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[コメント] ボルベール 帰郷(2006/スペイン)

とても贅沢な映画。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







様々な物語に発展しうる要素が内包されている。たとえば、殺人と死体隠しのサスペンス、レストランを経営するシングルマザーのドラマ、ペネロペ・クルスと撮影クルーの男のラブロマンス、母の「幽霊」を機能的に使ったコメディ、クルスの娘ヨアンナ・コボの「血」をめぐる悲劇。どれも一篇の独立した映画になりうる物語の要素だが、しかしこの映画はそのどれをも徹底的に押し進めて語りはしない。物語との関係において実に贅沢な映画であると思う。

また、色も贅沢に使われている。やはりアルモドバル的な「赤」が目を引くが、クルスの伯母の葬儀のシーンでは圧倒的な「黒」の増殖ぶりを見ることができる。

そしてなにより、これは「物を運ぶ」映画でもある。冷蔵庫、死体、伯母の鞄、冷凍庫、これらを運ぶアクションの端的な面白さ。映画の贅沢とはこういうことだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (14 人)ゑぎ[*] tarow 緑雨[*] のこのこ 赤い戦車[*] ガチャピン リア 直人[*] 死ぬまでシネマ[*] ペペロンチーノ[*] moot Keita[*] ina[*] 水那岐[*]

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