[あらすじ] タイタニック(1997/米)
映画を見終った人むけの解説です。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
>《けにろん》様。こと『タイタニック』なので黙っていられず、既存プロットに参入したのをお許し下さい。
以下、知っていれば100倍楽しめる『タイタニック』の鑑賞ポイントを記載します。(MyHP「カルト・ザ・タイタニック」より抜粋)
●冒頭のタイタニック出港シーン
秘蔵フィルムのようなサウザンプトン港のタイタニック出港シーン。。。実はタイタニック号の出港シーンは現存していない。キャメロン監督が実写プラスCGでセピア調に仕上げたものです。
●沈没時の喧噪
潜水艇がAデッキの航海士室の脇を通過するとき、楽士団の演奏やマードック航海士の声が!
●あの人形の顔は?
冒頭で、潜水艇がタイタニック号の船内に入るときに転がっている無表情な人形の顔の部分。実はあれ、コーラ・カートメルちゃん(ジャックのモデルになった少女)の人形の顔だったんです。あのような小道具が悲劇性をより高めてるんですね。実際に潜水したときも同じ様な物があってキャメロン監督はドキッとしたそうな。
●CG深海魚
沈没したタイタニックの船内を潜水艇が巡るシーンで、深海魚が出てきますがあれはCGです。また、暖炉の下に白いクモガニが映りますが、これは本物です。
●ピアノ
同様に沈没したタイタニック船内に残るピアノはセットです。キャメロン監督は水中でセットを仕上げる作業をおこないました。ピアノのポロンっていう音がしますよね。
●さすがプロ!キャメロン
数回にわたるタイタニック号の沈没現場への潜水。あの金庫のような影は何度も見ているそうです。しかし監督は現場から何一つ引き上げなかったと言います。映画で登場するブロック・ラベットは設定ではより物欲番長の年寄りだったとのこと。
●モニター画像
オールド・ローズの後方にいくつもあるモニター類に映し出されるタイタニックの残骸。あれは全て、キャメロン監督自身が潜水して撮影したもの。
●サウザンプトン港の文字・服のミラー撮影
メキシコのバハスタジオに造られた実物大のタイタニック。しかしリベットの打ち込みを左舷のみにしたため、歴史に忠実になるように驚異のミラー撮影が行われる。帽子に書かれた「white star line」の文字や自動車に書かれた文字が逆に書かれ、服のボタンなどが逆に付けられた。ケイトはあの撮影シーンは思い出したくないほど不思議な世界だったようです。船の上の人はともかく、埠頭では左手を振る人が実に多いですね。周知徹底出来なかった証拠でしょう。
●ラブシーンの舞台「ルノー」
ジャックとローズが結ばれる”手がバン!”のシーンで登場するクルマは「ルノー1912」。冒頭の出港シーンではクレーンで貨物室に収納されます。これはウィリアム・E・カーター氏がポロ競技用のポニーの買い付けにヨーロッパを旅したときに購入したもの。彼はこのクルマの購入に3000ドルを支払ったのだが、一般的に出回っていたフォード・モデルTが400ドルだったのでいかに高価だったかがわかります。
●実はポーカーを知らないキャメロン監督
ジャックとファブリッツオがアメリカ行きの夢の切符を手にしたポーカー。実は可笑しいことにキャメロンはポーカーのルールを知らなかった。最初の台本で親はスヴェンにも関わらず、先に開いて見せてまう。これはおかしいので、ジャックに親をさせたら、丁度、イニシアチブをとるジャックのキャラクターが生まれました。
●「ローズ 命名の秘密」
階級に縛られた生活をおくってきた女性が自立した女性として花開いていく〜そんな思いが込められたネーミング意図でしたが、実はもっと単純。キャメロン監督の祖母の名前でした。
●ノーマディック号
夕日の中、シェルブール港にて停泊しているタイタニックの横に並んでいるのはノーマディック号。フランスからの乗客をタイタニックに運んだこの艀船は、煙突が取り払われてエッフェル塔近くのセーヌ川に係留されたレストランとなっています。
●英国紳士がレモンティー?
