★3 | 越後つついし親不知(1964/日) | 三國→佐久間→小沢と物語の主軸が変遷する様が計算ではなく成り行き任せでそうなったような構成のばらつきが惜しいが、終盤の3分の1は泣けた。水上ものとして前年の『越前竹人形』とかなりカブるが佐久間は若尾に比肩し得るエロ良さ。 | [投票(1)] |
★4 | 赤い天使(1966/日) | 大戦下の呵責ない野戦病院の凄惨は相当にキツいが、そこまでやらねばこの物語は成立しないという増村のドグマ。極限下に於ける男女のエロスは文子と芦田が虚無と諦観を纏った胆力でガチに拮抗しており本当素晴らしい。一人称「西」がまた萌える。 | [投票] |
★3 | 劇場版 新・監禁逃亡(2008/日) | 完全な2セットものの作劇に貧乏臭さと同時に郷愁にも似た感慨も覚えた。今更何かを問うわけでもない割り切りと、それでも一応は物語を全うするという律儀ぶりが悪くはない。ただ、2人の女優が可もなく不可もない案配ではあるが、エロ度が若干足りないのだ。 | [投票] |
★4 | DROP ドロップ(2025/米) | 全体の尺の凡そ2/3がホテルの展望ラウンジの高級レストランという限定舞台を徹底的にしゃぶり尽くそうという設定・意匠・配役。あざとさを気にすることなく腰の据わったオールドテイストが今風の意匠と巧く噛み合ってる。セット美術の出来の良さも一級品。 | [投票] |
★3 | カジノ(1995/米) | スコセッシが自分の抽斗から使い廻した手管を引っぱり出してつなげた希釈版集大成。渦中に浸った『グッドフェローズ』に比し搦め手からの印象は免れず、狂気の担い手ではなく狂言回しになったデ・ニーロも喰い足りない。期待のシャロンも大味。 | [投票] |
★4 | 男性の好きなスポーツ(1964/米) | タイトルバックデザインの粋さに捉われマンシーニの音楽に誘われブレーク・エドワーズの映画見てる感じ。程よくエッチでインモラルで、ある種突き抜けた展開が60年代後半のアメリカがこれから迎える混沌を予見してる。腐りつつある直前の美味しさ。 | [投票] |
★3 | スパイキッズ(2001/米) | 主役の姉と弟に胡散臭い出来合いの愛らしさが無く変にヒネてもないのは良いが、対するのがガキ大人とガチャピンみたいな連中で世界からオミットされる。なのにロドリゲスが、そういうお子様ワールドに耽溺してるらしいのが、悲しくもついていけない。 | [投票] |
★4 | ハルビン(2024/韓国) | 安重根の個人的な内面に切り込むというより抗日義勇軍の組織的な「伊藤博文暗殺プロジェクト」を描いたもの。結果、日本軍に拉致拷問され密告者にされる男の方が印象的。日清露の思惑が錯綜し歴史の奔流にさらされた街ハルビン。そのロマンティシズムの片鱗。 | [投票] |
★4 | ビッチ・スラップ 危険な天使たち(2009/米) | 『チャリ・エン』と『デス・プルーフ』を掛け合わせ劣化させたあと、お下劣な女権信仰を全面開花させ押しまくる破廉恥展開が戦略的な潔さではある。無意味な時制往還もアホだし強烈なサブキャラ群も嬉しくもハイパーゲスなのだが、ラストは結構決めてみせる。 | [投票] |
★2 | 殺しの分け前 ポイント・ブランク(1967/米) | 裏切りの復讐譚は恨み晴らすより約束履行の要求。その感情よりロジックの乾いた味わいが要らぬフラッシュバックを多用し濡れる。その気もないのに相手が次々死んじまうのも演出はそこに諧謔的な何かを見いだそうとはしてない。唯アンジーの使い捨てが粋。 | [投票] |
