[コメント] アメリ(2001/仏)
ちょっと前に日本に上陸した映画。元々は渋谷のミニシアターでの単館上映作品だったのだが、口コミで広まってアメリブームを引き起こした。最近の映画界では珍しい事。
監督は『エイリアン4』のジャン・ピエール=ジュネ。『エイリアン4』自体はさほどのインパクトがなかったが、むしろこの監督の名前をメジャーにあげる貢献をし、そしてその才能が花開いたのが当作品、と言うことになるだろう。
この映画を一通り観て思うのは、これは理性で語るべき作品ではない。と言うこと。極めて感覚的な作品なんだ。心地よい空間に浸り、アメリと同一化して、自分自身を見つめる。それが何と容易なことか。
アメリはちょっと変わった人間ではあるが、誰しもああいった部分は心にあるわけで、それで共感できたら、はまりこむことが出来るはず。例えばアメリは水切りをするのが好きなので、いつも水切り用の平べったい石を探していて、そう言うのを見かけるとつい手に取ってしまうし、ニノは写真の切れ端を探していつもはいつくばっている。こういうほんの僅か一般常識から離れている行為は、誰だって経験があるだろう。(行き過ぎるとフェティになるが)
それが上手い具合にアメリとの同一化を促すので、見ている側はアメリ自身になったかのような思いにさせられる。
それにあのアメリの部屋が面白い。一人暮らしのはずなのに、妙に何者かの存在感がある部屋。家具の配置とアメリの表情の巧さがなせた描写だろう。
と、ここまで思いつくままこの作品の魅力について述べてきたが、実はこの映画、全く説明は不要。理性で観てはいけない映画なんだから。理性は捨て、感覚で観ろ!何度も観ろ。説明をするな!理解しようと思うな。
ここまで言わしめるのは屈辱。映画の観方そのものを問われて、何も答えられなかった気分。なれど、それがなんと心地良い事よ。
え?私が自分を癒す方法?
え〜っと、心静かに紅茶を飲むことと、時折シネスケで受けた投票を見てにやつくこと。そして禁煙を破ること…
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