★3 | ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(2016/チリ=アルゼンチン=仏=スペイン) | 第二次大戦後のチリ。パブロ・ネルーダ(ルイス・ニェッコ)は国民的詩人であり、共産主義を標榜する政治家でもあった。だが、彼をとりまく状況は冷戦の時代を迎えて暗転し、ビデラ大統領(アルフレード・カストロ)は共産党を非合法組織としてネルーダを弾劾、警察官ペルショノー(ガエル・ガルシア・ベルナル)に逮捕を命じる。ネルーダ本人は画家である妻デリア(メルセデス・モラーン)と国外逃亡を試みるものの、捜査網は狭まって叶わず、放浪を余儀なくされた。もっとも、この状況を楽しむかのようにネルーダは詩作を続け、あちこちの酒場に出没する。追跡遊戯のような日々のなか、いつしかペルショノーの胸に彼への愛情が灯ってゆくのだった。〔108分〕 | [投票] |
★3 | ジュリーと恋と靴工場(2016/仏) | 25歳のジュリー(ポーリン・エチエンヌ)は就職難の波に翻弄され、訪ねる店々で門前払いを食らわされていた。絶望に支配された彼女だったが、扉をくぐった老舗靴メーカーで内定の二文字を与えられ、思わぬ衝撃に浸る。早速通勤した彼女を待っていたのは、会社の近代化を目論む上層部に対抗する職人たちのストライキだった。理解するいとまもなくドライバーのサミー(オリヴィエ・シャントロー)に職人たちのバスに乗せられ、ジュリーはパリ本部での示威行動に付き合わされる。彼らは会社会長(ロイック・コルベリ)により簡単に丸め込まれてしまうのだが…。ともあれリストラと工場閉鎖に立ち向かう皆に同調するジュリーだったが、道は飽くまで険しかった。〔84分〕
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★3 | ブルーム・オブ・イエスタディ(2016/独=オーストリア) | 司法行政研究所。ナチ要人の祖父を恥じるトト(ラース・アイディンガー)は、ノルクス教授(ロルフ・ホッペ)のもとで「アウシュヴィッツ会議」の用意を進めていた。だが、攻撃的すぎるトトから穏健派のバルタザール(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)に責任者を変えた教授はそのまま急死し、怒ったトトはバルタザールをタコ殴りにする。結局、フランスの研修生ザジ(アデル・エネル)の世話役を任されたトトではあったが、収容所で殺された祖母を悼みながら、バルタザールとの不倫に溺れる彼女の気まぐれさに激昂するのだった。それでも彼は、ザジとともに女優ルビンシュタイン(ジークリット・マルクァルト)を会議のスポンサーに迎えようと奔走する。〔126分〕 | [投票] |
★3 | 人生はシネマティック!(2016/英) | 第二次大戦下のロンドン。映画人の多くは出征しており、老人と女性しか業界には残されていなかった。そんな中、コピーライターのカトリン(ジェマ・アータートン)は情報省のバックリー(サム・クラフリン)に見いだされ、ダンケルク戦を描く戦意高揚映画の脚本家に任ぜられる。彼女に否やはなく、過去の戦闘で片足を傷めた夫エリス(ジャック・ヒューストン)を助けるべく仕事に身を投じた。だがその道のりは気楽なものではなく、些細な点に情報部のムーア(レイチェル・スターリング)よりのクレームを受けて脚本は二転三転する。いざ始まったロケにおいても、過去の栄光にすがる老優ヒリアード(ビル・ナイ)のダメ出しでカトリンは当惑するのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | 少女(1961/日) | 秋田の農村に育ったカネ子(笹森礼子)は、気の強いのと文章力が自慢のじゃじゃ馬娘。母親や妹たちに見送られ、口減らしのため東京の親戚を頼って就職するべく汽車に乗った。従兄として彼女を迎えにきた由造(川地民夫)は、さっそく彼女にゾッコンになりながらも家族の待つバイク屋に連れてゆく。伯父夫妻(殿山泰司 / 初井言榮 )らは勤め先のアドバイスを始めるが、当のカネ子は尊敬する作家の草田(永井智雄)への弟子入りを心に決めていた。それでも草田に社会経験のなさを指摘され、ここで初めて実社会で研鑚を積むことを誓ったのだった。伯父の紹介で、カネ子は美容院に勤務先を決めたが、うまくはゆかない壁が待っていた。〔59分〕 | [投票] |
