★4 | セックス・チェック 第二の性(1968/日) | 獣であれと助言され本当に戦場から獣となって帰還した男は、性交でのみ女は肉体の性を開眼させると信じ実現し、武者小路実篤的友情に苦悩する男の妻は、貞操と恋慕と汚辱の軋轢に気がふれる。極まりない通俗の中で描かれる人間復興。あるいは確信的価値の紊乱。 | [投票] |
★4 | でんきくらげ(1970/日) | 同じように男のなかを彷徨する人生だとしても、母(根岸明美)が「おんな」を生きたのだとしたら、由美(渥美マリ)は「自分自身」を生きた。何故なら由美は全てのことを自身で決めた。母がした唯一の決定は娘のために男に刃を向けることだけ。 | [投票(1)] |
★3 | しびれくらげ(1970/日) | 不自然なほど硬質で体温を感じさせないみどり(渥美マリ)と山崎(川津佑介)の台詞回しは空疎さの体現であり、堕落の象徴である父親(玉川良一)やヤクザ(田村亮・根岸明美)たちの世界にこそ温度を見出しているところが増村。
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★3 | 昭和残侠伝 唐獅子仁義(1969/日) | 演出の力点がおるい(藤純子)の心情に置かれすぎ(それはそれで実にマキノ雅弘らしい味わいを醸すのだが)、石場の利権をめぐる抗争と、風間(池部良)との遺恨という二重の対立劇が機能せず、花田(高倉健)の言動に葛藤と苦渋を感じない。 | [投票(1)] |
★4 | M:i:III(2006/米) | 三次元を縦横に活かしたカッティングの妙。超高層ビル侵入シーンは凡庸だが、風車群の中で繰り広げられるヘリの銃撃戦、橋上の護送車を急襲するヘリとの攻防は、「空中」と「地上」の距離と時制に凡作アクションにありがちな作り物的遊離感がなく素晴らしい。 [review] | [投票(1)] |
★3 | 胡同〈フートン〉のひまわり(2005/香港=中国=オランダ) | 息子と父との葛藤は程度の差こそあれ男なら誰しも経験するもので、であれば背景として選ばれた現代中国30年史が2人の頑なさに与えた何がしかの影響を示唆するのか、ただの石頭親父とその意固地に歪められた息子の普遍物語にするのか、そこの割り切りが悪い。 | [投票] |
★3 | 黒い眼のオペラ(2006/台湾=仏=オーストリア) | 視点の固定と台詞の排除、そして最小限の物語性がツァイ・ミンリャンのスタイルだが、本作は後者があまりにも先鋭化してしまいシャオカン、ラワン、シャンチーの関係が希薄で意味不明。これでは、せっかくのラストショットに込められた想いが伝わってこない。 | [投票] |
★3 | アルプスの若大将(1966/日) | 制服姿の星由里子はまるでリカちゃん人形。「骨まで愛して」、「レナウン・イエ・イエ」、「パンナム支社長のヒョーショウジョー」などやたら風俗ネタのが目立つ他愛のないいつものでき。滑降のスタートからゴールまでをワンショットで撮った空撮はカッコよかった。 [review] | [投票] |
★3 | 海の若大将(1965/日) | 前作に増して澄ちゃん(星由里子)の強引さと、青大将(田中邦衛)の調子よさが加速して若大将の能天気さが際立つ。この男の無思考さはちょっと気持悪い。あと、ひょっとして青大将の原型は、鬼太郎のねずみ男ではないのかとふと思う。 | [投票] |
★2 | LOFT ロフト(2005/日) | 当然、黒沢清の映画に解釈の必要などあるはずもなく、提示された「映画」をありのままに観れば良いわけなのだが、肝心の提示物が場当たり的であまりにも底が浅く平板で、感受すべきイメージはおろか屁理屈を成立させるだけの意思のカケラも見当たらない破綻ぶり。 | [投票] |
★2 | ミッション:インポッシブル(1996/米) | フィルムノワール感漂うプラハ事件あたりは秀逸で、これに「スパイ大作戦」の知力・体力・チームワークの醍醐味が加われば言うことなしと嫌がおうにも期待は高まるものの、予想ははずれてトム君孤軍奮闘の巻きとは。それでいて、結末のみ予想通りではやり切れぬ。 | [投票(1)] |
★3 | M:I−2(2000/米) | M:Iはあの「スパイ大作戦」ではないと知ってしまったからには、しかもトム君などにいささかも興味のない身としては、本作はタンディ・ニュートンの映画として観る。競馬場でのノーブラ・タンディの存在感こそが、お馴染み中吊りトムを凌駕して余りある。 | [投票] |
★3 | 日本一のホラ吹き男(1964/日) | 田波靖男脚本の無責任シリーズは現実の否定と陽気な撹乱であり、笠原良三脚本の日本一シリーズは現状の追認と無邪気な揶揄。前者では植木と古沢のアナーキーさが偶発的に突出するが、本作では当人たちの技量の範囲内に収まってしまうのはいたし方なし。 | [投票] |
★4 | エレキの若大将(1965/日) | 導入部のエレキとアメフトが何だか知らんが妙にフィットしてカッコよい。お婆ちゃんのゴーゴーダンス、日光でのドサ回り演奏、お尻から先にテントから這い出してくる澄ちゃん。洗練と間抜けが同居する岩内克巳監督のスラップスティック演出が冴えていて楽しい。
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★3 | ハワイの若大将(1962/日) | 若大将をとりまく女の子たちの数が少なく、澄ちゃん(星由里子)がその分いつになく積極的でいさささか可愛げに欠けるのが難点(ってこれは好みの問題か)。オリンピック→外国→英語→ハワイで無理やりロックンロール、という発想が今となっては微笑ましい。 | [投票] |
★3 | 新極道の妻たち 惚れたら地獄(1994/日) | 骨太降旗康男演出は好きなのだが、岩下を取り巻く斉藤慶子、中野みゆき、川島なお美らヤング極妻の心情が今ひとつ伝わってこずもの足りない。結局、今回も岩下のスーパー姐さんぶりだけが、いびつに際だつのみ。あいはら友子は鬱陶しいだけ。 | [投票(1)] |
★4 | 日本一の色男(1963/日) | 光等(植木等)の行動に「理由」が準備されてしまった時点で、時代の挑発者「無責任男」は消滅した。とは言え、植木の大爆発ぶりは快調そのもので「路」を暗示する歌謡シーンのセットも洒落ている。点数は喜劇としての完成度の高さと華やかな女優陣に献上。
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★3 | 日本一のゴマすり男(1965/日) | 係長(人見明)、課長(犬塚弘)、部長(有島一郎)のボンクラ役職を尻目に、出世街道を駆け登る中等(植木等)のお調子者ぶりは爽快とは言えお約束。ちょっと厭きたところで、唐突に登場するジョージ藤田まことで一気に覚醒。笑えました。 [review] | [投票(1)] |
★5 | ニッポン無責任野郎(1962/日) | 爆笑がいつしか薄ら笑いへと変わる。硬直したシステムや価値に対する強烈なアンチテーゼ喜劇。前作では唯のお調子者でしかなかった無責任男だが、本作の破天荒な行動と有無を言わさぬ強引さは時に薄気味悪さを漂わせ、彼が得体の知れない秩序破壊者にすら見える。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 大学の若大将(1961/日) | 青春映画における男女の関係性を、それまでの定番である「男と女」ではなく「男の子と女の子たち」として描いた点が本シリーズの決定的な新しさである。その等身大の憧れの具現化とでもいうべき親近性が60年代の空気と呼応し当時の若者の心を捉えたのだと思う。 [review] | [投票(1)] |