スミス船長がレモンティーを飲んでいますよね。イギリスならなぜミルクティーじゃないのかって? 多分、長い航海ですから、保存の利かない牛乳を避けたんじゃないんですかね。
●犬の名前
トミーが自己紹介した時に船尾楼甲板を散歩させられていた子犬は、エアデイル(テリア種)の「キティー」:ジョン・ジェイコブ・アスター大佐が飼っていた犬。フレンチ・ブルドックの「ギャマン・ド・ピコム」:フランスの品評会で優勝してタイタニック号に乗り込みました。
●夜のタイタニック号
タイタニック号の夜のシーンも見物。舷窓に輝くライトを点けるために船内はコードだらけになったそうです。総延長で120Kmに達するとか。
●ビーズの音
ローズ自殺未遂事件で風に吹かれるローズのイブニングドレス。それにはガラスのビーズが付いてますが、船尾に向かって走る時にビーズがカチャカチャと音をたてています。キャメロン監督はより臨場感、リアル感を出すためにアフレコ時に加えました。また、これら衣装に付けられたビーズは全てその当時のものを使用しました。
●当時のお金の価値
キャルがローズを助けたお礼に20ドルを渡そうとする。この20ドルは今で言う230ドル強に相当する。(日本円に直すと・・・円安が進んでいるのでやめておきましょう)一等料金は4350ドル。現在の約50000ドル。三等船客の切符で15〜30ドル。現在の172〜345ドル。タイタニック号の建造費は750万ドル。現在の約8500万ドル。
●甲板シーンはレオとケイトの即興
1等船客のデッキを歩くジャックとローズ。あのシーンの「彼を愛しているの?」とかの会話はレオとケイトの即興だったそうです。いまでは二人のお気に入りシーンになりました。この実物大タイタニック・セットの右側は未完成なので、手すり、救命ボートなどがCGで合成されています。
●絵はレオが描いているの?
ローズの裸、裸婦、手、乳を子に与える母、マダム・ピジューなどの絵は全て監督ジェームズ・キャメロンによるものです。
●足の悪い女
松葉杖をついた片足の絵が一瞬写ります。ビデオやLD・DVDを止めてよ〜く見てください。ビデオ化されたからこそ、解るシーンです。
●緊張そして開放感
キャルがジャックを招待した晩餐会、あの堅苦しい場面はあの状態で2日間撮影を要したそうです。転じて「本当のパーティー」は今までの息が詰まりそうな撮影の気分はらしになったとか。クランクアップの打ち上げもゲーリック・ストームのバンド演奏をしてもらったそうです。キャメロン監督も出ているそうだけど、解らないなぁ?
●ウエイター役も大変
ジャックにキャビアをすすめるウエイターだが、もちろん数テイクやり直しとなる。トレイを90度の角度で持ち続ける彼の腕にはギブスが巻かれている(見たって解らないよね)。また撮り直す度に本物のシロチョウザメのキャビアが出されたが、その予算だけでもばかにならないほど高価だったとか。
●コルセットのシーン
ローズに対してルースがコルセットをしめるシーンがあります。もともとはローズがルースのコルセットをしめる設定でしたが、不自由な貴族階級を象徴する様にと前者に変更されました。コルセットは上流階級の婦人がウエストを細くしめるために着用したもので、本人が単独で着ける事は出来ません。『風と共に去りぬ』で出産したスカーレット・オハラが「ウエストが20インチになったわ、18インチまで戻さなきゃ」と言います。2インチって約5cm。。。すっすごい!
●コマ廻しのシーン
ジャックがローズに逢うために手すりを乗り越え1等船客用のデッキに昇ります。そこで少年がコマ回しをするシーンがありますね。あれはポーラー・ベアーの持ち主、ダグラス・スペドゥンだったんです。1枚の残された写真を忠実に再現したシーンです。タイタニックに乗ったポーラー・ベアーの物語は絵本化されています。また、このダグラス君は無事救助されますが、アメリカで初の交通事故死亡者となります。
●I'm flyingの夕日
あきらめかけた撮影に偶然西の空を染める夕焼けが広がった。。。と聞いていましたが、あの夕日は絵だという説があります。監督自身絵を使うことを反対していたんですが、映像を見せられてあまりの出来の良さに採用したそうです。どっちが本当でしょうか?
●レオの撮影初日は「最もエロチックな瞬間」から
ケイトはレオの撮影初日に彼の前で裸になる。ぎくしゃくしがちになるこのシーン、気持ちを楽にさせたのは当のケイト。レオの前でちらっと胸を見せた。彼には心の準備がなかったから、堂々としたケイトはまさに上手だった。これは、撮影が進むとお互いを知り合い、やりにくくなるのを避けるためのキャメロン監督の意図だったんです。あらためてこの情報をキャッチしてから映画をみたところ、わずかながら二人に初顔合わせの雰囲気が漂っていました。このスケッチシーンは、ゴヤの絵「裸体のマハ」、マネの絵「オランピア」を彷彿としますね。
●中指を立てたローズ
淑女にあるまじき現代的なポーズをラブジョイに向けたローズ。「考証無視」と非難を浴びたが、実はこのジェスチャーは2000年以上も前にローマ人によって考案されたもの。
●カーセックスのはしりはジャックとローズ?
