寒山拾得さんのコメント: 更新順
我が家は楽し(1951/日) | 見所は凸ちゃんの画のモデルになった途端に石像になる山田五十鈴。マルセル・カルネがこれを観たら『悪魔が夜来る』を彼女主演で撮り直したくなったに違いない。 [review] | [投票] | |
もず(1961/日) | 水木洋子の冷淡残酷が極まった傑作。針鼠のジレンマにモズの早贄とは。淡島千景の軽みが悲劇を呼び、有馬稲子の重さがこれを蔓延させている。最悪だ。 [review] | [投票(2)] | |
あゝ予科練(1968/日) | 紋切型の逸話のつまみ食い。いつ西郷輝彦は操縦桿の握り方を習ったんだ。 [review] | [投票] | |
SHOAH(1985/仏) | 9時間超という上映時間は、貨物列車に詰め込まれて立ち通しに何十時間も運ばれた被害者の苦痛を僅かなりとも物理的に体感せよと命ぜられたかのようだ。 [review] | [投票] | |
大阪物語(1957/日) | 日本型資本主義のエートスはすでに江戸時代から涵養されていたのだった。 [review] | [投票] | |
黒い十人の女(1961/日) | 山本富士子と岸惠子の密談の辺りまではどこまで凄くなるのか見当もつかない面白さなのに、見事に空中分解。 [review] | [投票(1)] | |
縮図(1953/日) | 映像にすると嘘になる文章、文章にすると嘘になる映像という境界は確かにある。 [review] | [投票(1)] | |
やさしい女(1969/仏) | 映画の原作は純文学であってはならない、というヒッチコックの提言を覆す狂暴な知性。ドスト氏の小説はこの映画の後に書かれた一解釈に過ぎないのではないかと思われるほど、本作は普遍に達している。 [review] | [投票] | |
死闘の伝説(1963/日) | TVドラマ並のナレーションと音楽の臭さにさえ鼻をつまめば、実に興味深い『七人の侍』のパロディ。猟銃担いだユリちゃん加賀まりこのカッコよさは『月曜日のユカ』と双璧。 [review] | [投票] | |
拳銃(コルト)は俺のパスポート(1967/日) | 全盛期のフランス映画を志向し続けた日活アクションの、たぶん最高の達成。後半に進むにつれて加速度的に面白く、切なくなる。 [review] | [投票(2)] | |
大悪党(1968/日) | 「恐喝と婦女暴行だけなら2、3年で出てくる。奴は必ず君を見つけ出して復讐する。ヤクザは執念深く、おまけに暇だ」暇だってのがとてもリアル。台詞が立っている。 [review] | [投票] | |
ファニーとアレクサンデル(1982/独=仏=スウェーデン) | 老監督らしいいい加減さを愉しむべき作品か。ファニーの名前をタイトルに入れる際に本編の内容を忘れていたのではないだろうか。 [review] | [投票(1)] | |
どぶ(1954/日) | 乙羽信子を観るべき作品で、加工された人情長屋のなか、日本のジュリエッタ・マシーナが本領発揮。こういう作品を観ると、70年代のアングラ劇が焼き直しに思えてくる。 [review] | [投票(1)] | |
あなたと私の合い言葉 さようなら、今日は(1959/日) | 前半★5。パロディのまま最後まで通してほしかった。 [review] | [投票] | |
恐怖分子(1989/台湾=香港) | ブレッソンやゴダール(電話のベル他)の小綺麗な縮小再生産。構図やアクションの才はほぼゼロ、俳優は二流、三角関係の物語は阿呆らしい。主演の医者がきたろう激似で唯一記憶に残る。 | [投票] | |
新幹線大爆破(1975/日) | よど号ハイジャック+三菱重工爆破=本作か。凋落する新左翼への惜別が山本圭に、被害者側の気の毒な狂乱が宇津井健他に滲んでいる。全共闘のアイドルだった高倉健は零細企業の親爺の偶像でもあったと体現して秀逸。 [review] | [投票(2)] | |
緋牡丹博徒(1968/日) | 若山富三郎の大親分やら山本麟一の無法松やら、詰め込み過ぎをサービス精神と云い替えてまかり通す鈴木則文節半開。品のあるなしに関して何とも云えぬバランス感覚。上目使いの藤純子はじめ俳優は極上だが、彼女の背景に納まらない花火はとてもショボい。 | [投票(1)] | |
くちづけ(1957/日) | 貧しくいたいけなデートがチェーホフ風で充実しており、バイクの行程など颯爽としていて素晴らしい。この序盤だけなら★5、しかし増村がこれだけで終わらせる訳もなく。 [review] | [投票(2)] | |
にっぽんぱらだいす(1964/日) | 香山美子は『赤線地帯』の川上康子に違いない。とすればミゾグチの遺作を引き継ぐ処女作という大胆な構想を成功させて余りある傑作。感動的なのは喜劇というジャンルの懐の深さを認識させてくれることだ。 [review] | [投票(1)] | |
0課の女 赤い手錠(1974/日) | 場末のラーメン屋で意外と面白くて最後まで読んでしまった70年代のエログロ劇画という趣。高度成長に取り残された者の恨み節が仏教的な達観に至る。「地獄で警視総監にでもなりな」。 [review] | [投票(3)] |