[コメント] ボルベール 帰郷(2006/スペイン)
とても贅沢な映画。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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様々な物語に発展しうる要素が内包されている。たとえば、殺人と死体隠しのサスペンス、レストランを経営するシングルマザーのドラマ、ペネロペ・クルスと撮影クルーの男のラブロマンス、母の「幽霊」を機能的に使ったコメディ、クルスの娘ヨアンナ・コボの「血」をめぐる悲劇。どれも一篇の独立した映画になりうる物語の要素だが、しかしこの映画はそのどれをも徹底的に押し進めて語りはしない。物語との関係において実に贅沢な映画であると思う。
また、色も贅沢に使われている。やはりアルモドバル的な「赤」が目を引くが、クルスの伯母の葬儀のシーンでは圧倒的な「黒」の増殖ぶりを見ることができる。
そしてなにより、これは「物を運ぶ」映画でもある。冷蔵庫、死体、伯母の鞄、冷凍庫、これらを運ぶアクションの端的な面白さ。映画の贅沢とはこういうことだ。
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