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ゑぎさんのコメント: 更新順

★4八月のクリスマス(1998/韓国)これは好感の持てる映画だ。最初からずっと慎み深い演出で「悪くないよなあ」と思いながら見ていたのだが、タリム−シム・ウナの差し入れた手紙の内容を一切明らかにしないという潔い措置が決定的に良い。舞台が街の写真屋なのでカメラのファインダー越しの画面・シーンがいくつか出てくるがその悉くが素晴らしい効果を上げる。[投票(1)]
★3伊豆の踊子(1967/日)内藤洋子黒沢年男版、東宝映画。吉永小百合版(日活映画)と同じく川端康成の「伊豆の踊子」に「温泉宿」のキャラクターをうまく挟み込み構成している。吉永版では十朱幸代が演じた「温泉宿」のお清を二木てるみが巧みに演じる。 [review][投票]
★3ポセイドン・アドベンチャー(1972/米)何度見てもラストは大俯瞰ショット(できればヘリコプター撮影と思しき)が欲しい!と思ってしまう。当時のアーウィン・アレンには多分それができたとも思うのだが、ラストで空間全体を見せるショットを持ってこないことがこの映画全体の緊張感を象徴しているだろう。いつも見終わってしばらくして「この潔さがいいのだ」と思い直す。[投票(2)]
★4伊豆の踊子(1974/日)ほぼ吉永小百合版のプロローグとエピローグを取り去った構成。湯ケ野の風呂のシーンも全く同じセット(?)に見える。元々原作になかった吉永版の酌婦(十朱幸代)も石川さゆりが継承しているが、全体に性的な生々しさが薄らいでアイドル映画らしくなっている。特筆すべきは矢張り山口百恵の存在感。とても映画初主演とは思えない。 [投票(2)]
★4伊豆の踊子(1963/日)原作との相違はプロローグとエピローグの追加以上に十朱幸代演じる酌婦や郷えい治にまつわるシーケンスの追加が重要だろう。性的な描写が盛り込まれ過ぎ原作の持つ清冽さが損なわれた感もあるが貧しい庶民の悲哀と図太さを現して映画を豊かにしている。吉永小百合は14歳の可憐な表情を見せる場面もあるが、多くは成熟し過ぎな印象。[投票(1)]
★4イブの三つの顔(1957/米)怒りの葡萄』『飾窓の女』『燃える平原児』『特攻大作戦』等々の名脚本家ナナリー・ジョンソンの監督作で真っ先に上げなければいけないのは、矢っ張りこの『イブの三つの顔』だろう。なにしろ、三人のイブが三人とも恐ろしい納得性をもって観客に迫ってくる。 [review][投票]
★2灰色の服を着た男(1956/米)凡庸なフラッシュバックがドラマを中断させてしまう。これを観た限りでは、ジェニファー・ジョーンズが余りにも可哀相だし、グレゴリー・ペックはどう仕様もなく胡散臭い。ナナリー・ジョンソンは監督に向いていない。『イブの三つの顔』の素晴らしさはフロックというよりも、女優と撮影監督が支えた映画ということだろう。[投票]
★3意外な犯行(1954/米)ヒッチ的な「間違えられた男」をまあまあの演出でそれなりに面白くしているが、バン・ヘフリンによる真犯人発見がお座なり過ぎるしジンジャー・ロジャースが肝心な場面で崩れたりして、低俗なところで回っている。ナナリー・ジョンソンはどの監督作を見ても脚本家出身らしい演出の弱さを負っている人だが、この映画でも同じ。[投票]
★5狐の呉れた赤ん坊(1945/日)これは敗戦後の邦画を代表する傑作だろう。飲み屋の瀬戸物が割れる音とともに字幕が崩れる粋なオープニングからラストの大井川の俯瞰ショットまで映画を作る喜びに溢れている。パンニング、トラベリング、ピント送り、フラッシュバック等技巧的にも凝りに凝った作りだが、それぞれ実に適確に用いられており驚かされる。 [review][投票(5)]