★3 | ナラタージュ(2017/日) | 大学生の泉(有村架純)は、母校である高校の演劇部の顧問・葉山(松本潤)よりの電話を受け、卒業公演への助力を求められる。かつて内気でいじめられっ子だった泉は、葉山が演劇部に居場所を作ってくれたおかげで生き甲斐を得ることができたのだ。懐かしい思い出にひたり同窓生や後輩と演劇活動に没入しながらも、泉はかつてない葉山との愛情に震える経験をする。だが彼を知るうちに妻・美雪(市川実日子)を棄てられない側面を見せつけられ、いつしかひたむきに愛してくれる小野(坂口健太郎)に心を移してゆくのだった。そして泉と葉山のあいだにぎこちない空気が漂うなか、後輩の柚子(神岡実希)の身に思いがけない事件が降りかかった。〔140分〕 | [投票] |
★3 | ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017/日) | 児童養護施設に育った3人組(山田涼介 / 村上虹郎 / 寛一郎)は、ある目的のために夜の商店街をひた走り、町外れの空き家にたどり着いた。ナミヤ雑貨店。そこは主人の浪矢(西田敏行)が、密かに掲示板やシャッターの投入口を通じて人生相談をやっていた店だった。すでに30年前主人を失った店に潜入した3人は、そのシャッターより封筒が次々店内に投入されるのを見る。何かのいたずらと思ったものの、彼らは主人の真似をして回答を返そうとし始める。最初の相談は「魚屋ミュージシャン(林遣都)」を名乗る男からのもの。音楽に生きることを切望していた彼が弾き語る曲は、3人組にある不思議な事実を知らせるカギを握っていた。〔129分〕 | [投票] |
★3 | 消えた声が、その名を呼ぶ(2014/独=仏=伊=露=ポーランド=トルコ) | 落日のオスマン帝国。アルメニア人鍛冶屋のナザレット(タハール・ラヒム)の自慢は、美貌に恵まれた双子の娘(ツェイン&ディナ・ファクホウリー)だった。だが、彼ら家族の幸福は軍によるナザレットの連行で引き裂かれる。作業に駆り立てられた彼らアルメニア男子に上官は改宗を迫り、応じないナザレットたちの喉を切り裂かせたのだ。声を失うのみで生き延びた彼は砂漠を越え家族の待つ街を目指すが、待っていたのは家族惨殺の知らせだった。心のよすがであったイエスの教えを捨て、絶望に打ちひしがれるナザレット。そんな彼に逢いに来たかつての弟子のことばが、わずかな希望の灯を彼の心に灯す。娘たちだけは海の向こうに生きているというのだった。〔138分〕 | [投票] |
★3 | にがくてあまい(2016/日) | 敏腕広告ウーマンのマキ(川口春奈)は、度外れた野菜嫌いだった。それゆえ大嫌いなゴーヤのCMを任された夜、マキは行きつけのバーで酒を重ねて昏倒してしまう。翌朝、自宅で目覚めたマキを迎えたのは、台所に立つとびきりのイケメン、渚(林遣都)だった。泥酔したマキを家まで届けたという彼は、マキの嫌がる野菜を驚くほどの美味に仕上げてふるまい、感動させる。その才能と美貌に惚れ込んだマキだったが、渚の正体はゲイのヴェジタリアンだった。それでもなりゆきで同居を始めた渚の料理は、CMに出渋るアイドルのミナミ(桜田ひより)をも感激させた。そしてすれ違いながらも接近するマキたちの前に、両刀使いの家主アラタ(淵上泰史)が現われる。〔96分〕 | [投票] |
★3 | スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー(2017/日) | 邪教団・幻魔空界が銀河にかつてないスケールで魔手を伸ばし、平和を蝕もうとしている。その悪事を調査する宇宙刑事ギャバンこと撃(石垣佑磨)は任務に燃えるあまりにミスを犯し、相棒のシェリー(森田涼花)を敵幹部マッドギャラン(春田純一)に攫われてしまった。冷静さを失ったギャバンは、捜査より外されたことを良しとせず地球管轄のデカレンジャーの5人に協力を求め、復讐に燃える。だが、若さに溺れ失策を繰り返すギャバンに銀河警察長官ソフィ(遊井亮子)はついに謹慎を命じた。そんな彼にデカレンジャー隊長バン(載寧龍二)らは失望を露わにするが、ギャバンのサポートを請け負ったウメコ(菊地美香)は誇るべき功績を見るのだった。〔85分〕 | [投票] |
