[POV: a Point of View]
僕流偏愛邦画傑作選個人的に好きな邦画ベスト100(現時点85)
今まで見てきた邦画のなかで、個人的に特に好きな作品を集めてみました。作品を評価するというよりも、作品世界にいかに浸れたか、という見方なので、やっぱり「偏愛」という方が的を得ていると思います。これからも、邦画を応援していきたいし、良い作品とたくさん出会っていきたいと思います。A:盲目的偏愛。どっぷり浸って這い上がることができないくらい。B:大好き。何も言うことはありません。C:いいぞ! きらりと光るものがあり、一見の価値あり。
B | リリイ・シュシュのすべて(2001/日) | 14歳の現実がこうでないことを祈る。甘さもロマンティシズムも徹底的に排除した世界が、これでもか、というほど過酷に描かれる。とにかく「痛い」映画。映像は限りなく透徹、音も抜群の響き。もう一度見たくはないけれども、作品は遥かな高みに上り詰めた出色の出来だ。文句なし。勇気はいるけど、また見たい気もする。 | 投票(4) | |
B | 害虫(2002/日) | 少女が、時に小さな幸せを感じつつも、心に傷を抱えたまま、なすすべなく大きな流れに流されていく。極端に削られた言葉。少女たちのつかみきれない内面心理。あいまいな部分が増えていく物語展開。日陰の部分があるからこそ、滞りなく一筋の糸に繋がらないからこそ、そこに「詩」や「間」が生まれて、魅力的に感じる時がある。唯一、最後の結末のつけ方だけが個人的にはいただけなかったが、あとは特に文句のつけようがなかった。 | 投票(1) | |
B | ロックンロールミシン(2002/日) | この「曖昧さ」がこの監督の本骨頂と感じた。どこにでもいそうな、生きることに疲れ、自信喪失気味の主人公が、服飾デザイナーたちの「異質」な空間に魅せられ、関わっていく。「一時の夢」を見たような放心状態、けだるくも静かに押し寄せてくる熱気がじんじんと響いてきた。この監督は、この路線で突き進んでほしい。 | 投票(3) | |
B | 冷静と情熱のあいだ(2001/日) | まず、イタリアやフィレンツェの街並みの美しさに、惚れ惚れとした。そしてエンヤの音楽が映像にごく自然に溶け込み、物語を動かしていく。登場人物もこの美しい景色にきれいに嵌まった。完璧だ。あえて難を言えば、美しすぎて、深い感情移入を許さないという面もあったかな。しかし「運命の人」というテーマは、個人的に大好きなので、気にはならなかった。「激しい」というより、そよ風のような「爽やかな」感動をもらえた。 | 投票(5) | |
B | 閉じる日(2000/日) | あえて言おう。行定勲の原点がここにある、と。低予算などの制約がある中、彼ならではの独特の世界観が「閉じた空間」でうまく表現されている。同時期の『ひまわり』は、より充実して、『贅沢な骨』は、さらに物語性も奥深さを増して、映像も美しくなっている事を思えば、ある意味、「貴重な」作品だ。人間の心の「あいまいさ」を、深く追求するというよりも、それをそのまま描く、そこに彼の美学があるような気がする。 | 投票 | |
B | 犬神家の一族(1976/日) | 石坂浩二の金田一はぴったりだ。そして原作の雰囲気を忠実に映像化した監督に拍手。このシリーズはどれも安心して見ていられる。 | 投票(2) | |
B | がんばっていきまっしょい(1998/日) | 傑作、との前評判を聞いていたので、あの何ともいえない間のあるゆったりしたテンポに、初めは正直なところ戸惑ったが、慣れれば心地いい。おいしいものをゆっくりと噛み締めて味わうような作品だ。出演者たちが全く気負いなく素で演じているのがいいのだろう。 | 投票(10) | |
B | 月光の囁き(1999/日) | 前半の前半は青春映画の王道だ。むしろこの部分だけでも個人的には、満足だが…。初々しい、と思っていたら、正常から異常(といっていいのかどうか)へと雪崩れこんでいく急展開。少年の屈折した純粋すぎる思い、少女の絶望と快楽の狭間に揺れる葛藤に、息苦しくなってきた。『贅沢な骨』で抜群の存在感を見せた、ショートカットのつぐみもいいが、長髪の彼女もまた、美しい。彼女はもっと作品に出てほしいものだ。 | 投票 | |
B | 打ち上げ花火、下からみるか?横からみるか?(1993/日) | 奥菜恵は、小学生には見えないくらい大人びているし、少年たちは、どう見てもバラバラで同級生には見えないけれど、そんなことは、どうでもいいと思えてくる程、あの頃の純粋だった、懐かしくも切ない気持ちを思い起こさせてくれる快作。後半は見ているこちらが恥ずかしくなるほど、ドラマティックに盛り上げてくれた。 | 投票(3) | |
B | (ハル)(1996/日) | ふたりの周辺には余り生活臭が感じられず、それぞれの孤独感が浮きぼりになる。狙いは分かるが、それが原因ではじめは作品に入り込めなかったのでマイナス1点。メールを積み重ねることで、だんだんとお互いの心の中に相手が溶け込んでいく過程が、ものすごく自然。後半の展開は都合のよすぎる驚きもあったり、余韻たっぷりの結末といい文句なし。ところで、とんでもない思い違いをしてた…。 [review] | 投票(1) | |
