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赤い戦車さんのコメント: 点数順

★5柔道龍虎房(2004/香港)説明が足りないのではなく、説明されるべきことは冒頭から全て画面上で示されているのだ。そして映画を展開していくのは全き「運動」であり、4台の机をまたぐモンタージュの混沌とその後の日活映画(照明といい、鈴木清順を思い出す)の如き大乱闘に興奮し、女の背中を追いかける男の笑みと、靴を取りに戻る女を捉えた長回しに泣かされる。まさしく映画の結晶である。ジョニー・トー最高作の一つとして推したい。 [review][投票(2)]
★5めまい(1958/米)心を震わす喪失と妄執のラブストーリー。恐ろしくぎくしゃくした物語(犯罪は途中でうっちゃられる!)の中、悲劇の一大メロドラマが展開される。形を変えて繰り返される「渦」。極端な位置からの俯瞰と仰角ショットによって遠近法を歪ませるロバート・バークスの神業。ヒッチコックのダークサイドが生み出した到達点。[投票(2)]
★5間違えられた男(1956/米)客観とヘンリー・フォンダの主観視点との切り替え編集が秀逸。画面に正対する人物から突き刺さってくる威圧的な視線の数々は、彼の恐怖を体感させるのに十分。ミステリーとサスペンスの違いは本作を観れば一発で分かるだろう。[投票(2)]
★5ふたりのベロニカ(1991/仏=ポーランド)女優も撮影も照明も全てが美しすぎる。余韻を断ち切るようなカッティングも効果的。このように世界を知覚できる監督がヨーロッパに存在していたとは驚きだ。これは西洋よりむしろ東洋の感覚に近い。[投票(2)]
★5捜索者(1956/米)「画面で語る」ということの例として最良のものではないか。所作のみでその人物の歩んできた歴史、他人との関係を観客に伝える力量。もう画面に打ちのめされっぱなしで、途中から文字通り失神寸前の状態であった。 [review][投票(2)]
★5ファンタスティック Mr.FOX(2009/米=英)本年度ベスト級の痛快娯楽エンターテイメント。『ウォレスとグルミット』シリーズや絶頂期の宮崎駿作品にも匹敵する興奮。アクションにコメディにダンスとこの隙のなさはちょっと信じ難い。ストップモーションアニメの一つの到達点ではないか。 [review][投票(2)]
★5ブルーバレンタイン(2010/米)さながらポップになったカサヴェテスといった趣。パンフによると主演2人はほぼアドリブらしいです。鬼だな。エンドロールの痛切な美しさ![投票(2)]
★5ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995/英)完璧な映画。 [review][投票(2)]
★5リパルジョン・反撥(1965/英)ギルバート・テイラーによるコントラストの強い白黒画面に、カトリーヌ・ドヌーヴの官能性がこれ以上ないくらい映える。本作もまた優れた「音」の映画だ。[投票(2)]
★5軽蔑(1963/仏)失恋したゴダールの心情を投影した私小説的傑作。うざったい引用も少なくて安心。 [review][投票(2)]
★5グラン・トリノ(2008/米)ダーティハリー』の老後を想起させる老人。クリント・イーストウッドの迫力に押された面もあるのは否めないが、もし仮にこれで俳優業を引退するならば見事に有終の美を飾ったと言えるだろう。映画史上最もかっこいい80歳。彼の一挙手一投足に感動させられる。[投票(2)]
★5父、帰る(2003/露)説明不足のため納得いかない部分も数多い。しかしあまりにも映像が美しい。驚いた。[投票(2)]
★5デュエル(1975/仏)私にとってリヴェットのベストはこれ。各登場人物の相手から逃げ回り追いつかれ距離を保とうとする動きが全編一貫しており、無限に続くダンスを観ているかのような酩酊感を誘う。リヴェットってわざとだらけて撮った場面を入れたりして少し苦手なのだが、本作はバッチリ決めた演出が多い中でアクセントとして機能していて良い。 [review][投票(1)]
★5やさしい人(2013/仏)驚くべき編集の才、光の扱いの美しさ、よく練られた構成の妙。ダンス教室で踊るソレーヌ・リゴを窓外の雪の中から見つめるヴァンサン・マケーニュ。彼女と恋人がレストランで食事する様子に、これまた窓外から銃を構えて今にも引き金を引きそうに見えるマケーニュ。なんだか涙が出てしまう。或は傘や犬といった小道具に至るまで、全てが映画らしい佇まいをもって画面に登場する。やはりこの監督は本物だ。[投票(1)]
★5美味しんぼ(1996/日)「透明」とはこのような映画のことを呼ぶのだ。90年代邦画の中でも抜きん出た一本。泣きに泣いた。 [review][投票(1)]
★5子猫をお願い(2001/韓国)傑作。「こう思ったからこう行動する」の「こう思った」の部分が完全に省かれているから編集に軽やかな驚きが漲る。また、どのショットにもシナリオの単なる再現に留まらない魅力的な細部が宿っていて眼を楽しませてくれる。さりげなく散りばめられた赤や青の色彩感覚、字幕の出し方や突然の画面4分割など「遊び」も鮮やか、この監督は恐らくヌーヴェルヴァーグも相当に好きな筈だ。4.5[投票(1)]
★5キートンのカメラマン(1928/米)カメラを通して対象を観る/観られる関係性がまず面白く、加えてキートンのアクションを捉えるカメラの置き方がどれも素晴らしい。中国人の抗争などアクションそのものとカメラの視点が相まって切れ味鋭い見せ場になっている。電話口から突然疾走しだすキートンのエモーション。記録された映像を通して真実を知ることの感動。ラストで再び繰り返される祝福としての紙吹雪。個人的好感度ではこれが私のキートン作ベスト。[投票(1)]
★5ウィンチェスター銃’73(1950/米)冒頭の射撃大会から見応えのある、充分な奥行きの画面の連続で興奮する。手前でシェリー・ウィンターズの乗る馬車、奥の丘に追うインディアンを捉えた構図のダイナミックさよ!或いは次々とトラブルを引き起こすライフルのマクガフィン的な扱いも見事。各銃撃戦も場所が書き分けられており飽きない。武器商人やダン・デュリエなど類型を微妙に外した人物造型も面白い。最初に観る西部劇としてもお薦めできる。[投票(1)]
★5緋ざくら大名(1958/日)監督が山中貞雄の甥であることを思い出させられるコメディ時代劇。こんな軽快で幸福な加藤泰をもっと観たかった。男女2人が最初に邂逅するのは、追われてる女が逃げ込んだ先の舞台。ここで追っ手に対して主人公が大立ち回りを演じるのだが、その度に客席から喝采が沸き起こる。この無意味な感覚の面白さ! [review][投票(1)]
★5肉体の冠(1952/仏)全く逡巡しない(考え込まない、というより考えていたとしても考え込む素振りを見せない)人物たちのかっこよさよ!ビンタなど簡潔で乾いた運動の積み重ねが映画全体を躍動させ、クローズアップの照明もばっちり決まっていて美しい。殺伐とした描写の中に水辺での再会のようなルノワール的官能性を漲らせる場面まであるのだからたまらない。もう文句なしです。[投票(1)]