★3 | さくらな人たち(2007/日) | ボケ始めた坂田の爺ちゃん(三谷昇)のところへ、孫の剛史(河本準一)は時々見舞いに来、毎日桜の絵はがきが届くのを見てきた。剛史は妙にそれが気になり、その桜の咲く場所を探す。ある日、それが「鶴田の桜」だというタクシー運転手、通称ジャック(河原さぶ)が現われ、剛史をその桜の咲く場所につれてゆくという。タクシーはニセの「鶴田の桜」騒動で停車したり、轢いてしまったプロ・テスト寸前のボクサー・角(山田浩)を乗せたりしながら、桜を目指してまっしぐらに進んでゆくのだった。小田切譲監督第一作中編作品。〔65分/カラー〕 | [投票] |
★3 | 合葬(2015/日) | 幕末。将軍の警護と江戸の安寧のため結成された「彰義隊」は、大政奉還によって無用の長物と化した。だが、有志として隊に集合した青年たちはそれを良しとしなかった。隊員の極(柳楽優弥)が、かねてより婚約していた砂世(門脇麦)との別離をその兄、悌二郎(岡山天音)に告げたのは、彰義隊に籍をおく自分に従うことで彼女が蒙る迷惑を避けさせようとしてのことだった。そして極は、養子縁組した家から追い出された柾之助(瀬戸康史)を彰義隊に誘い入れる。憤慨する悌二郎は、彰義隊の本拠地に乗り込み極の上役である森(オダギリジョー)に極の除隊を申し入れるが、彼の弁舌により逆に入隊させられる。その間にも隊は幕府より遠ざけられていった。〔87分〕 | [投票] |
★3 | 禁じられた歌声(2014/仏) | マリの古都ティンブクトゥ。少女トヤ(ライラ・ワレ・モハメド)は父キダン(イブラヒム・アメド)や母サティマ(トゥルゥ・キキ)、家族同然の孤児イサン(メディ・A・G・モハメド)とともに牛飼いのつつましい生活を送っていた。この日常に侵入してきたのが、武装したイスラム過激派の一部隊である。彼らは街を占領すると、人々の暮らしを律する厳しい戒律を喧伝した。音楽、サッカー、タバコの禁止。女性たちは身を包むチャドルを強制され、事実婚のカップルは石打ちの刑に処された。そんな中、キダンは漁師のアマドゥとの間で揉め事を起こし、過激派の裁きの場に引き出される。もはやトヤの家族からも平安は奪われてゆくこととなったのだ。〔97分〕 | [投票] |
★3 | 機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY(2016/日) | 一年戦争の末期。地球連邦軍「ムーア同胞団」はかつての植民地「ムーア」宙域に向かい、味方機を殺戮し続けるジオン公国狙撃部隊の殲滅を目論む。その連邦軍パイロットのひとりであるイオ少尉(中村悠一)は撃破されかけた災いを福となし、敵に大損害を与えて帰還する。生き残ったジオン狙撃兵ダリル曹長(木村良平)に「ジャズを流しながら来る敵があれば俺と思え」と捨て台詞を吐いて…。絶望的な消耗戦のなか、昔からのイオの仲間であったクローディア艦長(行成とあ)は耐えきれず薬物中毒となり、他方ジオンの傷病兵師団に同行するカーラ博士(大原さやか)も運命を呪う中、イオとダリルは宿命を受け入れ、殺し合いに身を投じるのだった。〔80分〕 | [投票] |
★3 | 太陽のめざめ(2015/仏) | 少年マロニー(ロッド・パラド)は不幸な生い立ちゆえに荒れ狂う性情を露わに育ってきた。自堕落な母親(サラ・フォレスティエ)は彼を女手ひとつで育ててはきたが、息子の登校拒否を注意され判事フローランス(カトリーヌ・ドヌーヴ)の前で逆上したときから、養育についてひどくいい加減だったのだ。それでも母親をかばう少年犯罪者マロニーを、判事は少年院より扱いが温情的な更生施設に送ることとする。教育係ヤン(ブノワ・マジメル)はマロニーの世話を焼くが、好転しない周囲に苛立つマロニーは見知った娘テス(ディアーヌ・ルーセル)との恋に溺れ、ヤンの用意した仕事に出ることを拒むようになる。彼が心を許すのは母と恋人、判事だけだった。〔119分〕 | [投票] |
