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赤い戦車さんのコメント: 点数順

★4さすらい(1976/独)最初の2時間は掛け値なしに傑作だが、映画館と印刷所のシーケンスが交互にクロスカッティングされる部分を頂点として最後の1時間は勢いが萎んでいく。それでもロビー・ミューラーの見事なモノクロ撮影のおかげで飽きずに見通せるが。 [review][投票(1)]
★4告白的女優論(1971/日)数多い「窃視」の視点、とんでもない位置からのショットが続く。カメラに肉薄する女優の顔、身体。映画的な機能にしっかり溶け込んだデカダン。[投票(1)]
★4乱れ雲(1967/日)異様な速度と殺し合いのような緊張に満ちた作品だ。立ち上がる・座る・振り向く・視線を動かす、といった動作で紡がれていく編集の滑らかさが絶品。また、カットバックにおいて視線を一度下に動かし、また戻す演出が多々見られる。単純なカットバックの拒否、すなわち成瀬の静かなる厳格さ。[投票(1)]
★4タバコ・ロード(1941/米)「あらゆる<らしさ>、あらゆる意味づけを欠いた、全く有り得ないような荒唐無稽(中略)このような形で実践された<映画>は、音楽のように真の抽象芸術となる」(ヒッチコック×トリュフォー映画術)本作の馬鹿げたミュージカル的狂騒は、上記の見事な実践例ではないだろうか。終盤の見事な空に心打たれる。枯葉は『暗殺の森』っぽい。[投票(1)]
★4マジェスティック(1974/米)銃撃戦やアクションにおいて、誰がどこにいてどこに向けて銃を撃っているか、またはどこに視線を向けているかが実に明晰に描かれる。当たり前のようだが意外と皆できていないことなのだ。フライシャーらしい簡潔な描写が心地よい好編。[投票(1)]
★4ファインド・アウト(2012/米)意外や意外、結構な拾い物であった。このブラジル出身の監督はきっとヒッチコックが好きに違いない。「嘘」をつくことで「真実」へと迫っていくアマンダ・サイフリッドは、その迷いの無い行動が最高にカッコいい見事なヒーロー(ヒロイン)だ。銃で配管工を脅す様には笑いつつも感動してしまった。全編出ずっぱりなのも◎。また、映像のしっとりとした質感があまりハリウッドでは観ない感じで実に良い。[投票(1)]
★4ホワイトハウス・ダウン(2013/米)マクガフィンや逆算的な発想がみられ面白い。また、前半母子や大統領夫人の部屋、面接場面での室内撮影は予想外に見事。アクションは繋ぎが細かすぎて分からんところがあるが、派手な大技からメガネ、ゾンビなど地味に笑かす小技を織り交ぜ悪くない。最近のエメリッヒは突き抜けよる。[投票(1)]
★4わが谷は緑なりき(1941/米)どうも音楽が過剰すぎて邪魔。二度目は音を消して観たのだが、そうするともう1カット毎に泣ける。ドアや窓から長く伸びた影が印象的であり、「ドア」「エプロン」「空」「投げる動作」といったフォード的(と個人的に思う)モチーフ満載。あの煙の美しさはどうなっているのだろう。[投票(1)]
★4三つ数えろ(1946/米)物語なんぞ分からなくても映画は楽しめるということ。本作には断片しか存在しない。「一本の映画に良いシーンが5つあり、その他の時間で観客が苛つかなければ、それでいい」(『監督ハワード・ホークス「映画」を語る』より)[投票(1)]
★4ジャズ大名(1986/日)岡本喜八のコメディセンスは私とずれていてどうも合わないのであるが、さすがにこれは認めざるを得ない。奥行きのあるセットを利用した時空間の吹っ飛ばし。見事なカッティングによる終盤の熱狂的な大盛り上がり。破綻の魅力こそ映画だ。[投票(1)]
★4エル・ドラド(1966/米)愉快痛快豪快活劇監督ハワード・ホークスの本領発揮。はっきり言って同タイプの『リオ・ブラボー』より楽しい。「プロ」として誇りを持ち、迷わず行動する男たちの間にさり気なく滲む女たちの気高さ。ホークスからマイケル・マンへの継承。[投票(1)]
