[POV: a Point of View]
僕流偏愛邦画傑作選個人的に好きな邦画ベスト100(現時点85)
今まで見てきた邦画のなかで、個人的に特に好きな作品を集めてみました。作品を評価するというよりも、作品世界にいかに浸れたか、という見方なので、やっぱり「偏愛」という方が的を得ていると思います。これからも、邦画を応援していきたいし、良い作品とたくさん出会っていきたいと思います。A:盲目的偏愛。どっぷり浸って這い上がることができないくらい。B:大好き。何も言うことはありません。C:いいぞ! きらりと光るものがあり、一見の価値あり。
A | 月とキャベツ(1996/日) | 幻想的情景が美しくも哀しい。少女の透明な美しさが物語りの全体を貫いていて胸に染みる。 | 投票(2) | |
A | ひまわり(2000/日) | 誰の胸にも記憶がある、「初恋」の懐かしくも切ない、そして暖かい記憶を、瑞々しく美しい映像で浮かび上がらせた、(個人的に)思いもかけない傑作(になりそこねた作品?)。 [review] | 投票(4) | |
A | 八月の幻(2002/日) | 甘い。映画も甘すぎるが、5点をつけてしまう自分の採点も甘すぎる。それは分かっているのだが、こういう雰囲気、好きなんですよね。主人公の自己陶酔系の語り口、幻想的な光の映像、甘い甘いと感じつつ、浸ってしまった…。友人たち周囲の人たちも魅力的で、ある種、群像劇的なところも大いにあって、楽しめた。 | 投票 | |
A | 水の中の八月(1995/日) | 高飛び込みの瞬間の美。青春のひとコマ。水の潤いと大地の乾き。石の病と満月のしきたり。幻覚か幻視か果ては神の導きか。小嶺麗奈の美しさは、月光が揺らめく水面のように、つかみどころのない、不可思議な魅力に満ちている。間違いなく初期の彼女のベスト作品だ。惜しむらくは、ラスト付近に、彼女の姿をもう少し観ていたかった。この作品を評価しようとしても捕らえられない魅力を感じる。魂に訴えかける作品だ。 | 投票 | |
B | タイム・リープ(1997/日) | いや、何を隠そう、出演欄にもない(涙)つぐみ目当てに観ただけ。ここでも評価低いし、全く期待してなかった。冒頭から佐藤藍子のわざとらしい演技と川岡大次郎の似合わない低音声に、「あちゃちゃあ…」と。それでもつぐみが出てくるまでは、我慢しようとしてたはず、なのだが、どこをどう間違ったのか…「大好き」な映画に変貌してしまった。悔しいけど。主題歌の甘い歌声が、リフレインする…。 [review] | 投票(1) | |
B | ハッシュ!(2001/日) | 正直、ここまで「はまる」とは予想だにしなかった…。きまぐれに吹き抜ける風にふわり…と舞う3枚の「木の葉」が、くるくるっ…と絡まりあう。そして光とまみえてひと時の「きらめき」を、実に心地よく爽やかに、目の前に提示してくれた。 [review] | 投票(3) | |
B | tokyo.sora(2001/日) | 女の子の日常生活を覗き見しているような感覚。孤独、やるせなさ、せつなさ、愛しさ、小さなため息が、波紋のように広がる。静かな息づかいに潜む、私はここに生きている、という言葉にはならない彼女たちの想いが、映像を通じて確かに伝わってきた。ドラマ性を極力排除した姿勢が、彼女たちの「生」を浮き彫りにした。 | 投票 | |
B | 悪魔の手毬唄(1977/日) | シリーズの中では頭ひとつ抜け出た傑作。横溝正史の原作を期待以上の出来で映像化して見せた。 | 投票(1) | |
B | 東京マリーゴールド(2001/日) | 主人公エリコ役の田中麗奈の演技力、存在感を改めて見せ付けられた作品。現代の東京を舞台にした現代的恋愛を市川準の映像スタイルで、静かに美しく表現。ふたりはつかみどころのない人物像だったが、それが逆にこの作品世界には合っているのかもしれない。ただ、小澤征悦演じた田村の真意は、もうひとつ理解できなかったし、共感できなかった。甘いけど5点。 | 投票(3) | |
B | カルテット(2000/日) | 音楽に映像がごく自然に溶け込んで流れていくところが秀逸。カルテットの4人もそれぞれ持ち味がでていた。なかでも袴田吉彦は『ひまわり』に比べると、役柄もあるだろうが、従来の殻を破った存在感を示したのではないか。若者の心理を描きすぎず、あくまで表情やしぐさで見せようとしており、行間を読むような含みのある余韻が心地いい。青春のひとこまを、実にさわやかに描いた快作。 | 投票(1) | |
B | はつ恋(1999/日) | これだけじっくりと描かれたら、かったるく感じるか、思いっきりはまってしまうかのどっちかだろう。自分はおそらく、いや…、間違いなく後者。途中ややミスマッチな役の真田広之が出てくるものだから、やや突き放してみていたら、後半いつの間にか、物語に深く浸かっていて、影の薄かった平田満が一気に舞台に踊り出てくる。そして全体を貫く田中麗奈の確かな存在感で、この映画はより完成度を増した。 | 投票(4) | |
