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寒山拾得さんのコメント: 更新順

★5やさしい女(1969/仏)映画の原作は純文学であってはならない、というヒッチコックの提言を覆す狂暴な知性。ドスト氏の小説はこの映画の後に書かれた一解釈に過ぎないのではないかと思われるほど、本作は普遍に達している。 [review][投票]
★4死闘の伝説(1963/日)TVドラマ並のナレーションと音楽の臭さにさえ鼻をつまめば、実に興味深い『七人の侍』のパロディ。猟銃担いだユリちゃん加賀まりこのカッコよさは『月曜日のユカ』と双璧。 [review][投票]
★5拳銃(コルト)は俺のパスポート(1967/日)全盛期のフランス映画を志向し続けた日活アクションの、たぶん最高の達成。後半に進むにつれて加速度的に面白く、切なくなる。 [review][投票(2)]
★4大悪党(1968/日)「恐喝と婦女暴行だけなら2、3年で出てくる。奴は必ず君を見つけ出して復讐する。ヤクザは執念深く、おまけに暇だ」暇だってのがとてもリアル。台詞が立っている。 [review][投票]
★3ファニーとアレクサンデル(1982/独=仏=スウェーデン)老監督らしいいい加減さを愉しむべき作品か。ファニーの名前をタイトルに入れる際に本編の内容を忘れていたのではないだろうか。 [review][投票(1)]
★4どぶ(1954/日)乙羽信子を観るべき作品で、加工された人情長屋のなか、日本のジュリエッタ・マシーナが本領発揮。こういう作品を観ると、70年代のアングラ劇が焼き直しに思えてくる。 [review][投票(1)]
★3あなたと私の合い言葉 さようなら、今日は(1959/日)前半★5。パロディのまま最後まで通してほしかった。 [review][投票]
★2恐怖分子(1989/台湾=香港)ブレッソンやゴダール(電話のベル他)の小綺麗な縮小再生産。構図やアクションの才はほぼゼロ、俳優は二流、三角関係の物語は阿呆らしい。主演の医者がきたろう激似で唯一記憶に残る。[投票]
★4新幹線大爆破(1975/日)よど号ハイジャック+三菱重工爆破=本作か。凋落する新左翼への惜別が山本圭に、被害者側の気の毒な狂乱が宇津井健他に滲んでいる。全共闘のアイドルだった高倉健は零細企業の親爺の偶像でもあったと体現して秀逸。 [review][投票(2)]
★3緋牡丹博徒(1968/日)若山富三郎の大親分やら山本麟一の無法松やら、詰め込み過ぎをサービス精神と云い替えてまかり通す鈴木則文節半開。品のあるなしに関して何とも云えぬバランス感覚。上目使いの藤純子はじめ俳優は極上だが、彼女の背景に納まらない花火はとてもショボい。[投票(1)]
★3くちづけ(1957/日)貧しくいたいけなデートがチェーホフ風で充実しており、バイクの行程など颯爽としていて素晴らしい。この序盤だけなら★5、しかし増村がこれだけで終わらせる訳もなく。 [review][投票(2)]
★5にっぽんぱらだいす(1964/日)香山美子は『赤線地帯』の川上康子に違いない。とすればミゾグチの遺作を引き継ぐ処女作という大胆な構想を成功させて余りある傑作。感動的なのは喜劇というジャンルの懐の深さを認識させてくれることだ。 [review][投票(1)]
★40課の女 赤い手錠(1974/日)場末のラーメン屋で意外と面白くて最後まで読んでしまった70年代のエログロ劇画という趣。高度成長に取り残された者の恨み節が仏教的な達観に至る。「地獄で警視総監にでもなりな」。 [review][投票(3)]
★4八日目の蝉(2011/日)小池栄子の映画なのかも知れない。お邪魔虫系の狂言回しがこれほど的確な処に納まるのは稀だろう。現在と過去の交錯具合も巧いもので、いい脚本だと思う。 [review][投票(1)]
★3人生とんぼ返り(1955/日)儲け役ということもあるが山田五十鈴が絶品。隠れた代表作だろう、箆棒なものだ。前半だけなら★5つ。彼女がいなくなる後半は偉人尊重の拘りか落差激しく大芝居連発、堅苦しい処を引き受けた他の名優たちは霞んでしまった。[投票(1)]
★4さらば、愛の言葉よ(2014/仏)3Dを得てビデオ期の作風に立ち戻ったかのようで、攻撃的だが極度にシンプルで抽象的。これは遺作のパロディか。二人一役はブニュエル遺作へのオマージュだろうか。いつもの男女の喧嘩はパルムドッグにより終焉を迎えるのだろうか。[投票]
★2花嫁吸血魔(1960/日)ザ・新東宝エログロ。これがかの『樋口一葉』を撮った並木鏡太郎の遺作とは泣けてくる。河原のラストシーンなど断片的に美しいのが哀れを誘う。陰陽師の婆さんは妖術でまず自分の貌を直せばいいのにと思う。[投票]
★4冬の光(1963/スウェーデン)問われるべきは神の欠如(不在)ではなく過剰であり、付き纏い嫉妬深く命令し続ける者こそ迷えるキリスト教徒にとっての神なのだった。 [review][投票(2)]
★3帰って来たヨッパライ(1968/日)冒頭の洋服盗難の緩慢さからして大島にチープなドタバタの才はないのは明らか。一方、国籍を取り換えるブラックユーモアは強烈。タイトルを『イムジン河』にしてシリアスに撮ればいいものになっただろうに。[投票(1)]
★4秋深き(2008/日)「治ったらどうしますの」の台詞一発で決まる。他者が介在するとき、常識は吹き飛ばされるためにある。ぐうたら学生の日文卒論の定番である織田作「競馬」の丁寧な現代劇への翻案。夜の北新地の告白や夕焼の色合いなど、映画らしい質感も素晴らしい。[投票]