コメンテータ
ランキング
HELP

けにろんさんのコメント: 更新順

★3氷の微笑(1992/米)陽光のサンフランシスコの倦怠下の腐臭を描くにバーホーベンのベクトルは微妙にずれて、そのズレが快感とも言えない。ダグラスストーンが頃合の疲弊感を漂わせていただけに惜しい。取り調べ室のシーンだけが鋭角のコンテで図抜けてるのが歪だ。[投票]
★5遠い山なみの光(2025/日=英=ポーランド)現在形のロンドンで母が娘に語る長崎での話は全部妄想であると同時に全部真実。その虚実の混濁が限りない喪失と耐えがたい業苦に根ざしている点で単なる叙述トリックで済まぬ深奥さを帯びている。惨禍から数年、稲佐山から見る陽光下の長崎は平穏だが悲しい。[投票(1)]
★4引き裂かれた女(2007/仏=独)アレン的爺い万歳映画かと思うそばから展開は微妙にズレ出し、ブニュエル臭漂う隠蔽されたド変態要素を垣間見せつつ、やがては行ってこいな遠い地平で詠嘆でもするのかと思えば、いけしゃあしゃあと引き裂かれましたって…辞世のギャグとしてお茶目。[投票]
★3ラヂオは笑ふ(1932/米)当時のポップスター達が次々出てきて歌うというだけで観客も満足しただろう映画であるが、バリバリ助演かと思った男が主演だったという点で意外。終盤の延々たるアーウィン1人芝居の見せ場。お人好しのイモ兄ちゃんキャラは後のレモンとも通底する。[投票]
★4拝啓天皇陛下様(1963/日)映画では修羅場の軍隊ばかり描かれるが、良き上官と良き戦友に恵まれ案外このヤマショーみたいのが実感の人も多かったかも。娑婆地獄からみりゃあ軍隊天国。しかしその相対的価値観は権力に利せられていく。古来より未来永劫繰り返されるポピュリズムの慣し。[投票(2)]
★4ザ・ザ・コルダのフェニキア計画(2025/米=独)壮大な商都圏構築という目的に向かう旅がウェス・アンダーソン十八番の2次元絵本体裁で語られる様は最終濾過抽出エキスの趣き。トンネル開通辺りまでは愉しい。ただ、計画は中盤からお先が見えなくなり物語も停滞してゆく。与太話を完遂してほしかった。[投票(1)]
★3ホット・ショット(1991/米)カッコつければつけるほどおかしさが倍加する確信犯的天然チャーリー・シーンの登用が成功の要因。壊れてハジけるにも物を言うのは思いこみでこなして来たそれなりの芸歴であり、屋上屋を重ねてぶっ壊すのだから最強。元ネタは観てないが文句無く笑える。[投票]
★3セルロイド・クローゼット(1995/米=英=仏=独)そういうテーマでないのに作り手がステルス地雷を組み込んだものと、ズバリの話なのに隠匿して何だか訳わかんなくなっちゃったものが映画史に混在してることへの興趣。ただ、制約下に於いてこその表現というものもある。本作の後半が今一なのはそういうこと。[投票]
★3エンジェルウォーズ(2011/米=カナダ)2段重ねの妄想までは抑制されたケレンとハッタリも効き傑作なのだが、3段目となる妄想が趣味世界に耽溺した稚拙なバトルで、体技をCGで誤魔化すレベルに留まらずゲームのデモ画面的空虚がお手盛りの不快感を撒き散らす。ただ終盤の救いの無さは悪くない。[投票]
★3Dear Stranger/ディア・ストレンジャー(2025/日)廃墟の空漠や異邦人への都市の冷徹な触感には愛の不毛や孤独を覚悟を決めて描けば現在形のアントニオーニになれた可能性を感じる。内実が詳らかにされぬ殺人事件と二転三転する真相。迷宮を示唆する帰結は虚無に竿ささない流れの中で宙吊りに放置される。[投票(1)]
★2ミッション・クレオパトラ(2002/仏=独)モニカは何処?サギやー!金返せー!アホンダラ〜と今更言う気もおきぬデブ親爺とヒゲ親爺のしょうもないコントの連鎖苦行。無理難題をクリアするに魔法でチョイで済むなら最初っからドラマは不要やないかい。お座成りな攻防と大団円には欠伸しか出ない。[投票]
★4ふつうの子ども(2025/日)カメラを意識せぬレベルでなく各人が自己世界に没入する子どもならではの世界が具現化されている。しかし、得られぬ何かの代替として環境にのめりこむ少女と扇動され軌道を外してく少年たちというモチーフは、ある意味で大人の合せ鏡を子どもに仮託する悪意。[投票]
★4さらば、わが愛 覇王別姫(1993/香港)多くのドラマトゥルギーが帰結の予兆的萌芽を内包し物語を深化させる前半の少年時代が良いのは編年記の常。しかし後段、愛に言及し仮初にも三角関係に展開の綾を託すにしては余りに躊躇が横溢し近代史の嵐の中で雲散霧消する。覚悟の欠如がもたらす焦点ボケ。[投票]
★3太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965/日)狂気がもたらす蛮行か愚な判断がもたらした悲劇を延々見せられる日本の戦争映画のなかで、この爽やかさは確かに「奇跡」であるが、作戦の帰趨を左右する論理的判断の反ポピュリズム性を謳いあげたことがより印象的。三船でなくば一層明確に提示された筈。[投票(2)]
★3スカイライン 征服(2010/米)サバケた割切りに多少は好感を持ったが、この程度のいかがわしさでは全く足りない。『宇宙戦争』な背景に『マトリックス』敵キャラ群舞の廉価さへの懸念は終盤の空軍とのバトルCGの凡庸さでピークアウト。どうせやるなら地平の彼方までアホやれよと思う。[投票]
★4海辺へ行く道(2025/日)海辺の町の寸景集を仄かにシュールで時に奇天烈な温もりと優しさに縁取られた世界観で統御し得ている。確かに『アマルコルド』を連想させる。無いのは時代性と批評性と詩情か。全篇の大半に処されたズームアップ&ダウンが予兆と終焉を示唆し続けるのも良い。[投票]
★3さや侍(2011/日)弛緩してるとは言え筒井風であるシュールレアリズムからお手盛りのギャグ博覧会(これも前2作の方が笑える)へ至るあたりは未だしもなのだが、終盤はアナーキズムが消失し一気に迎合世界に安住してしまった。それならヘタウマは通用しないし正気を疑う。[投票]
★4近畿地方のある場所について(2025/日)失踪編集長の残した資料映像。古いビデオから配信までらしさを凝らした剣呑映像祭は脈絡や整合はともかく白石フィールド中間決算の趣き。それらは整理・解読される間なく突如あらぬ方向へグラインドしラストではアッチョンプリケとなる。いっそ清々しい。[投票]
★5アイズ ワイド シャット(1999/米)先鋭の過激度は無い替わり極上の器が用意され、鬼面人を驚かすハッタリの替わりに揺れ動く心の襞の細部を精緻を凝らして描くキューブリックの新生面。クルーズキッドマンのかけ合いは後期ベルイマンを中期の意匠でリストラクトしたみたい。[投票(1)]
★4陸軍(1944/日)日清・日露から大陸侵攻に至る頃の日本の庶民。そのマスヒステリーが拡大する危うさは、現在の日本や世界の救われない状況をまんま見てるようだ。軍靴の音に已むに止まれず駆け出す母親が木下の意地だとしたら、その前夜の肩叩きは最良のセンチメント。[投票(1)]