B | GO(2001/日) | 行定勲監督の『ひまわり』『贅沢な骨』を見ての鑑賞だったので、のっけからの飛ばしぶりには、びっくりした。より洗練度を増して、爽快な作品に仕上がったが、比較的オーソドックスな展開で、素直すぎた感も…。(原作がありやむをえないが。) 個人的には、正直なところ、先の2作品の情感溢れる映像、ゆったりした展開、もどかしげな先の見えない物語のほうが好み。荻窪洋介は魅力を遺憾なく発揮していたが。 | 投票(1) | |
B | 東京日和(1997/日) | 中山美穂のふわふわした演技のせいか、全体的にほんわかとした童話のような作品世界に仕上がった。演技しすぎに感じるところもあったが、印象に残る場面が多くて、そのことも気にならなくなった。 | 投票 | |
B | 雨あがる(1999/日) | 肩の力が抜けて、拍子抜けするくらいのストレートかつシンプルな物語。主人公夫婦の人生の断片を見事に切り取った。主人公寺尾聰の、「優しさ」に心打たれた。身分関係なく、周囲の人すべてに、決して強さを誇示せず、相手を傷つけまいとする姿勢が実にいい。妻に頭が上がらないところも、おもしろい。彼は、ひとつの人間の生き方の到達点を、ごく自然体でやっている。宮崎美子の穏やかな表情も忘れられない。 | 投票(6) | |
B | 転校生(1982/日) | 実際こんなことが起こったら大変だし、ありえないが、もしそうなったら、という妄想を、作品にしてしまうパワーはすごいし、楽しい。何で、あれだけで、入れ替わってしまうの?という疑問を置いとけば、設定は非常におもしろいし、男女が入れ替わってからの、ふたりの演技は、確かに見もの。特に小林聡美の体当たりの演技は、すばらしいの一言。ただ、不満があるとすれば… [review] | 投票(3) | |
B | スワロウテイル(1996/日) | 全編に渡って、濃密で息苦しくなるほどの展開はかなりの完成度だと思うし、ひとつの到達点に達した感がある。しかし、鑑賞後はおなかいっぱいでもう一度見たいとは思えなかった。『Love Letter』とは全く違う世界が描かれており、これが本当に同じ監督なのかと驚いた。 | 投票(7) | |
C | 星に願いを。(2002/日) | 結論から言えば、元版の方が総合的にみて良い。竹内結子をはじめ、役者たちの力量からすると、元版を十分越えるだけの「秀作」になるべき要素を持ち合わせているはずなのに、物語に今ひとつ入り込めない「間延び感」があった。役者を100%使いきれてない「演出」に難があるか。元版は、盛り上がるべきところで、きっちりドラマティックに演出していたと思う。全体的な雰囲気は好きなだけに、惜しい。 | 投票(3) | |
C | 沙羅双樹(2003/日) | 『萌の朱雀』同様、説明というのを極力省いているが、それが、ややいらいらするのと同時に、この作品の持つ魅力となり、画面全体に柔らかな雰囲気のままに、溶け込んでいく。カメラワークが独特で、秀逸。いくつもの事実が、きっちりと明らかにはされないまま、古都の風景に埋没していく様は、美しくもさえある。若いふたりの、ぎこちなさと初々しさは、なかなかいい。 [review] | 投票 | |
C | 笑う蛙(2002/日) | 始めは、現実味が感じられないなあ、と見ていたが、この狭い密室で繰り広げられるドラマにだんだん引き込まれた。大塚寧々の茫洋とした演技と、長塚京三の感情的な性格が、独特な間合いを生む。覗き見する男の滑稽さと悲哀、女の直感的な嘘と冷徹に計算された言葉、非現実感の中の現実。大塚寧々の最後の言葉が、この物語をすべて言い表している。カラッと乾いた空気が漂う映画だ。 | 投票(3) | |
C | アカルイミライ(2002/日) | 黒沢清は一筋縄ではいかない、というのが何作か観ての感想。タイトルからは対極ともいえる現実を、クラゲなど変わった小道具を効果的に使いつつ、淡々と描き出す。オダギリジョーの未来を見ることができない焦燥、孤独感が、迫ってくる。しかし、監督の目線は、寄り添うのではなく、いつも少し離れた、乾いた視線で見つめる。非常に映画的な、映画でしかできないことをしようとする姿勢は買いたい。 | 投票(4) | |
C | この世の外へ クラブ進駐軍(2004/日) | つい先日見た『アカルイミライ』で注目のオダギリジョーが、一転、今度は爽やかな青年役を好演。メンバーが、バーで肩組んで歌う場面や、審査員の前で、変にニヤけて演奏する場面などが笑えた。戦後の暗さを吹き飛ばす「明るさ」がいい。彼らの存在感が、浮いた感じもあるし、もっと彼らを掘り下げても良かった気もする。けれど、これでいいのかもしれない。「ジャズ」のリズムで、物語全体が心地よく軽やかに包まれた物語だ。 | 投票(2) |
ベスト100としましたが、作品数はまだ100に達していません。順次加えていく予定ですので、ご了承ください。100に到達したら、それ以上は増やさずに、作品を入れ替えて、より密度の濃いものに出来たらと思っています。
この映画が好きな人達このPOVを気に入った人達 (4 人) | ilctr ピロちゃんきゅ〜 イライザー7 IN4MATION |