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ゑぎさんのコメント: 更新順

★4ガープの世界(1982/米)ロイ・ヒルらしい緩々のムードが横溢していてタイトな演出を期待すると裏切られる。というか逆にロイ・ヒルってこんなもんと妙に安心できるかも知れない。映画性に溢れる映画ではない。しかし多くの登場人物がそれぞれ魅力溢れる造型だ。考えてみると私は公開時より何度も見返しており、かなり愛着のある映画だと云って良いのだろう。 [review][投票(3)]
★3毒蛇島綺談 女王蜂(1952/日)毒蛇島の現実離れした雰囲気は楽しいし配役は全員がミスキャストと云ってもいいぐらいに違和感ありありだし、とても珍妙で面白い。特に森雅之の学生服姿はいくらなんでも酷い。また岡譲二の金田一耕助は変装の名人という設定で特異なメーキャップとオーヴァーアクトが笑える。ヒロインで二役を演じる久慈あさみの成り切りぶりもいい。[投票]
★3エノケンの法界坊(1938/日)こんな酷い状態のフィルムしか残せていないという事実に憤りを禁じえないのだが、こんなフィルムでも私には結構面白かった。どうもエノケンの表情が冴えないようにも思えるが、お経から始まって結婚行進曲に至る彼のすかした歌を楽しめるだけで十分に価値がある。装置は中古智[投票(1)]
★3エノケンのちゃっきり金太(総集編)(1937/日)追いかけシーンの韋駄天走りが一番の見所か。興味深かったのは室内の撮影で、枕を回しながら唄い継いでいく酒席の場面等は望遠撮影に思えた。さらに望遠レンズと標準レンズの2台のカメラによるマルチ撮影のようにも見える。(多分事実は異なるのだろうが。)しかし、この空間を圧縮したかのようなルックは間違いなく黒澤明に繋がっている。[投票(2)]
★3クイール(2003/日)撮影監督も美術監督も異なるが色調等は前作『刑務所の中』のルックによく似ている。いずれも檻の中を扱っている、なんて変なこじつけをするつもりは無いが、このルックの相似はとりもなおさず崔洋一のルックなのだろう。香川照之寺島しのぶの家で綿雪が舞うシーンには感動した。この唐突さが感動的だ。[投票(1)]
★4ミスティック・リバー(2003/米)謎解きは最初から破綻しているし後半に至ってプロットの過不足も目立つが、それらをねじ伏せるテンション。そして圧倒的なラストシークェンス。何と力に満ちた演出。何と快いフィルムの触感。そして透徹したアイロニー。イーストウッドはかつて「力が正義」と主張する映画を作ったことがないし、今後もそんなことはありえないだろう。 [投票(7)]
★5コレヒドール戦記(1945/米)ジョン・フォードの第二次大戦後の第一作は複雑な思いを抱かせる戦争映画だ。海戦シーンは今見ても凄まじい迫力だが、スカッとした戦争活劇とは程遠い、随分と暗いムードが漂う作品。かと云って勿論、反戦映画ではない。しかし勿論、傑作だ。 [review][投票(3)]
★3クジラの島の少女(2002/ニュージーランド=独)マオリの風習がエキセントリックなのと美しい風景とでとても画が強いし、少女も周囲の人々も良いキャラクター揃いでラストまで面白く見られる。感動もする。しかし映画としては少女がもっと端的に強く成長する演出が必要だろう。それをしないのは意図的かも知れないが結果として伝説の位置づけが混乱している。鯨の扱いも混乱している。[投票(2)]
★3潮騒(1964/日)この題材を手持ちの多用で処理するのは間違っていないと思う。ギターのBGMもいい。漁師や海女の生活がドキュメンタリータッチで力強く描かれている。水汲み場を機能させる演出も悪くない。やす兄が初江(吉永小百合)に絡む長回しなんか相米慎二を想起させたぐらい。確かに画面が暗い上に不安定なショットも多く損をしている。[投票]
★4濡れ髪剣法(1958/日)これは良くできている。疾走する騎馬武者が矢を射るカットがタイトルバック。この滅法格好いい冒頭の処理を見た瞬間にこれはもしかして傑作だぞと思ったが、ラストまでメチャクチャ面白かった。当時の大映のスタジオシステムの素晴らしさを再認識した。 [review][投票]
