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[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)

自分がイザベルぐらいの年に初めて見て以来、上の学校へあがるたび、大事に大事に見てきた映画です。
tomcot

たくさんの人に愛されて、なんて幸せな映画。この雰囲気の中、映画批評などしばし忘れて、私からも個人的な話をさせてもらってよいでしょうか。

私はこの映画を10才の時に、夜中に放映されたのを録画したビデオで見ました。母が、「子供の出る良い映画だから見なさい」と言われて妹と見たのです。(ちなみに同じ理由で見させられた映画に小津の『生まれてはみたけれど』とテリー・ギリアムの『バンデットQ』があります。おかしな母なのです。)

初めて見たとき、どんな感想を持ったかまではもう忘れてしまいましたが、妹も私もこの映画がとても気に入って、夜2人で寝るときに、ささやき声を真似して遊びました。もちろんスペイン語は分かるわけがないので、「アナ」「イザベル」と、名前だけささやき合ったのです。そしてビデオを繰り返し見ました。

私は2人姉妹の姉なので、自分はイザベルの側だと思って、見ていたのではないかと思います。確かにアナの感じやすさよりも、イザベルの残酷さのほうが、自分も知っている感覚でした。

この映画は見た人は大抵、アナがアナが、となってしまう様ですが、イザベルの姉としては、それは少し淋しいことでした。でもあるとき映画狂の叔母が、「『ミツバチのささやき』は、妹も良いけど、あの姉が素晴らしいんだよ」と言っているのを聞いてとてもほっとしたのを憶えています。

この後、中学、高校、浪人、大学と、自分が成長していくごとに、度々見てきたのですが、こんな風に見てきた映画は他にありません。初めて映画館で観ることが出来たのは大学2年の時。3年前のユーロスペースででした。高校生の頃に、高田馬場の東映でやっていたことを憶えていますが、その頃はまだ、見たことのある映画を映画館に観に行くという発想が私にはなかったのでしょう。高校時代は映画よりも音楽に夢中でした。

そういえば、映画館で見たのを最後に、もう3年も見ていないことに気付きました。今また見直す時期が来ているようです。これはもう一生の行事だと思っています。

(評価:★5)

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