★3 | 追憶と、踊りながら(2014/英) | ロンドンの老人ホームに隠棲する華僑婦人ジュン(チェン・ペイペイ)は、英語が話せず周りに壁を作っていた。彼女の希望は、闊達明朗に育った息子カイ(アンドリュー・レオン)の存在だけだった。だが、そんな彼女のもとに訪れる白人青年リチャード(ベン・ウィショウ)の存在が苛立ちを高めさせる。リチャードは老人ホームの住人である壮年男性アラン(ピーター・ボウルズ)と、不自由さを案じて通訳の娘ヴァン(ナオミ・クリスティ)すらも伴って現れるのだ。カイの親友を名乗る彼が、ある秘密を隠しながら自分の寂しさを癒すべく動いていたのは判る。だが秘密を抱いたまま、カイは帰らぬ存在となってしまったのだ。ジュンの焦燥は募ってゆく。〔86分〕 | [投票] |
★3 | ショコラの見た世界(2006/日) | 月光のさす屋根裏部屋のベッドで、テンコ(藤本七海)はショコラ姉(竹内結子)の物語を聴いて眠った。月の光を受けて輝く夜光虫の群れ…。それを大学受験をひかえて予備校に通うテンコ(大塚ちひろ)は時として思い出すのだった。土砂降りの雨の日、テンコは姉が生きていた頃の恋人、ジダン(和田聰宏)に再会する。ショコラは昔暑い日に溶けてなくなったが、その姿はジダンのケータイに刻まれていた。テンコはそれを見せてもらう。若く変わらない姉の姿がそこにはあった…〔48分/カラー/ヴィスタ〕 | [投票] |
★3 | 幸せをつかむ歌(2015/米) | ロックバンド「ザ・フラッシュ」を束ねるリッキー(メリル・ストリープ)はかつて音楽への夢のため、家族を棄てた過去を持つ。生活に収入は追いつかず、リードギターのグレッグ(リック・スプリングフィールド)には所帯をもとうと言われ続けていた。そんな彼女に元夫のピート(ケヴィン・クライン)から届いた電話は、娘のジュリー(メイミー・ガマー)が離婚のすえ落ち込んでいることを伝えてきた。だが、彼女を励ますべく戻ったリッキーを迎えたのは、ジュリーの腹蔵なき悪罵だった。それでも憔悴し気分も定まらない娘のため、奔走してやまない彼女の行動にジュリーが心を開き始める頃、ピートの後妻モーリーン(オードラ・マクドナルド)が現われる。〔101分〕 | [投票] |
★3 | 走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015/日) | 薫(小林竜樹)が自殺した。関西で就職が決まり移住する矢先のことだった。薫とは無二の親友であり、ともに暮らしてきた漣(太賀)は、やがて彼が描き遺した一枚のデッサンを薫の両親から見せられる。そこに描かれていたのは、薫が昔思いを寄せていた同級生の環奈(寉岡萌希)だった。今まで全てを知り尽くしていたはずの親友の側面を知るために、漣は薫の恋人である理沙子(黒川芽以)を伴って旅立つ。漣たちは薫の身を投げた絶壁に立ち、そして環奈が勤めているクラブにたどり着く。「走れ、絶望に追いつかれない速さで」との薫のことばの意図は何なのか。東京国際映画祭で2年連続入選を果たした、中川龍太郎26歳時の監督作品。〔83分〕 | [投票] |
★3 | 東京少女(2008/日) | 父親のない未歩(夏帆)は、近頃母親の妙子(秋本奈緒美)が恋人である塩見(近藤芳正)と外出を繰り返すことに苛立ちを覚えていた。ある日、妙子はレストランで未歩に塩見を紹介し婚約を告げるが、未歩は激昂して席を立つ。そしてビルの階段を下りる彼女は不意にケータイを落としてしまい、それが発光して消え去るのを見た。…明治時代。作家を目指す時次郎(佐野和真)は、出版社の編集者に持ち込み原稿を突っ返され、気を落として帰宅しようとしていた。だが、彼は階段を下りる際見慣れぬ銀色の小箱を拾う。自宅に戻り妹(福永マリカ)に迎えられた彼の前で、小箱…ケータイは未歩の声を伝えた。驚く未歩と時次郎は、やがて心を通わせてゆく。〔98分〕 | [投票] |