めを行なわんとしていた。謝肉祭のなか、この村にゲルニカの生き残りの女ヴァンダール(マリアンジェラ・メラート)がロバに乗って辿り着く。彼女を迎えたのは、ラファエルの息子で父を憎悪する男ゴヤ(ロン・ファーベル)。彼は女に名を問うが、その答えを得る前に大掃討作戦は開始される。アレハンドロ・ホドロフスキーやローラン・トポールとともに「パニック芸術運動」を牽引した監督フェルナンド・アラバールの第3作。
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