★3 | タイムリミット(2003/米) | 二重三重の苦境が釣瓶打つ追い込まれ型サスペンスの良作なのだが、追い込むエヴァが主人公を憎からずなのが仄甘くて悪くもないにせよ、でもやっぱり構造を緩める。痛し痒しとでも言おうか。その辺の匙加減を演出が上手く統御できず微妙なズレが惜しい。 | [投票] |
★4 | 「桐島です」(2025/日) | 手配され名を変え土建屋に職を得て寮の1室で爾来50年。シャブ中の同僚やコソ泥の隣室の住人。置かれた環境の遣る瀬無さ弥増す。酒場で聴いた「時代おくれ」の胸打つ佳境。それだけに後半「闘争」の熾火が燻り続けてたって描写は要らぬ伴明の自己弁明。 | [投票] |
★1 | ジム・キャリーのエースにおまかせ!(1995/米) | つまらない自己充足ギャグも見せ方次第で煌めきを得ることを知ってはいるが、演出にそういう矜持は皆無でただ流されてるだけだ。ジム・キャリーを好きでもないが才能はがあるのだろう。しかし、彼を出せば何とかなるみたいな甘えた作りは怠惰でしかない。 | [投票] |
★4 | 群衆(1941/米) | 捏造されたトリックスターが熱狂支持でカリスマになるにしては提唱するのが「隣人愛」ってのが浅い。しかし、スタジアムから公会堂に至る後半の大構えな本気汁。キャプラの信念が疑義を覆い潰す。そしてスタンウィックの可愛さとブレナンの心根。 | [投票] |
★3 | 最後のブルース・リー ドラゴンへの道(1972/香港) | 蹴り上げた足先で瞬時にこなす2つの動作に目を疑い、殴り蹴る際の烈迫の気合は「闘う」ことの初源的な意味を思い知らせる。バレエの如き振付けクンフー映画では味わえない本物の興奮。敵役ノリスの扱いも良く、ならリーの三文芝居もご愛嬌で許せる。 | [投票] |
★3 | 2025年7月5日午前4時18分(2025/日) | 何かが起こる予兆や予感のみ描いた結果、何が起こったのか全然分からん。だが往々にして「何」の正体が知れると馬脚を表すことも多い。夜道を1人歩いてて遠くでぼんやり灯りが灯ってる。そういうのが心底怖いという感覚。それを弥増させるデジカメの即物感。 | [投票] |
★3 | ゴダール・ソシアリスム(2010/スイス=仏) | 世界の片隅で誰からも見向きもされぬ年寄りの繰言めいた能書きを垂れてもゴダールだからと受け入れられてしまうのは役得でしかない。正直つまらんのだが、豪華客船の異世界的深遠を切り取るデジカメの色彩美とブロウアップされた粗粒子の戦慄などは無二。 | [投票] |
★4 | からっ風野郎(1960/日) | 演じるに必死な三島ヤクザは全然怖くなく、イロ文子を引っ叩いても痛さは露程も感じられない。役者力の圧倒的差が設定を凌駕し一枚も二枚も上手の女にいいように遇らわれる小物男みたいな想定外の背景まで匂い立つ。演出の切り返しの適宜さも圧倒的。 | [投票(1)] |
★3 | らせん(1998/日) | 喪失感と哀しみに満ちた主人公の設定が良いし、佐藤も屈託十全。手堅い演出にも好感を持ったが、何分、同時上映された『リング』の恐怖の余韻をブチ壊す安易な「貞子」の解釈で、それが必要以上に本作を不人気にした点は不幸であった。馬脚は現さずが吉。 | [投票(1)] |
★3 | ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン(2024/米) | 冒頭、疾走する列車の貨物車両での大蜘蛛騒動からドッテンバッタンの加速感は傑作の予感であったが。辺境の悪魔憑き村に調査に来たヘルボーイとまあ、言うなれば横溝正史、ヘルボーイ=金田一です。何かが起こったら後付けで動く。なので物語は失速する。 | [投票] |