★3好人好日(1961/日)奈良の大仏に岩下志麻が話しかける冒頭から違和感を感じてしまうし多くの登場人物が散漫に描かれピリッとしない。高峰三枝子菅井一郎は一体何をやりたかったのだろう。北林谷栄の演技にも違和感がある。そんな中で世界的な数学者を演じる笠智衆とその妻・淡島千景はとぼけた味が面白い。また、乙羽信子の関西弁が実に見事。[投票(1)]
★3真空地帯(1952/日)題材の持つ力と俳優陣(特に三島雅夫佐野浅夫がいい)の迫力は認めるが、画面造型に見るべきところが無い。特に時折挿入される人物のアップカットは唖然とするぐらいぎこちない。木村功の回想シーン(利根はる恵岡田英次)も野暮ったく、官僚主義的な画作りに終始する。 [投票(1)]
★5忘れじの面影(1948/米)ハリウッド製メロドラマの極限。全くこれぞオフュルスとしか言いようのない高貴で流麗、透徹した冷厳。雪の残るウィーンの街角で二人が再会し公園やダンスホールのシーンを経て懐かしい部屋で一夜を共にするに至る一連のシーケンス。この魔法のような演出、映画の感情の、映画の時間の定着。どうすれば涙を抑えることができるのだろう。[投票(1)]
★4燃えつきた欲望(1950/米)ディゾルブでの加速度の付け方も人物の画面への出入りもなかなかいい。役者も皆適役だ。特にパトリシア・ニールの悪女なんか惚れ惚れする。また、バコールに煙草を喫わせたいが為にこの映画を作ったのではないかと思わせるぐらい彼女の煙草の扱いは見事。フロイントの撮影に助けられたのかも知れないが、このカーチスは全く素晴らしい。[投票]
★3めぞん一刻 完結篇(1988/日)タイトル・バックなんかちょっといい感じなのに、全体的に律儀過ぎる演出が失敗している。題材だけを云えばこれを映画にでっち上げる、ということは映画作家の夢じゃないか。少なくも澤井信一郎版『めぞん一刻』よりはシナリオが優れているのだろう。[投票]
★3レディL(1965/英=仏=伊)お話は実に面白い。ピーター・ユスティノフの演出ぶりも及第点。ソフィア・ローレンポール・ニューマンもなかなか魅力的だ。しかしデヴィッド・ニーヴンのキャラクターがどうにも納得できない。いくらイギリス貴族と云えども出来過ぎか。ラストのオチがあるからこそ活きてくると云えば云えるが。[投票]
★4北陸代理戦争(1976/日)エンディングは充分にシリーズ化を期待させる余韻を残したもので、シリーズ化されなかったことが残念ではあるのだが、しかしこの曖昧な終わり方が今となってはこの映画の突出した魅力を高めている。 [review][投票(2)]
★4サボテンの花(1969/米)当時、コメディエンヌとしてのゴールディ・ホーンの新しさが大いにもてはやされたのだろうし、勿論今見ても彼女はすこぶるキュートなのだが、50歳を過ぎ容色の衰えが隠せないイングリッド・バーグマンの頑張る姿は感動的だ。 [review][投票(2)]
★4裸足で散歩(1967/米)主演の二人もいいがジェーン・フォンダの母親役ミルドレッド・ナトウィックと変な隣人のシャルル・ボワイエ、この中年二人の存在が実にいい。また最初と最後で出てくる電話屋はハーブ・エデルマンだ。ぴりりと映画を引き締める美味しい役で嬉しくなる。天井(天窓)に空いた穴、階段や屋根上など高低を巧く活かした画づくりもいい。[投票(1)]
★4オリバー!(1968/英)キャロル・リード演出のミュージカルでオスカー作品なんて、どうせ大したことないだろうと高を括っていたのだが、どうしてどうしてとてもよく出来ている。美術と撮影が素晴らしいが、素早いズーミングを効果的に使う演出も上手いものだ。 [review][投票(1)]
★4LOVERS(2004/中国=香港)非現実的な展開が映画の魅力を阻害する、なんてことは有り得ない。結局ラストに向かって失速していくのは画面から伝わるテンションが減衰しているから。しかし中盤までは恐るべきテンションの持続、目を瞠る画面の連打。特に竹林のシーンは胡金銓侠女』の伝統を受け継ぐ活劇演出。また金城武は出来損ないでも大きな存在感を示す。 [投票(3)]