★43人のアンヌ(2012/韓国)実に豊かな映画的細部に溢れていて楽しい。特に会話を輝かせるアイデアの多彩なこと。煙草や歩行から突然の鳴き真似、傘、手を合わさせたり、ミニチュアの灯台。会話場面において背景にトラックや人が通りがかるショットでも全く作為が感じられない。ズームもダサさより撮り手の温もりが先に立つ。根本の部分で映画的な素養が良いのだろう。ロメールもだが、長回しの切り取り方にホウ・シャオシェンの影響も感じる。[投票(1)]
★4ドイツ零年(1948/伊=独)ある時本作の粗筋を友人に説明していて、ラスト20分で言葉に詰まってしまった。「少年が彷徨する」と一言で済んでしまうのだが、そんな簡単に片付けられるものでないことは映画を観た皆さんならよくご存知であろう。リアリズムを超えた映画のリアルが其処にある。掛け値なしの傑作。[投票(1)]
★4仁義(1970/仏)いかにメルヴィルマイケル・マンジョニー・トーに影響を与えているかが瞭然の傑作。無論画面の「蒼」もそうだが、犯罪を丹念に描く部分こそが素晴らしい。イヴ・モンタンが三脚に据えた狙撃銃を持ち上げた瞬間の驚き、これこそが映画だ。[投票(1)]
★4マリー・アントワネットに別れをつげて(2012/仏=スペイン)フランス映画まだまだ健在なり。恐らくデジタル撮影と思うのだがまず自然光主体の照明が大変に美しい。ジャンプカットや手持ちカメラの構図に無頓着な動き、「視線」「ドア」の演出はそれぞれヌーヴェルヴァーグを想起させる。つまり「映画」になっているということ。また、レア・セイドゥーの不敵な眼差しが実に良い。傑作。[投票(1)]
★4ロバと王女(1970/仏)これはご機嫌に楽しい映画。伏線が伏線になっておらず、突拍子もない展開が持続する。一人二役で料理するところなんて最高に楽しい。物語はいい加減だが、青、赤、緑と原色に彩られた画面が最終的に白に落ち着くのは納得性がある。[投票(1)]
★4ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う(2010/日)強烈な逆光によって黒い影と化した女優陣の佇まいが素晴らしい。事務所、バー、石切場、いずれもその「広さ」が登場人物の寂しさを際立たせる。ネオンなど照明も全編素晴らしい。ただしカメラアングルはちと凝り過ぎか。ラスト前の長いモノローグも佐藤寛子には荷が重い。あれでは東風万智子の方が「天使」に見えてしまう。[投票(1)]
★4牡牛座 レーニンの肖像(2001/露=日)死人のように寝そべり、ぶつぶつと何事かを呻き、ボケ老人のように怒る。『太陽』や『モレク神』の物真似と違い、このレーニンが面白いのは彼が「革命家」らしき行動を全く行わないからだ。ダイアログ中に挿入される無関係の人々の「視線」を映したショット。数多い「窃視」のカメラアングル。繊細極まる照明が実に美しい。歴史三部作唯一の傑作にして、最良のソクーロフの結晶。 [review][投票(1)]
★4マザー・サン(1997/米)ブラシを使って汚された鏡を通して映し出された雲、機関車、草木の揺れ、曲がりくねった道。極度に歪曲された映像は「死」のイメージを増幅する。心象風景を言語や演技ではなく、具体的な画面として提示するソクーロフは無謀ではあるが筋金入りの映画作家だ。音響感覚の鋭敏さはゴダール並み。[投票(1)]
★4フラワーズ・オブ・シャンハイ(1998/日=台湾)外貨欲しいです臭が若干漂うも、やはり画面は圧倒的。照明が実にしっとりと、また豊かに妓楼の女たちの衣装を濡らしている。何より全編室内撮影というのが野心的だ。フレーム内外や画面奥・手前・左右への人物の動きを操作することで変化をもたらす巧みな手腕。この監督の実力は抜きん出ているし、1作ごとにスタイルを発展させていくのが頼もしい。[投票(1)]