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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★2消しゴム(1977/日)波うち際から始まって軍人へと続々登場する「消される」べく被写体に、寺山的またかの既視感以外なにもなく、はじめに「思いつ」きありきならまだよいが、画面消去というアイディアがただの「技術」先行が生んだ表現のための表現にしか見えない。[投票]
★2迷宮譚(1975/日)白塗り男やハイキー画面といた見栄えを駆使したとしても、理屈をそのまま画づらとして展開ているだけでは、それは頭で考えた説明でしかなく、説明が何のイメージも喚起しないのは自明のこと。嬉々として観念と戯れるさまは微笑ましくもあるが。[投票]
★2御存じ いれずみ判官(1960/日)江戸町奉行の金さん誕生物語ということなのだろうか、話しに大したアヤはなく(本当は父息子の物語が底辺にあるのだが、描き方が雑なので全然泣けない)、加賀まで出張した割には悪役が意外とおとなしく盛り上がらない。定型ながらお白州シーンでやっと安堵。[投票]
★2クローズ ZERO(2007/日)勝ち抜きゲームを面白くするために必要なのは、物語に躊躇を持ち込むやべきょうすけ的情緒などではなく、個々のファイターたちの個性の魅力であり、一人一人の背景に付された血湧き肉踊る神話としての物語が不可欠である。割り切りの悪い脚本が失敗の元凶。[投票(2)]
★3クローズ ZERO II(2009/日)鳳仙のトップ鳴海(金子ノブアキ)の、不良の実力を見抜く目利きぶりが思慮深くカッコ好い。この達観した視点の存在が、源治(小栗旬)と芹沢(山田孝之)の伝説化を促すとともに鳳仙一派の凄みとなって来たるべく決戦の不気味さと期待をあおる。 [review][投票(2)]
★3お坊主天狗(1962/日)片岡千恵蔵、大友柳太朗、三島雅夫の善悪トライアングルが、絶妙のバランスで配置された娯楽物の手本のような脚本。 そのなかで大川橋蔵の粋と、所作や表情、踊りに気品が漂う美空ひばりの艶が素晴しい。山城新伍や茶川一郎のおとぼけも程良い息抜き。[投票]
★3ニセ札(2009/日)恩師かげ子(倍賞美津子)を慕う大津(板倉俊之)や、戸浦(段田安則)と小笠原(三浦誠己)の守旧感など、協力と対立のなか偽造団の面々の心情がそれとなく漂うキャラクター付けが上手い。余計な気負いやてらいなく、爽やかな小品に仕上げた木村演出にも好感。 [review][投票]
★3はやぶさ奉行(1957/日)何かにつけ大仰なポーズをとっては、名調子で飛び出す片岡千恵蔵の決め台詞が楽しい。同じ東映の看板スター市川右太衛門の個性が周囲の役者たちとの掛け合いで引き立つの対して、唯我独尊、一人芝居で強引に場を引っ張る千恵像蔵。さくら吹雪は適役なり。[投票]
★2あらくれ大名(1960/日)それが時代や客の要請なのか、確信的に内出好吉は映画ではなく市川右太衛門を撮る。その証拠には右太衛門と軸をなす大河内と山形は別として、里見、近衛、若山らの扱いの粗雑なこと。女優陣に至ってはみな添え物で香川京子の割り切り芝居が痛々しい。[投票]
★2あばれ大名(1959/日)肝心の大河内の家康をはじめ、市川右太衛門と共演者との絡みが淡白で緩急のテンポ不足。淡々と結末に向かって話しが進むだけで何のカタルシスも生まれない。内出好吉監督の映画は初めてだが、つなぎのタイミングが独特で流れに乗れなかったのが原因か。[投票]
★3人間の壁(1959/日)特定団体の政治色が強いにもかかわらず、教条的な押し付けを感じないのは、リアリティ溢れる生徒達との交流を通して、いち女教師香川京子の迷いと成長に説得力を持たせる山本薩夫演出の賜物。三ツ矢歌子のドライさや北林谷栄の厚顔ぶりも面白い。[投票]
★3真空地帯(1952/日)合理性を欠いた秩序でも、うわべの統率は保てるが、その奥底に必ず果てしなき妬みの連鎖が生まれる。根拠なき階級や年功。別に軍隊に限らず、そんな偶然が支配する社会では、往々にして空虚で稚拙な人間関係が形成され、実に鮮やかに「人間の愚」が浮かび上る。 [投票(1)]
★4氾濫(1959/日)不器用な欲望をもてあます真田(佐分利)と幸子(左)の関係や、突出しているようで、実はどこにでもいそうなご都合主義的欲望の漂流者、種村(川崎)と久我(中村)の言動に、いやらしさや嫌悪をいだきながらも滑稽さの混じった親近感を感じる。 [review][投票(2)]
★3好色一代男(1961/日)世之介の女一筋の徹底ぶりを飄々と演じる雷蔵は唯一無二の適役ぶり。一方、対になるべくせっかくの豪華女優陣による「不自由な女たち」の描きこみが淡白で、その悲しみが憐れさまでに昇華せず、「日本の女はかわいそうだねェ」の決めがいささか空々しい。 [投票(1)]
★3痴人の愛(1967/日)ナオミの性的魅力は、もっぱら大量のスチル写真で表現される。確かにどの写真の安田道代も、あどけなさと野性味が混在したエロスを発散している。残念なのは小沢昭一の奮闘にもかかわらず、肝心の生身の安田の肉体から何の魅力も引き出せていないこと。[投票(1)]
★3落下の王国(2006/インド=米=英)青年の挫折と成長物語。少女の夢想と現実界をめぐるファンタジー。世界遺産の造形美に対する畏怖。活劇映画へのオマージュ。しこたま詰め込まれたターセムの思いの丈が随所で見る者の気を引くが、その集合物の未消化ぶりに食傷感を覚えるのもまた事実。 [review][投票(3)]
★5ジキル博士とハイド氏(1931/米)導入部の姿なき主人公の一人称画面に、この物語の主題を貫かんとするルーベン・マムーリアンの硬い意思表明を感じる。それに応えるべく、気品と下卑の落差をメイクのみならず全身で演じ分けるフレドリック・マーチ。人の心の危うさ告発する真の恐怖映画。[投票]
★3吸血鬼ドラキュラ(1958/英)闇を背にしたドラキュラ伯爵(クリストファー・リー)の立ち姿の、なんと凛々しく美しいこと。それは、女たちを一瞬の拒絶から永遠の服従へといざなう有無を言わせぬ威圧の美である。善悪の境を喪失し、本能のままに陶酔する女の姿ほどエロティックなものはない。[投票]
★4狼男(1941/米)巨体を持て余すようなロン・チャニーJr.の物腰に、突然の苦悩に見舞われた男の切なさが漂い、なかなかに味わい深い悲恋話。過不足のない音楽や丁寧なカメラワークに、大衆娯楽の先端を担ったB級ハリウッド映画の矜持と職人芸に裏打ちされた底力を感じる。 [review][投票]
★3江戸川乱歩の陰獣(1977/日)大胆な構図とワンショット内での陰影の変化。鏡面やガラスに象徴された二面性や表裏性。さらに粉砕され破片化したガラスの硬質で不規則な鋭利さ。加藤泰の様式美に酔うも、様式とはカタチであり、カタチはときとして情念や肉欲を行儀よく内へと閉じ込めてしまう。[投票]