★3イルマーレ(2000/韓国)過去と未来が交信するファンタジーという映画的な題材でイ・ジョンジェチョン・ジヒョンも良く考えられたキャラクターだ。さらにファンタジーの理由付けを一切描かないというのも良い。しかし私にはこの一見スタイリッシュな気取った演出は興醒めだった。全体に技巧がうるさい。例えばキッチンでのイ・ジョンジェのシーンの浮きよう。[投票(3)]
★4八月のクリスマス(1998/韓国)これは好感の持てる映画だ。最初からずっと慎み深い演出で「悪くないよなあ」と思いながら見ていたのだが、タリム−シム・ウナの差し入れた手紙の内容を一切明らかにしないという潔い措置が決定的に良い。舞台が街の写真屋なのでカメラのファインダー越しの画面・シーンがいくつか出てくるがその悉くが素晴らしい効果を上げる。[投票(1)]
★3伊豆の踊子(1967/日)内藤洋子黒沢年男版、東宝映画。吉永小百合版(日活映画)と同じく川端康成の「伊豆の踊子」に「温泉宿」のキャラクターをうまく挟み込み構成している。吉永版では十朱幸代が演じた「温泉宿」のお清を二木てるみが巧みに演じる。 [review][投票]
★3ポセイドン・アドベンチャー(1972/米)何度見てもラストは大俯瞰ショット(できればヘリコプター撮影と思しき)が欲しい!と思ってしまう。当時のアーウィン・アレンには多分それができたとも思うのだが、ラストで空間全体を見せるショットを持ってこないことがこの映画全体の緊張感を象徴しているだろう。いつも見終わってしばらくして「この潔さがいいのだ」と思い直す。[投票(2)]
★4伊豆の踊子(1974/日)ほぼ吉永小百合版のプロローグとエピローグを取り去った構成。湯ケ野の風呂のシーンも全く同じセット(?)に見える。元々原作になかった吉永版の酌婦(十朱幸代)も石川さゆりが継承しているが、全体に性的な生々しさが薄らいでアイドル映画らしくなっている。特筆すべきは矢張り山口百恵の存在感。とても映画初主演とは思えない。 [投票(2)]
★4伊豆の踊子(1963/日)原作との相違はプロローグとエピローグの追加以上に十朱幸代演じる酌婦や郷えい治にまつわるシーケンスの追加が重要だろう。性的な描写が盛り込まれ過ぎ原作の持つ清冽さが損なわれた感もあるが貧しい庶民の悲哀と図太さを現して映画を豊かにしている。吉永小百合は14歳の可憐な表情を見せる場面もあるが、多くは成熟し過ぎな印象。[投票(1)]
★4イブの三つの顔(1957/米)怒りの葡萄』『飾窓の女』『燃える平原児』『特攻大作戦』等々の名脚本家ナナリー・ジョンソンの監督作で真っ先に上げなければいけないのは、矢っ張りこの『イブの三つの顔』だろう。なにしろ、三人のイブが三人とも恐ろしい納得性をもって観客に迫ってくる。 [review][投票]
★2灰色の服を着た男(1956/米)凡庸なフラッシュバックがドラマを中断させてしまう。これを観た限りでは、ジェニファー・ジョーンズが余りにも可哀相だし、グレゴリー・ペックはどう仕様もなく胡散臭い。ナナリー・ジョンソンは監督に向いていない。『イブの三つの顔』の素晴らしさはフロックというよりも、女優と撮影監督が支えた映画ということだろう。[投票]
★3意外な犯行(1954/米)ヒッチ的な「間違えられた男」をまあまあの演出でそれなりに面白くしているが、バン・ヘフリンによる真犯人発見がお座なり過ぎるしジンジャー・ロジャースが肝心な場面で崩れたりして、低俗なところで回っている。ナナリー・ジョンソンはどの監督作を見ても脚本家出身らしい演出の弱さを負っている人だが、この映画でも同じ。[投票]
★5狐の呉れた赤ん坊(1945/日)これは敗戦後の邦画を代表する傑作だろう。飲み屋の瀬戸物が割れる音とともに字幕が崩れる粋なオープニングからラストの大井川の俯瞰ショットまで映画を作る喜びに溢れている。パンニング、トラベリング、ピント送り、フラッシュバック等技巧的にも凝りに凝った作りだが、それぞれ実に適確に用いられており驚かされる。 [review][投票(5)]