B | 鉄道員〈ぽっぽや〉(1999/日) | 人間の哀歓がしみじみと描かれており、随所にいいエピソードが盛り込まれている。広末涼子が出てきてからの最後の15分くらいは涙腺が緩むこと請け合い。彼女はただのちゃらちゃらしたアイドルだという偏見を一気になくしてくれた作品。また、鉄道員としての業務を愚直なまでに全うしようとする主人公には、高倉健しかいないと思うし、彼のための映画だとしても、彼しかできないのだから許せてしまう。 | 投票(8) | |
B | 大阪物語(1999/日) | 池脇千鶴が物語のなかに自然に溶け込んで、実にさわやかに演じている。特に父親を探しに出てからの表情がいい。彼女の内面の成長が感じられる。父親の生き様には共感できなかったが、後半、彼がより血の通った人間として感じられた。市川準の世界は、すっ…と心に入ってくるものがあり、個人的には好き。 | 投票(2) | |
B | ざわざわ下北沢(2000/日) | 何だかよくわからない、というのが正直なところ。しかし、この雑多な街の独特の雰囲気に、だんだんはまってしまい、抜け出したくなかった。変な題名だなと思っていたが、これしかないという、ぴったりな題名だ。ばらばらでまとまりがないようでいて、この街にしかないような統一感も感じられる。この街で生活する人々の息遣いが、本当に間近に感じられた。日常の生活の中に、「生きている実感」が、そこかしこに散らばっていた。 [review] | 投票(2) | |
B | 病院で死ぬということ(1993/日) | 市川監督らしい静謐なカメラ回しが、生と死を見つめるテーマに、見事にはまった。「圧倒的感動」とは対極にある、胸のうちから静々と湧き出してくる「静かな感動」。波紋が音もなく広がるように、心に広がる「想い」「哀しみ」そしてささやかな「喜び」。言葉はなくても、これだけ訴えかける映像を作れるのはさすがだ。挿入される日常の人々のひとコマひとコマ。そこにある「輝き」が、病院の空疎さと対照的で、心に響く。 | 投票(1) | |
B | 棒たおし!(2003/日) | 「Lead?」何だそれは?全く知らない。そんなことより、この「熱気」は何だ。いや、そもそも、「棒たおし」って何だ。そんな競技、全然知らないし、聞いたことないし、危ないよ、と思ったが、少年たちが、熱くなれるものを見つけて、だんだん夢中になっていくのに、引き込まれた。少年たちの泥臭くも熱い青春が、光と影に彩られながら、綴られていく。これは理由もなく、かっこいい。 | 投票(1) | |
B | 竜馬の妻とその夫と愛人(2002/日) | 今までの市川準監督作品と比べると、肌触りの少し違った仕上がりになった。落ち着いた映像に、今までにない軽妙洒脱な演出が加わることで、舞台劇のようなノリになった。役者たちがややもすると、行き過ぎというか、空回りしている感が、ないでもないが、それぞれがくっきりと際立った人物造詣で、楽しめた。ところで、少しお目当てだった『ざわざわ下北沢』の北川智子は、ほんのちょっぴりだけ。うーむ…。 | 投票(2) | |
B | 幻の光(1995/日) | 全編を通じてみると、日本海の茫洋とした波の「暗さ」や「厳しさ」に飲み込まれてしまいそうだが、それだけではない、ほんの小さな「幸せ」や「喜び」が、灯りとなって点在する。江角マキコの内に秘めた情念が、荒波に翻弄されるかのように、揺れ動くが、解き放たれることは、ない。前半しか出てない浅野忠信の静かな演技が、観賞後、強烈な印象を脳裏に刻む。えも言われぬ「郷愁」を感じさせる作品。 | 投票(3) | |
B | 二十才の微熱(1992/日) | まずは袴田吉彦と片岡礼子の「若さ」にびっくり。ふたりの原点が、ここにあることを思えば、後の成長ぶりが感じられる。二十歳の不器用でもどかしくもある内面が、瑞々しくも、また「重苦しく」響いてくる。出口の見えない現実に、彷徨い、すれ違い、交錯する彼らの「叫び」が、青春の空間を駆け巡る。しかし、その声は、「願い」が込められたまま、空間の外へと突き抜けはしない。「青春」とはそんなものかもしれない。 | 投票(1) | |
B | きょうのできごと(2003/日) | 一夜の出来事を、ある意味どうでもいいようなことも含めて、丁寧に綴った作品。しかし、「どうでもいい」ようなことが実は、痛いくらい「大切な瞬間」でもある、という逆説的な真実となって、心に何気なく忍び込んでくる。登場人物をみな応援したくなる。見終わった後、自分自身の生活に戻る段になって、何故か人との繋がり、この現実といったものが、愛しく感じられる、不思議な魅力を持った作品だ。 | 投票(9) |
ベスト100としましたが、作品数はまだ100に達していません。順次加えていく予定ですので、ご了承ください。100に到達したら、それ以上は増やさずに、作品を入れ替えて、より密度の濃いものに出来たらと思っています。
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