★4 | モーターサイクル・ダイアリーズ(2004/米=独=英=アルゼンチン) | 青年たちは大自然の中で自己の矮小さと格闘し、未知の人々との出会いで生活の意味を知り、マチュピチュ遺跡で文化と闘いの歴史を感じる。期待と迷いのなか旅立った男が、ひとりの女の愛の代わりに南アメリカの民という新たな恋人を見つけるまでの物語。 [review] | [投票(9)] |
★4 | 純愛物語(1957/日) | 今となっては、いささかワンパターン的展開には見えるが、新人中原ひとみの愛くるしい表情と蓮っ葉娘のギャップが見るものの胸に痛みとなってせまってくる。良質の純愛青春映画であるには違いない。 | [投票] |
★2 | 蛇イチゴ(2002/日) | 終始つきまとう不快な苛立ちは、物語の持つ不吉なテーマ性のためではなく単なる演出スタイルの欠如が原因。本来、新人監督ならば過剰なまでに発揮されるべき独自性を、まったく感じない。底の浅い脚本を見ても、西川美和監督の将来が不安。 [review] | [投票] |
★2 | 野生のエルザ(1966/米) | 別にライオンじゃなくて犬でもいっしょやん、と思わせてしまうところがこの映画の弱点。一人称で書かれた日記風原作を、そのままトレースしてしまったために映画的なふくらみが出せなかったのが原因。多少でも話を作らなきゃ退屈。 | [投票] |
★3 | 写楽(1994/日) | 終始、絢爛たる美術の仕事に目を奪われるものの、その舞台に登場してくる人物達がどれも魅力に乏しく興味が一向に人間へと向かわない。豪華な器に盛りつけられた、貧弱な料理を味わっている気分。篠田正浩の映画には、こういう作品が実に多い。 | [投票] |
★2 | ロボコン(2003/日) | 文系頭で考えた理系映画。「問題ない!答えは一つ」的な理系シナリオを用意したまではまあ良いとして、もの作りの苦悩と快感を正面から描くことなく、クールな演出とスポ根的強引さを無理やり組合わせて何とかしようという発想がいかにも文系。 [review] | [投票(2)] |
★5 | モンスター(2003/米=独) | 自死まで決意した女が最後の夢として見た「夢を待つ生活から、夢を与える生活」は、恐ろしいまでの依存癖をもったモンスターによって悪夢へと導かれる。哀れな女と怖い女の話である。現実の中で上手く生きるということは、実は危うく難しいことなのだ。 [review] | [投票(9)] |
★3 | クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望(1995/日) | 単調な筋立てや、いかにも金のかかっていない作画、そして荒削りな悪役や脇役のキャラクター設定。文句のつけどころは山ほどあるのだが、製作者たちのアニメ以前に映画が好きで好きでたまらないという思いが伝わってくるので、何となく許せてしまう。 | [投票] |
★4 | 血と骨(2004/日) | 「知力」が尊ばれ「愛」が魅力と見なされる現代社会の風潮の中で、人は「腕力」を一段低くみなし「金」の力を蔑む。しかし、度を越せば四つの力はいずれも「暴力」に成り得る。生きることへの過剰な思いが俊平(ビートたけし)という怪物を生んだ。 [review] | [投票(9)] |
★2 | 黒いドレスの女(1987/日) | 如何なることがあろうとも、定型スタイルを固持するからこそハードボイルドは成り立つのであって、作り手はその意味において徹底的に保守的でなければならない。迷いなのか資質なのか、崔洋一監督にその割り切りが感じられない中途半端なでき。 | [投票] |
★4 | 大阪物語(1999/日) | 「ひと夏の彷徨」は映像・音楽垂れ流しで通俗的な感もあるが、これが市川準流と割り切れば、親として接してきた沢田・田中に、不可解な男女の関係を見て揺れる若菜(池脇千鶴)の戸惑いはリアルであり、極めて人間臭い成長物語になっている。 | [投票(1)] |
★3 | 着信アリ(2003/日) | 「携帯」が死への入り口となる発想は怖いのだが、追いつめられていく切迫感がなく、仕掛けが「びっくり」のレベルで停滞し怖さが真の恐怖まで達しない。主人公の背景に説得力が欠落しており感情移入できず、日常の中の恐怖が作り話へと引けてしまうのが原因。 | [投票(2)] |
★3 | 若い東京の屋根の下(1963/日) | 吉永小百合が最も輝いていた時代だ。膨大なプログラムピクチャーの中の1本にすぎない消耗品的この作品でさえ、彼女の小鹿のような躍動感あふれる身のこなしとクルクル変わる愛らしい表情だけで、ひと時も画面から目を離すことができない。 | [投票] |
★4 | 雨のニューオリンズ(1966/米) | 荒廃した暗い時代背景。不幸を囲いながら夢を見る登場人物たち。時折り紛れ込む大胆なカメラショット。やがて訪れるアメリカンニューシネマのテイストを随所に感じさせるハリウッド転換期のラブストーリー。その中途半端さが、また魅力だったりする。 | [投票] |
★5 | 愛と死をみつめて(1964/日) | 顔面を半分失った20歳の少女の心が、生と死の狭間を行き来するさまが実に痛々しくはかない。なすすべなく娘を見守る父(笠智衆)の心境もまた胸を刺す。原作の持つ純愛イメージにばかり焦点があてられるが、死生観を描いた傑作として再評価が望まれる。 | [投票(2)] |
★2 | ディア・ハンター(1978/米) | 若者が見知らぬ土地へ出かけ、現地人の理不尽な暴力によって味わう死の恐怖と、国家の事業としての戦争が引き起こす死の恐怖とは、そのバックボーンの質によりまったく別物のはず。意図したものか、勘違いなのかは分からぬが、ベトナムの描き方がひど過ぎる。 | [投票] |
★4 | ソウ SAW(2004/米) | 密室の濃厚な二人芝居かと思いきや、徐々に話はほど良い距離で空間的に広がり、心地良い錯覚をともなった時間的展開を見せる。その映画的な間わいのとり方が実に巧みで飽きさせない。何よりも犯行の意義に、ネガティブながら説得力と実感がある。 | [投票(3)] |
★3 | ネレトバの戦い(1969/英=独=米=伊=ユーゴスラビア) | いくら無名のパルチザンたちの戦いとは言え、もう少し登場人物たちに華を持たせて物語りに膨らみをつけないと・・・。2時間通してドンパチ合戦と行軍シーンばかりでは退屈。結局、爆破マニアのユル・ブリンナーくらいしか印象に残らなかった。 | [投票] |
★3 | グローイング・アップ(1978/イスラエル) | 可も不可もない、まさに「青春の悶々と挫折」そのまんま。これを普遍と呼ぶにはあまりにも味わいが薄く、といって目くじら立てて文句つけるほどでもなし。ただアメリカンポップス垂れ流しに、やっぱりイスラエルって米国の子分なんだという印象だけが残った。 | [投票] |
★3 | ザ・フライ(1986/米) | 最愛の人が得体の知れない何かに変貌していくさまを、為すすべもなただ見つめ、愛し続けること・・・。この映画が作られた80年代の前半が、謎の奇病としてアメリカ全土に恐怖を巻き起こしたエイズ発生の時期とダブルのは偶然ではないような気する。 | [投票(1)] |