[コメント] 用心棒(1961/日)
「包丁と木の葉」のくだりはガチンコ。助監督に練習させて、包丁投げの名人にしちゃったらしい。いったい何回包丁を投げたら、あんな芸当ができるようになるんだろう?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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棒っきれを放り投げて行き先を決めるという、いい年こいた大人とは思えないほどいいかげんな方法で宿場町までやってきた三船が、人間の手を咥えて歩くイヌを目撃するシーン。佐藤勝の音楽が完璧である。カメラに向かってトコトコ歩いてくるイヌのカットにはややコミカルだが恐怖と戦慄の響き、それを見送る三船のカット(険しい顔でイヌを見送る。後ずさりの動きを望遠レンズで背景を引き寄せ強調するカメラもうまい)には重厚で深刻な響き。まだ宿場の人間が誰も姿を見せていないのに、何かとんでもないことが起こりそうな予感ありまくりである。こんなにワクワクドキドキする物語の幕開けも珍しい。
それにしてもクライマックス、拳銃を構えた仲代の「それ以上近寄るんじゃねえ」に破顔一笑、肩をいからせ大股で歩き出す三船! あのシーンの爆発的な快感は、一体なにごとだろう。あの瞬間、我々観客はあらゆる不利、迷い、誘惑を一発で引っくり返してみせる巨大な人間力(にんげんぢから)を目撃したのだ。そしてそういう人間を見ること以上の娯楽は、やはりこの世にはないのである。
しかし三船の「これでこの宿場も静かになるぜ」って、あれはあんまりだよなあ。だって、ほとんどみんな死んじゃったんだから。あの宿場を三十郎という怪獣が通り過ぎたということなのだろう。一番悪いやつは、三十郎だったのかもしれない。
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