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寒山拾得さんのコメント: 更新順

★4愛怨峡(1937/日)落ちて行く女の変遷をコメディ要素で装飾した新派劇。ミゾクチには珍しい切り口だが痛快に仕上がっていて懐の深さをみせている。 [review][投票]
★3田園交響樂(1938/日)聖書を知らないと置いてきぼりにされる映画で、ものすごく不親切。原作を咀嚼できていない印象が残る。「私がこの世に来たのは裁くためである。すなわち、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるためである」(ヨハネ伝9章) [review][投票]
★4煉瓦女工(1940/日)戦前には殆ど見かけない、戦後はたくさんある現代長屋映画。本作は1940年に上映中止になり製作の南旺映画は傾き、1946年にやっと公開されている。何を戦前の検閲が隠し、GHQが隠さなかったかがよく判る。悦ちゃんが素晴らしい。 [review][投票]
★4嫁ぐ日まで(1940/日)島津=原節子コンビの佳作。大作が多かったと云われる東宝期島津にあって短尺、コクはないが一筆書きによく描かれており。複雑な矢口陽子と冷静な沢村貞子がいい。 [review][投票]
★4孫悟空(前篇・後篇)(1940/日)日中戦争中なのに中国を舞台の暴力批判で驚いた。東宝喜劇はこんなものも撮っているのだ。欠点は三蔵法師でどうにも地味でいけない。やはり夏目雅子のキャスティングは抜群だったと思わされる。孫悟空がどちらについて行くかは明らかだろう。 [review][投票(2)]
★4団栗と椎の実(1941/日)好きに子供遊ばせる清水にあって珍しいスパルタ教育映画か。「これからの世の中は何をするにも命懸けだよ」と父親の大山健二は呟く。この無垢の歌は『蜂の巣の子供たち』(48)の経験の歌に至るだろう。 [review][投票]
★4女学生記(1941/日)戦中の色んな発見がある女学生生態集。眼鏡の凸ちゃん教室でネズミ退治。猫の鳴き真似。箒で叩き潰すと平たくなる。花で埋葬。チュウ子の墓。こういう気楽な映画、好きだなあ。音楽も気楽で素敵。 [review][投票]
★2熱風(1943/日)増産に右翼も左翼もない訳で、山本薩夫はロシア・アヴァンギャルド伝来の手法でお仕着せの増産映画を実に適当に物している。藤田進原節子とは戦時映画の大物対決の図。 [review][投票]
★3北の三人(1945/日)元祖萌え萌え女子自衛官の活躍を捉えた作品で、今や巷に勧誘ビラで蔓延する自衛隊女子のアニメキャラの元祖は凸ちゃんだったと発見して愕然とした。敗戦の8月15日に映画館でかかっていたのは本作とのこと。 [review][投票]
★4幸福の限界(1948/日)原節子らしからぬフェミニズム作として有名だが、思えば母親役の田村秋子からして戦前にスキャンダラス(!)なイプセンなどの新劇運動からキャリアを始めている。近代演劇とは即ち女性解放運動であり、本作はその基本に立ち帰る作品と思われる。 [review][投票]
★5そうかもしれない(2005/日)原作未読。80年代によく読まれた私小説だが、独特にユーモラス、かつ当時らしい言語批評の主題が先鋭的に盛り込まれていて嬉しい驚きがあった。映画はよくフォローしていると思う。雪村いづみが素晴らしい。 [review][投票]
★3新馬鹿時代(前篇・后篇)(1947/日)前半の闇屋取り締まる警官ロッパがやたら面白い。「公定価格の歌」をハモニカバックで歌って宣伝しても誰も聴いてくれないし、子供に「公定でグローブ売ってない」と怒られたりする。現状が喜劇でただ転記しているだけ、というのは喜劇の理想だ。 [review][投票]
★1風ふたヽび(1952/日)50年前後はミゾグチだってただのヨロメキドラマを撮っているが、時代の需要ということだったのだろうか。本作はまた恐ろしく下らない三角関係もので、画的にも退屈でまるでお話にならない。豊田の最低作だろう。 [review][投票]
★3アチャコ青春手帖 東京篇(1952/日)アチャコこのとき55歳、学生服着て大した違和感もなく、10歳年下の浪花千栄子に母親を演じさせてしまっている。後に夫婦役で有名になるこのふたり、最初は親子だったじゃないかと苦情があったらしい(ラジオドラマの話)。 [review][投票]
★4花の中の娘たち(1953/日)東宝初カラー、もっさい農家の娘の岡田茉莉子。肥やし臭いと云われたり、下駄履いてホテルうろついて深々お辞儀して笑われたり、リヤカー曳いてテニスボーイに爆笑されたり。若い娘にとって何という不条理だっただろう。 [review][投票]
★2地下から来た男(1956/日)すこぶる安い喜劇で別に笑えないが調子がいいのは認められ、丹下キヨ子の顔の長さばかりが記憶に刻まれる。東谷暎子が別嬪で良かった。 [review][投票]
★3盗まれた欲情(1958/日)美点は田んぼの真ん中にテント小屋建てちゃう美術でこの撮影がとてもいい。雨降って雨水ボタボタ垂れているような風情が素晴らしい。西村晃高原駿雄のコメディも冴えている。 [review][投票]
★5家内安全(1958/日)伝説の飯田蝶子主演作。知的障碍の次男江原達治がとてもいい。女優で印象深いのは『風船』の芦川だが、本作の江原もこれに伍するいい造形だった。彼を好きな同僚の中田康子も優しくてとてもいい。本当にいい映画。 [review][投票]
★2燈台(1959/日)敗戦とともに「私にはもう全てが終わったような」というネジの外れたような感慨はミシマの十八番で、飽きずにここでも繰り返されている。 [review][投票]
★3大人と子供のあいの子だい(1961/日)中学生の日記が原作らしく、利発さが滑ったようなタイトルがいかにもそんなもので今や放送禁止だろうか。病弱な高田敏江の姉さんの造形がとても印象に残る。 [review][投票]