1番とは言い切れないかも知れません。運転席のジャックを後部座席からローズが引っ張るシーンは、強い女性像を描く監督のポリシーの現れ。それにしてもあんな狭い車内・・・さぞや窮屈だったろうに。(意外と広いのかな?)あの車はウイリアム・カーター氏のルノーです。
●↑のシーン 手のひらバン!・・・あれはローズの手?
クルマの中からの手の角度をよ〜く考えて研究しましょうね。そうすると多分ローズの手ではないかと思います。ちょっと大きな男性のような手ですが、太めのケイトだからうなづける? それにしてもあの体勢で下になってるローズはあそこまで手が伸びないとも思う。一応、脚本ではローズの手となっていました。
●クローネスト
見張り台を”クローネスト”と言いますが、語源は「クロウズ・ネスト=カラスの巣」。『パーフェクト・ストーム』の漁港のバーの名前が「クローネスト」でした。タイタニックでの出入り口はマストに付いていて、見張り番はマストの中を登っていきます。
●真ん中のプロペラ
氷山にぶつからまいと後進をかけますが、真ん中のスクリューだけが止まっています。タイタニックで逆回転出来るのは三つのスクリューのうち左右の二つだけなんです。
●アンドリュースさんが割り箸を使っている?
衝突時にブランデーグラスがカタカタ揺れ、シャンデリアを見上げる設計主任トーマス・アンドリュース。彼の手元に一見割り箸のような物が?実はあれ、計算尺と呼ばれるもので電卓が行き渡ったいまじゃあご用済みだけど、それまでは有効数字3桁でかけ算わり算の出来る優れ物だったんです。
●タイタニック号の蒸気音
衝突後に停船したタイタニック号は、行き場を失った蒸気が煙突から猛烈な勢いで吹き上がります。停船後約30分間は会話も難しいほどの音だったそうです。映画でもスミス船長とライトラーが大声を張り上げて会話してますよね。
●ライトラー2等航海士の着衣に注目
氷山衝突前の夜10時にライトラーはマードックと当直を交替して、自室に引きこもります。(この時はまだネクタイ)寝床に着く寸前だったライトラーに、同じ航海士のボックスホールから一報を受けて救助作業に駆けつけます。(だからとっくりセーター)このとっくりセーターは映画「SOS!タイタニック」でも白いものを着ていました。でも本当は本人の証言ではパジャマの上にセーターとズボンをはいただけだったそうです。それでも汗だくだったとのこと。
●「なんだネズミはいるじゃないか」と思いませんでした?
パーティーでジャックが「ネズミはいません」と言ってたけど、ファブリイッオやトミー・ライアンが逃げるときに、ネズミが数匹逃げていましたよね。あれは建造中に紛れ込んだもの。映画はもちろん実写で、ちゃんと調教したそうです。
●忠実・・・さすがキャメロン
救難ロケットは史実に忠実です。救難信号弾は打ち上げられると、破裂して12個の星がパラパラと落ちるようになる。必死で数えました(笑)
●撮影の水温
ジャックを救うため斧を持ちながらパイプに掴まりながら、”うんてい”状態で進むローズ。あのシーンが一番辛かったとか。さらにそういうシーンでは湯気が立たない水温にしていたので、役者にとってはまさにリアルな体験だったとか。さすがに冷たすぎて水の温度は上げたそうです。
●弁償を迫られるユニークな場面
迫りくる海水から逃げ、船内の壁を破って廊下にとびに出したとき、スチュワードが「弁償させてやる」と怒ったとき、ジャックとローズは命からがら助かったので、「シャラップ!!」と反撃しました。でもこれは実話で、鍵のかかったドアを壊すのを見たスチュワードが「ニューヨークに着いたとき、会社の財産を破損したということで弁償させてやる」と言った。これが怒られるなら、キャルが大階段の彫刻を弾丸で壊した方が罪深いですよね。
●すごすぎるローズの顔
船内をさまよっている時に、親子が水に呑まれてジャックとローズが必死で逃げます。電気がショートし明滅する中で、白い顔をしたローズが必死の形相で逃げてくるんだけど、そのローズの顔ときたらすごい事すごい事。そして、このシーン、実は二人ともスタントで顔だけのすげ換え。きっと編集者も笑ったんじゃない?
●白クマのぬいぐるみ
タイタニック号に乗ったぬいぐるみ「ポーラー」。実際に救助された少年がもっていたぬいぐるみの名前です。実は、脱出をあきらめたアイリッシュの母親が、二人の子供を寝かしつけているシーンがあります。あのシーンで、二人の子供の間に首が長い白クマのぬいぐるみがあるのがかろうじて解ります。これは「ポーラー」にひっかけたキャメロン監督の演出です。
●ラブジョイは生きている?
船が裂けるときにラブジョイが顔を血だらけにしていましたが、裂けた後もロトキャップ(CG)のちいちゃなラブジョイは、おっとどっこい裂け目ギリギリのところで必死に手すりに掴まっています。でもあの後はさすがに登場してきませんね。
●チャールズ・ジョーギンさん
タイタニックが沈没するとき隣にいた白い服を着た方は、パン焼き主任のジョーギンさんと言います。後尾へ避難していくときに転んだローズを助け起こして「大丈夫ですか?」と聞いてきた優しい人です。史実ではかなりの数のデッキチェアを溺れる人のために海に投げ込みました。それ以上に驚きなのは、あの船尾から助かっている実在の方なんです。ラストはあのとおり最後尾にいたそうですが、救命ボートに乗るまで頭さえ濡らさなかったといいます。ほんとかなぁ?
●タイタニック号沈没
海中で吸い込まれまいとジャックとローズは必死に手を離すまいとします。その背景に沈みゆくタイタニック号の船尾。この背景を発案したのはキャル役のビリー・ゼーン。
●まさかね、シガーニー・ウィーバー?
ハロルド・ロウさんを中心とした船員達が、溺れる人を救おうと向かいますが時既に遅し。生死を確かめようと婦人を引き上げますが、その人シガーニーに似てない?・・・失礼。でも、シガーニー・ウィーバーだったら引き上げようとしていた人が逆に海に引きずり込まれちゃう。・・・確かに(^_^;)
●ヘルガさんの死体
傾いたプープデッキで額に血を流しながら、必死に生きようとするヘルガ・ダール(ファブリッツオと踊った彼女)が最後のシーンと思いきや、居たんです、海にプカプカと浮かんで。。。顔を海面に浸けていますが、あの金髪の編み込みは間違いないでしょう。悲しいじゃないですか。ロウ航海士が捜索を開始する時シガーニーそっくりさんと、赤ん坊を抱いた母親との間の場面で映ります。
●ローズの写真額
オールド・ローズの持ち歩く写真額の数々。「複葉機」「大学」「アフリカ」などなど。一枚も残っていないジャックの写真の代わりに、彼のおかげで得た自由の象徴である記録として持ち歩いているんですね、きっと。持ち歩いていた写真のうちの一枚の「ジェットコースター前の乗馬」は「女性が馬にまたがって乗る」ことと、「遊園地で安い酒を飲んで吐く」を両立させたようです。でも金魚鉢まで持ち歩く真意はなんなんでしょう???
●消えた監視台
海底に眠るタイタニックにむかって老ローズの意識が運ばれる。その時、監視マストの中間くらいに穴が見える。マストの中の階段を昇って監視台に向かいますが、その為のハッチです。1985年にロバート・バラード博士がはじめて海底に眠るタイタニックを発見した時には、監視台がひしゃげた形でマストについていましたが、その後、いわゆる”トレジャーハンター”にいつのまにか掠め取られてしまいました。
●結末のシーン・・・それは貴方の想い次第
老ローズはラストシーンでベッドで眠り、タイタニック号の中で皆に祝福されながらジャックと結ばれる夢を見る。でもあれはローズが宝石を海に返し、想いを遂げ天に召されたという見方も出来ます。監督はどちらかを心に決めてあるそうだけど、それを言ってしまうのは簡単。観る人に委ねると言ってます。
●大階段のグランドフィナーレ
あそこの登場人物は皆沈没時に亡くなった方々の様です。出てくる人は、ファブリッツオ、ヘルガさん、トミー、コーラちゃん、お父さんのバートさん、スミス船長、アンドリュース、アスター、グッゲンハイム、グッゲンハイムの従者、奏者たち、スチュワードのルーシー、他。
※シネスケ最長(多分)のあらすじ解説をお読み頂き有り難うございました。人様に何と言われようと”タイタニックLOVE”!
未だに『タイタニック』にご興味のある方は、私のHP「カルト・ザ・タイタニック」http://www2.tokai.or.jp/bpanther/titanic.htmlへお越し下さい。更なるディープな世界がお待ちしております。
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